廣田硝子
明治32年創業
日本のガラス業界を牽引する技

廣田硝子株式会社は、明治32年に創業した東京で最も歴史のある硝子メーカーのひとつです。ガラス商品の販売から始まり、やがて製造へと事業を広げました。戦前・戦後の激動の時代においても、他社とは異なる製品づくりに挑戦し続け、駄菓子を入れる容器や金魚鉢、キリンビールやカルピスの宣伝用グラスなどを手がけ、日本のガラス業界を牽引してきました。現在も、多様な風合いのガラス製品の製造に取り組みながら、日本独自の伝統的な硝子製品の復刻にも力を注いでいることが特徴です。。
江戸の伝統的技術が集約した、
新たなガラスの美
廣田硝子が生み出す「和ガラス」は、単に海外から伝わった吹きガラス技術を使って日本で生産されたものではありません。そこには、日本ならではの美意識や感性が込められています。
たとえば、ゆらぎのある曲線や繊細な装飾、そして手に取るたびに感じる温もり。 それらが暮らしにそっと寄り添い、使う人の心を和ませます。ガラスという素材は、柔らかさと脆さ、調和と繊細さが共存する特別な存在。熱によって自由に形を変えられますが、職人の手で整えられることで、一つの美しい作品へと生まれ変わります。
廣田硝子は、西洋の技術を受け継ぎながらも、日本独自の美意識を加え、「和ガラス」として進化させてきました。その一つひとつには、職人の手仕事のぬくもりと、時を超えて愛される普遍の美しさが宿っています。
Buyer’s Voice 代表・松澤斉之より
柔軟なコラボレーションから生まれた、
懐かしくも新しい硝子
廣田硝子の優れた点は、途絶えていた乳白色の江戸硝子の技術を復活させたことだけではありません。自社の技術や知識に固執するのではなく、さまざまな専門家と柔軟にコラボレーションを行いながら、新たな価値を生み出してきた点にあります。
「大正浪漫硝子」シリーズの懐かしい乳白色の色合いは、江戸硝子の製法のひとつである「乳白あぶり出し技法」によるものです。この復刻には金型の開発が不可欠でしたが、その実現のために、金型製造業者だけでなく他のガラス製造業者とも連携し、試行錯誤を重ねながら復刻を成功させました。熱い思いを持ち、さまざまな企業と対話を重ね、その想いを伝え続けた結果といえるでしょう。
さらに、近年ではスターバックスとのコラボレーションも大きな話題となりました。江戸切子の技術を活かして刻まれたロゴやオーダーシートは、美しさの中にユーモアを感じさせるデザインとなり、若い世代に江戸切子の魅力を伝えるきっかけにもなっています。
懐かしさの中に、新たな価値を、伝統技術の中に新しい可能性を。そんな想いを感じさせるメーカーです。
【大正浪漫シリーズ】