別府竹細工

大分

別府竹細工とは

湯けむりただよう、日本有数の温泉地である大分県別府市。この別府市周辺に伝わる「別府竹細工」は、古くは『日本書紀』にも登場する、長い伝統を持った工芸技術です。

温泉街を歩くと、小さな竹細工専門店が、今も点在しています。店頭に並んでいるのは、籠やザルのほか、箸、しゃもじ、などの生活雑貨。何気ない一品の中に潜む、高度な技術は、使いやすいだけでなく、長く使い続けられる実用性の高い道具が多いです。

別府竹細工の歴史・技術

別府竹細工は、室町時代（1392〜1567年）に行商用の籠を作り、売り出したのが始まりとされています。江戸時代に入り、温泉地として別府の名が知られるようになります。湯治客の滞在中の厨房用品であった、米あげ笊や飯籠、味噌こしなどが土産品として持ち帰られるようになり「別府竹細工」の名も知られるようになりました。

1902（明治35）年には、別府工業徒弟学校（現大分県立大分工業高校）に竹籃科が設立し、多くの優れた作家や技術者を輩出します。その技術を後世に伝承しながら、現代の生活にも受け入れられる、素晴らしい竹細工が作られるようになりました。

別府の竹製品は、主に別府市を中心に県内に産する良質のマダケを主原料として作られます。日本には約600種以上の竹がありますが、その中でもマダケは、節間隔が長く、粘りとしなりがあるため、加工しやすく繊細な編組に適しています。また、大分県はマダケの生産量で全国1位を誇っています。このマダケにより、花籠や盛り籠を中心にファッション性を追求したバッグやランプシェードなどの日用品が数多く作られるようになりました。

竹細工は、伐採したままの青竹をそのまま利用する場合もありますが、通常、煮出して油抜きをし、天日乾燥させ、切断や皮むきなどの過程を経て、ようやく偏組（へんそ）に使われます。この加工技術の高さも、別府竹細工のブランドの精度と魅力を繋いでいるのでしょう。