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記事: 伝統工芸とは? ギフトや暮らしに選ぶ日本の手仕事

伝統工芸とは? ギフトや暮らしに選ぶ日本の手仕事
#工芸を知る

伝統工芸とは? ギフトや暮らしに選ぶ日本の手仕事

日本の伝統工芸は、触れるたびに“なぜ心を動かすのか”が腑に落ちる手仕事です。本記事では、全国の産地を訪ねてきた工芸ギフト専門店の視点から、「伝統工芸とは何か」の定義や素材別の選び方などをやさしく解説。

ギフトにも暮らしにも役立つ、素材ごとの選び方までまとめました。

伝統工芸とは?

昔から作られているものであれば、すべて伝統工芸、というわけではなく、ある一定の特徴をもつものだけが伝統工芸と呼ばれます。さらに、伝統工芸を保護し、発展させていくために、日本には伝統工芸を守る法律も制定されています。

伝統工芸の定義

伝統工芸の特徴は大きく4つ。

  1. 日常生活で使われるものを作っている
  2. 工程の多くが手作業で行われている
  3. 高度な技術を必要とする
  4. 長く受け継がれてきた歴史がある

大切なのは、最初の「日常生活で使われるものを作っている」ということ。芸術的な価値をではなく、毎日の暮らしで愛用され、私たちの暮らしを支えてた技術が伝統工芸なのです。

伝統工芸の技術を使って作られたものが「伝統工芸品」と呼ばれます。

様々な伝統工芸品

伝統的工芸品とは

伝統工芸は、長年にわたり高い技術を保ち、受け継いできました。しかし、ライフスタイルが変わり、大量生産、大量消費の時代に入ると、その技術は工場などで機械生産される製品に押され、少しずつ生産量も受け継ぐ人も減少してきました。

1974年、日本の伝統工芸を守り、技術を受け継ぐ法律「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」が制定。この法律に基づき、経済産業大臣によって、全国の伝統工芸の中でも代表的なものが「伝統的工芸品」として指定されているのです。

令和6年10月17日現在、日本の伝統的工芸品として指定されているものは243品目。
その指定要件は

  1. 主として日常生活の用に供されるものである
  2. その製造過程の主要部分が手工業的である
  3. 伝統的な技術又は技法により製造されるものである
  4. 伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるものである
  5. 一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているものである

の5つです。

中でも、伝統的と認められるためには100年以上の伝統があること、とされています。

このほかにも、各都道府県の知事が指定する各都道府県を代表する伝統工芸品もあります。いずれも、その土地で育まれ、愛されてきた技術です。地域が誇る伝統工芸を守り、発展させることで、後世に日本の文化を残していこうとしているのです。

伝統工芸のマーク

国が指定する伝統的工芸品には、指定のマークを付けることができます。伝統証紙とも呼ばれており、長年の歴史を受け継ぐ手作りの製品の証にもなっています。

そのほかにも、各地域で作られている伝統工芸のマークもあります。工芸品を見るときに、確認してみてもいいかもしれませんね。

関連記事:伝統工芸とSDGsの関係とは?

素材別実例:漆器・木工・ガラスなど

日本の伝統的工芸品に指定されているのは243品目。漆器、焼き物、織物、木工など、さまざまな種類のものがあります。その代表的なものをいくつかご紹介しましょう。

○漆器

漆器

日本の伝統工芸で世界的にもよく知られているものの一つが漆器。木や紙の上にうるしの木からとれる樹液を塗り重ねることで、器などの強度を高め、使いやすくする目的があります。漆器の産地は、青森の津軽塗から沖縄の琉球漆器など全国に点在しています。

中でも有名なのが、会津漆器(福島県)、小田原漆器(神奈川県)、輪島塗(石川県)、山中漆器(石川県)、金沢漆器(石川県)など。

特に石川県の3つの漆器産地は「木地の山中」「塗りの輪島」「蒔絵の金沢」と呼ばれ、それぞれ個性のある漆器を生産しています。(関連記事:なぜ北陸には工芸品が多いのか?─自然・歴史・文化が紡いだものづくり

山中漆器 サブロク椀

○陶磁器

茶碗や皿、湯飲みなど、日本人の生活に欠かせない陶磁器。日本全国にそれぞれ特徴のある産地があります。
陶器と磁器の違いは、原材料と焼き方。陶器は陶土と呼ばれる粘土を使い、800~1250度で焼きます。吸水性が高く、ぬくもりが感じられる素朴な厚手のものがほとんどです。
磁器は陶石を粉砕して粘土に混ぜて使います。1200~1400度で焼くことで、堅く、薄く、なめらかな肌触りの器になります。(関連記事:陶磁器とは?陶器と磁器の違いと特徴をやさしく解説
代表的陶磁器の産地には、益子焼(栃木県)、九谷焼(石川県)、美濃焼(岐阜県)、瀬戸焼(愛知県)、信楽焼(滋賀県)、備前焼(岡山県)、有田焼・伊万里焼(佐賀県)、波佐見焼(長崎県)などがあります。

○金工

南部鉄器の熔解作業

刀剣ブームもあり、見直されている日本の金工。カラフルな鉄瓶などが海外からも注目を集めています。

日本の金工の始まりは生活を守るための農業の道具づくり。その技術は刃物づくりや生活の道具づくりに受け継がれ、現在も、鉄や銀、銅などを使った、刃物や器、鉄瓶などが製造されています。

主な産地には、南部鉄器(岩手県)、燕鎚起銅器(新潟県)、高岡銅器(富山県)、大阪浪華錫器(大阪府)など。刃物や器だけでなく、象がんなどの装飾品もあります。

薫山工房の南部鉄器
>素材で選ぶ、一覧はこちら

○木工

樺細工職人
国土の多くを森林におおわれた日本は、昔から木を使った道具づくりが盛んでした。杉、ヒノキ、ケヤキ、桜のほか、竹などを使った道具が作られ続けています。
その手法は、木を組み合わせたり、曲げたりするもののほか、彫刻を施したり、樹皮を活用したりとさまざま。いずれも、木がもつ表情をそのまま生かした、自然の美が感じられるものです。
主な産地には、樺細工(秋田県)、大館曲げわっぱ(秋田県)、紀州箪笥(和歌山県)、別府竹細工(大分県)などがあります。

○染め物・織物

久留米絣
高貴な平安貴族の暮らしを彩った織物や染め物の技術。その色合いや紋様や、当時の人々の美意識を反映し、さまざまな展開を見せてきました。近年では、庶民に愛された紬や絣などの価値も見直されています。
主な産地には、織物に結城紬(栃木県)、西陣織(京都府)、博多織(福岡県)、本場大島紬(鹿児島県)、琉球紬(沖縄県)など。染め物には、東京染小紋(東京都)、加賀友禅(石川県)、京友禅(京都府)、琉球紅型(沖縄県)などがあります。

○その他の伝統工芸

江戸切子職人

そのほか、日本の伝統的工芸品には、京扇子などの和紙工芸、江戸切子などのガラス工芸、江戸木目込人形などの人形工芸、熊野筆などの文房具、越前和紙などの和紙工芸もあります。


素材別の選び方

漆器|軽さ・手ざわり・経年変化で選ぶ

漆器は“軽さ”と“口当たりの良さ”が魅力。毎日使っても疲れにくく、熱い料理でも器が熱くなりにくい特性があります。
黒・朱・溜など色ごとの表情、艶の深まりなど“育つ楽しみ”があり、贈り物には〈吸い物椀・汁椀・小皿〉が人気です。

選ぶ基準:軽さ/持ちやすさ/塗りの種類(拭き漆・本漆)/用途に合う形
関連記事:漆器のお

木工|温かみ・木目・耐久性で選ぶ

木工品は“手に馴染む温もり”が特徴。料理の器・カトラリー・収納道具など用途が広く、木目の個性が一点ずつ異なります。
イチョウ・サクラ・クルミなど樹種で硬さや色合いが変わり、ギフトでは〈お椀・皿・お弁当箱〉が特に選ばれています。


選ぶ基準:樹種(堅さ・重さ)/木目の好み/仕上げ(オイル・漆)/メンテ頻度
関連記事:木のお椀の選び方

ガラス|透明感・カット・光の表情で選ぶ

ガラス工芸は“光をどう受けるか”で雰囲気が変わる素材。江戸切子・吹きガラスなど技法によって印象が大きく異なります。
食卓で映えるグラス類、花器、インテリアとしても万能。ギフトでは〈タンブラー・ぐい呑み・花器〉が定番です。


選ぶ基準:用途(酒器/水用)/厚み/カットの繊細さ/持ちやすさ
関連ページ:日本の伝統ガラス工芸ギフト|江戸切子・吹きガラス・琉球硝子など

陶磁器|色・質感・産地で選ぶ

陶磁器は“土の表情”が魅力。備前・有田・九谷・笠間など、産地ごとに色も模様も技法も大きく違います。
普段使いから特別な日まで幅広く、贈り物では〈豆皿・湯呑・大皿〉など用途を選ばず喜ばれる品が中心。


選ぶ基準:陶器か磁器か/重さ/吸水性/産地の特徴/柄の好み
関連記事:陶磁器とは?陶器と磁器の違いと特徴をやさしく解説

金工|重厚感・耐久性・職人技の精密さで選ぶ

金工は“ずっしりとした存在感”と“精密な作り”が魅力。南部鉄器・銅器・錫器など、素材に応じて手触りや重さが変わります。
長く使える実用品として〈急須・酒器・花器〉が人気で、記念品としても強いジャンルです。


選ぶ基準:重さ/手入れのしやすさ/用途(茶・酒・インテリア)/産地性
関連:南部鉄器ガイド

伝統工芸ってどんな風に受け継がれてきたの?

100年以上の歴史がなければ、指定されない日本の伝統的工芸品。その技術は、どのように受け継がれてきたのでしょうか。
職人になるにはどうしたらいいのか、現在はどのように職人技を伝承しているのか、伝統工芸の今を知ることで、これからの伝統工芸が見えてきます。

伝統工芸の職人に免許や資格はない

伝統工芸を受け継ぎ、発展させてきた職人たち。大工や左官などの職人に一定の資格制度がるのと異なり、伝統工芸の職人には、免許や資格はありません。多くの工房が、それぞれの伝統工芸に興味をもった人たちを弟子として受けいれ、技術を教え、受け継いできました。

一定の技術を受け継いだ後は、そのまま工房で働き続けたり、独立したりして、自らの技術を磨き、一人前の職人として認められるよう、精進する、という仕組みです。

最近では、各県の伝統工芸をより多くの人に受け継ぐため、都道府県などが運営する職人養成施設もできています。基本的な技術を学んだあと、地域の工房で実際に工芸品の制作を行いながら、技術を磨いてきます。

一定以上の実務経験を積み、専門的で高度な技術を身に着けた職人は、国の伝統工芸士の試験を受験することも。技術の高さを認定し、多くの人に伝統工芸を教えることを認める資格で、全国で5,000人ほどが登録しています。

伝統工芸に興味を持つ若者も増加

高齢化がすすみ、技術の継承が危ぶまれていた伝統工芸の世界。従事者の数は減少傾向にありますが、近年では、20~40代の従事者が増加しています。
「個性が生かせる」「モノづくりへの魅力」を感じる若者が増え、新たな感性で作られる伝統工芸品も人気です。

伝統工芸は、技術やデザインを受け継ぐだけでなく、その時々の生活様式に合わせて、当時の最先端の技術を活かしながら、変化し、発展し続けたからこそ、今も愛され、生き続けているものです。
今後、新しい感性を生かして、どんな製品が生まれていくのか。若い伝統工芸の継承者増加に、期待したいですね。


ギフトとして選ぶ“伝統工芸”の魅力

贈り物を選ぶとき、「相手の人生に長く寄り添うものを渡したい」と感じることはありませんか。伝統工芸品は、素材・技法・産地の物語が一つに結びついた“時間の贈り物”。大量生産品にはない深みや、手仕事ならではの温もりが、ギフトとしての特別感を引き立てます。

たとえば、漆器は使うほど艶が増し、木工品は木目の表情が変化し、ガラス工芸は光の入り方で違う表情を見せます。どれも“贈った後に育つ”という価値を持ち、受け取った方の暮らしに静かに馴染んでいきます。

「どうしてこの品を選んだのか」という想いも伝わり、人生の節目や大切な日のギフトとして、多くの方に選ばれています。

ギフト用途例(結婚祝い・退職祝い・還暦・周年記念など)

伝統工芸は、さまざまなシーンで“特別な一品”として選ばれています。

  • 結婚祝い:夫婦で長く使える器やグラスなど、暮らしを豊かにする品が人気
  • 退職祝い:感謝の気持ちを真っ直ぐ伝える“上質で実用的”な贈り物として最適
  • 還暦・長寿祝い:赤にまつわる漆器や縁起の良い模様など、祝いの意味を込めやすい
  • 周年記念(企業ギフト):名入れ・ロゴ入れ対応の工芸品が“記念に残る品”として好評
  • 新築祝い・開店祝い:空間に調和する木工品やガラス工芸、アート性の高い品が選ばれやすい

用途に合わせて“意味のあるデザイン”“縁起の良い素材”“実用性”を組み合わせられることが、伝統工芸がギフトとして強い理由です。

還暦や結婚祝い・法人ギフト・海外土産などに最適で上質な品を厳選

伝統工芸、次世代に伝えよう

暮らしに根付いた技術として、長く受けつがれてきた日本の伝統工芸。長い歴史が作ってきた技術を使い、人の手から生み出される伝統工芸品には、年代を超えて人の心をつかむ「何か」があるように思います。

大量生産品に押されて、私たちの暮らしから少し遠ざかってしまった伝統工芸品ですが、よいものを大切に、長く使う生活様式を教えてくれるものでもあります。皆さんの暮らしに、日本の伝統工芸を一つ、取り入れることは、丁寧な暮らしやうるおいのある毎日のきっかけにもつながるのではないでしょうか。

日本が誇る技術を未来に受け継ぐためにも、伝統工芸の良さを見直し、広い世代へ、世界へ、発信していくことが需要だと、私たちは考えています。

 

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