
木製のお椀(汁椀)を選ぶ|木の種類・用途・手入れで分かる選び方
木のお椀は、食卓に木の温かみと自然の風合いを添え、毎日の食事を楽しくしてくれる存在です。選び方のポイントをおさえて、あなたにぴったりのお椀を見つけましょう。
【木のお椀を選ぶときのポイント5点】
・木の種類と風合い
・サイズと用途
・塗装・仕上げ
・軽さと持ちやすさ
・産地や作り手のこだわり
本記事では、 「素材で選ぶ」「用途で選ぶ」「メンテナンスで選ぶ」 の3つの視点から、木製のお椀を失敗せず選ぶためのポイントと、実際に使い続けるためのコツを余すところなくお届けします。
最後まで読めば、「どの木材が自分/贈り物に合っているか」「どんな形状・仕上げが日常使い/特別なシーンに向いているか」「購入後に気をつける手入れのポイント」まで明確になります。
目次
【しらさぎ椀M ナチュラルシリーズ】
木の種類で違う特徴
漆器の素材となる天然木にはさまざまなものがあります。大まかに、針葉樹は木肌が滑らかで柔らかく軽い、広葉樹は丈夫で木目がユニーク、という特徴があります。木の器によく使われる木の特徴を見てみましょう。
吸湿性と殺菌効果に優れたスギ
昔から、殺菌作用、抗菌作用がある木として知られるスギは、その性質から曲げわっぱなどの素材になっています。柔らかく加工しやすいので、家具や樽、桶、割りばしなどに使われることが多い木です。
>大館曲げわっぱ
>弁当箱 | 古代杉の弁当箱 | 土佐龍
>屋久杉 | お箸 | 高級箸 | 2膳セット
古くから知られる高級木材ヒノキ
美しい木目と光沢があり、昔から高級木材として愛用されてきたのがヒノキです。水に強く、抗菌作用もあることから、食器用の素材としてもよく使われています。特にまな板の素材として有名です。
>まな板 | 四万十ひのき スタンド付 ”一枚板” 30mmシリーズ | 土佐龍
丈夫で木目が美しいケヤキ
漆器の木地としてよく使われているのがケヤキです。硬く丈夫で木目も美しいのが大きな特徴。天然木らしい鮮やかな黄色も人気のポイントです。
ウイスキー樽にも使われるナラ
ナラの中でも食器用に使われる「ミズナラ」は硬く、ずっしりとした重さがある木材。ウイスキーの醸造樽にも使われており、強度もあります。
赤みを帯びた落ち着いた色味のサクラ
日本人が好きなサクラは木材でも人気の素材です。赤みを帯びた茶色も落ち着いた雰囲気です。小枝が多くユニークな木目が出るのも特徴の一つになっています。


ナチュラルカラーで洋食にも合うブナ
ナチュラルな白い木肌が洋の食事にも合うのがブナ。曲がりやすく扱いにくい木と言われてきましたが、技術の向上と共に器として加工されることも多くなりました。
天然木らしさがあるクリ
硬さと耐水性の高さで器用の木材として人気のクリは、丈夫さゆえに、線路の枕木にも使われています。はっきりした年輪が出るので、天然木のお椀を使っているという雰囲気がしっかりと楽しめます。

硬く安定感があるカシ
「樫」の字に「堅い」が入っていることからも分かるように、とても硬く強度がある木です。それゆえに加工が難しいという特徴もあります。また、木材の中ではとても重く安定感のある器になります。
なめらかな木肌で世界で愛用されるカエデ
硬さと強度があり、世界中で食器やカトラリーなどに加工されているカエデ。なめらかな木肌で人気の木材でもあります。
ゆがみが少なく衝撃に強いクルミ
ウォルナットの名前でも知られるクルミは衝撃に強く、ゆがみが少ないことから、お皿などにもよく使われています。適度な油分を含み、水にも強い素材です。
爽やかな香りが残るクスノキ
防虫剤に使われる「樟脳」でも知られるクスノキ。ダイナミックな木目を好む人も少なくありません。さわやかな香りは食器に加工された後も残ります。水にも強い素材です。
>薗部産業(北欧デザインを思わせる木目の美しさ)のお椀はこちら
>漆器のお椀 一覧はこちら
お椀選びは形も考えよう
お椀を選ぶ際に、素材と同じくらい気を付けたいのが形です。実際に手に持ってみて持ちやすいもの、口が付けやすいものを選んでみましょう。
万能な「仙才(せんさい)」
お椀の形として古くから選ばれてきたのが「仙才」です。仙人のようにさまざまな才能をもった形、という意味で名付けられたとも言われています。手のひらに沿う形で持ちやすいだけでなく、容量も適当。しかも積み重ねやすいデザインです。
持ちやすく飲みやすい「毬(まり)」
同じように丸みを帯びた形でも「毬」型は、飲み口が少しすぼまっているのが特徴です。持ちやすいだけなく、汁物を飲みやすい形になっています。
口が付けやすい「羽反(はぞれ)」
吸い口が外に反っているいる形が「羽反」。持ちやすいだけでなく、口を付けやすい形です。積み重ねて収納するのにも便利で、小鉢などにも使いやすい形です。
白鷺木工のサブロク椀シリーズは以下の画像のような形状のお椀を取り揃えています。

>白鷺木工(正真正銘の真面目な日本製「メイドインジャパン」をつくり続けて)はこちら
お椀のお手入れは水気に注意
お気に入りの木の器を長持ちさせるためには、使った後に正しくお手入れしてあげることも大切です。とはいえ、特別なことはしなくても大丈夫。NGポイントだけをしっかり守って、日々使うことで、艶も増していきます。
使い終わったら洗剤で洗ってOK
漆器であっても、使い終わった木の食器は食器用洗剤で他の食器と一緒に洗ってOKです。ただし、柔らかいスポンジを使うようにしましょう。目の粗いものや硬いスポンジは表面に傷を作る原因になります。漆器は漆がはげる要因になるのでより注意が必要です。
水気には注意が必要
木の食器なので、湿気や水気には弱いもの。使い終わった器を水につけっぱなしにしたり、洗い終わった器をそのまま放置しないように注意しましょう。カビの原因になってしまいます。洗ったらすぐに乾いた布巾でしっかりと水気をふき取るのが重要です。
食器洗浄機は厳禁
食器洗浄機も厳禁です。長時間水に触れているという点だけでなく、乾燥時に高温になることで木が必要以上に温まり、ヒビや表面塗装がはがれる原因になります。お椀だけは別に洗ってください。
>関連記事:工芸品は食洗機で洗える?素材別の可否と手入れ方法解説
ギフトや特別なシーンで選ぶ木のお椀
■ 押さえておきたいギフトの条件
贈答用として木のお椀を選ぶ際には、次のポイントを押さえておくと安心です。
- 箱入り・ラッピング対応:贈る相手の印象に残る“見た目”が整っていること。
- 名入れ・刻印サービス:結婚祝いや新築祝いなど、記念として残る演出が可能。
- ペア展開・セット構成:夫婦用、家族用など「二人/複数人で使える」仕様だと選びやすくなります。
名入れ/ラッピング/ペア仕様について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください → ギフトサービス
■ 用途別に見る「どれを贈るか」
用途によって、どんなお椀を選ぶかが変わってきます。
- 味噌汁用:毎日の汁物に使いやすいサイズ・軽さ・口当たりを重視。
- ご飯用:食卓の中心となる器として、少し上質な素材や仕上げを選ぶことで特別感が出ます。
- サラダボウル・多用途用:浅め・口広めの形状や木目の美しさが映える器として、見せる用途に適しています。
用途に応じたお椀を選びたい方はこちらのカテゴリもご参照ください → お椀・お碗コレクション
■ 高級素材を選ぶポイント:ケヤキ・ウォールナットなど
高級木材は素材そのものが価値になり、贈り物としての魅力度を高めます。
- ケヤキ(欅):国産で木目が美しく、硬さもあり長く使える素材。
- ウォールナット:深い色味と木目のコントラストが高級感を演出。
高級材は価格が高めな上、使用中・使用後のメンテナンスを怠ると風合いが損なわれるため、選ぶ際には「お手入れ方法」もしっかり案内しておくべきです。
木材そのものの特性に興味がある方はこちらの記事もおすすめです → 工芸品に使われる木材の種類と特性
毎日使うから素材も形も気に入ったものを選んで
木のお椀は、見た目の美しさだけでなく、自然素材ならではの風合いや木の温かみを感じられる器です。あなたの暮らしに寄り添い、日々の食卓を少し豊かに彩ってくれることでしょう。
毎日の食事で使うお椀は、色や形だけでなく、素材の特徴も意識して選ぶと、より一層愛着が湧いてきます。気に入ったお椀なら、お手入れも自然と丁寧になり、器の寿命も長くなるものです。
そうして大切に使い続けることで、器とともに思い出も積み重なっていきます。ちょっとだけ質のいいものを選んで、毎日の食卓をほんの少し贅沢にしてみてください。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 木のお椀を食洗機に入れても大丈夫ですか?
A1. 基本的には避けることをおすすめします。長時間の浸水や高温洗浄は、木が反ったり塗装が剥がれたりする原因となるためです。使用後はぬるま湯で手洗いし、陰干しすることで長く使えます。
Q2. 木のお椀がひび割れてしまった場合、どうすれば良いでしょうか?
A2. まずは乾燥環境を整え、ひびが浅ければ木工用オイルや軽い補修で改善できる場合があります。ただし、深い割れや構造的に危険な割れは交換を検討してください。
Q3. 木のお椀に嫌な臭いがついてしまったらどうしたら?
A3. ぬるま湯+中性洗剤で優しく手洗い後、風通しの良い場所で陰干ししてください。初回使用前には、米のとぎ汁や薄い酢水に短時間浸しておくと臭いが付きにくくなります。
| 【あわせて読みたい】 |
| > 「伝統工芸の魅力」記事一覧 |




















