秋田
大館曲げわっぱ(おおだてまげわっぱ)とは
炊き上がったご飯をいれるお櫃として、毎日活用されるお弁当箱として、注目されている「曲げわっぱ」
杉がご飯の水分を程よく吸収し、もちもちとした食感の、冷めてもおいしいご飯にしてくれると人気です。
そんな曲げわっぱの産地として知られるのは秋田県大館市。天然秋田杉にこだわり続け、整った木目の美しさを活かした製品は、日本らしさを感じさせる逸品として、フランスをはじめとする海外でも人気を集めています。
大館曲げわっぱの歴史・技術
大館で曲げわっぱを産業として作り始めたのは江戸時代初期のことです。古くから、木こりが杉で曲げ物の器を作っていたものを、武士の副業として奨励したことに始まりました。
当時、冷水害により領民の生活は窮乏していました。そこで、大館城主 佐竹西家は、領内の豊富な森林資源の存在に着目します。
下級武士たちの内職として曲げわっぱ作りを奨励しました。「お足軽町」と呼ばれ、多くの下級武士が住んでいた現在の大館市常盤木町の辺りには、明治時代には曲物の職人が100人以上いたといいます。
年貢米が納められない農民には、山から城下までの原木運搬をさせたとも言われています。作られた曲げわっぱは、大館市内を流れる米代川を通じて、酒田(山形県)、新潟、関東地方など各地へ出荷されました。
大館曲げわっぱに使われているのは、樹齢200~300年の天然秋田杉の柾目です。
天然秋田杉は、木曽のヒノキ、青森のヒバと並んで、「日本三大美林」のひとつに数えられるものです。米代川流域の山々は雨量が多く、土壌条件も良好であるため、良質の秋田杉が成長します。
中でも天然秋田杉は成長が遅く年輪の幅が狭くなり、反りや割れに強い杉となります。
柾目から漂う芳香と、細かく均等に揃った年輪の美しい模様が、大館曲げわっぱの真髄です。鮮虹色や淡黄色を帯びて明るく優美な色合いと、軽くて弾力性に富んでいることも特徴のひとつでしょう。
原木から製品が完成するまでには、最低でも1年以上です。天然秋田杉の原木を製材により薄く剥いで、熱湯に漬けます。柔らかくなったところで、曲げ加工を施します。そして、曲げてつくった輪を自然乾燥させた後、重なり部分を接着します。山桜の皮で縫い止めをし、底板、蓋板をはめ込み、仕上げ作業を行って完成します。
昭和に入り、プラスチック製品の台頭から危機に追い込まれた大館曲げわっぱだが、手工芸へのこだわりと、品質向上に対する努力を継続した結果、最近では多くの人に見直されるようになってきました。
コーヒーカップやパン皿などの製品も作られるようになり、自然素材の持つ実用性とシンプルな美しさは、日本ならではの機能美として、世界から注目されています。
大館曲げわっぱのブランド一覧
りょうび庵 / 秋田県大館市
「新しい」曲げわっぱを作ることにこだわる工房です。わっぱの円や「曲げる」技術を生かし、既存の枠にとらわれない商品を提案しています。
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大館工芸社 / 秋田県大館市
昭和34年創業。300年後も商品が作りつづけられることを考え、使う人の暮らしや日常に溶け込む曲げわっぱ製品を作りつづけています。
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