津軽塗
【青森】
津軽塗(つがるぬり)は、青森県弘前市周辺で作られる漆器です。この伝統工芸は、江戸時代中期から存在しており、独自の技法によって丈夫で実用的ながらも美しい外観を持つ漆器を生み出します。
特徴は「研ぎ出し変わり塗り」と呼ばれる技法で、津軽ヒバを素地に漆を数十回塗り重ね、研磨を繰り返します。俗に『馬鹿塗』とも称されるほど膨大な手間と時間を惜しみなく注ぎ込まれるため、一作品の完成まで~6か月を要するものあります。幾重にも層を重ねた色漆の美しい模様が形成されます。
津軽塗の歴史は江戸時代中期に遡り、弘前藩の第四代藩主である津軽信政公の時代に始まりました。当初は武士の腰刀の鞘を飾る目的で使用されていましたが、次第に調度品や装飾品など様々なアイテムに応用されていきました。
津軽塗は、「唐塗(からぬり)」や「七々子塗(ななこぬり)」、「錦塗(にしきぬり)」、「紋沙塗(もんしゃぬり)」など、多様な技法が発展しており、その技法は江戸時代から受け継がれています。
唐塗は代表的な技法の一つであり、七々子塗は小紋のような模様が特徴です。紋紗塗は炭粉と黒漆を用いてシックな印象を与える技法であり、錦塗は高度な技術が要求される技法です。
津軽塗は、美しい模様と実用性を兼ね備えた伝統的な漆器であり、青森県の魅力的な伝統工芸の一つとして今もなお発展し続けています。