綾ガラス
宮崎県

綾ガラスは、1997年にガラス工芸家・黒木国昭氏によって創作された、宮崎県綾町を象徴するガラス工芸品です。2025年宮崎県より伝統的工芸品の新規指定を受けています。
中でも独自のブランド「綾切子」は、照葉樹林の深い緑と降り注ぐ陽光の輝きをテーマに、三層・四層の被せガラスを用いて豊かな色彩と自然の曲線美を表現しています。従来の切子が外側から色を被せるのに対し、綾切子は内側から色を重ねることで、より深みのある色彩を実現しています。また、幾何学的なカットパターンではなく、木の葉や実、花、葉脈など自然のモチーフを曲線で取り入れ、独自のデザインを確立しています。
綾切子は、綾町の照葉樹林の文化と自然環境の重要性を世界に伝えるために制作され、綾ユネスコエコパークの登録にも貢献しました。環境保全のメッセンジャーとしての役割も担い、地域と深く結びついたシンボル作品となっています。

黒木国昭氏は、1945年に宮崎県で生まれ、高校卒業後に山谷硝子に入社し、独学で彫刻技術やデッサンを学びました。1984年に独立し、1989年には宮崎県綾町に現・グラスアート黒木を設立。1991年には国の卓越技能者「現代の名工」として表彰され、国内外で多数の受賞歴を持つなど、その技術と芸術性が高く評価されています。
綾ガラスは、自然と調和した美しさと高度な技術が融合した、現代日本のガラス工芸を代表する作品です。その独自のデザインと深い色彩表現は、多くの人々を魅了し続けています。

グラスアート黒木