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記事: 木の種類から考えるお椀選び

木の種類から考えるお椀選び
#工芸を知る

木の種類から考えるお椀選び

ご飯とお味噌汁が基本となる和食で重要な器の一つになっているのが「お椀」です。汁物を入れるだけでなく、ちょっとした煮物や和え物を入れてもいいお椀。すぐに塗装がはげてしまう安価なものではなく、長く使える漆器を選ぶ人も増えています。漆器の素材になっているのは天然木。今回は素材の木の特徴からお椀選びを考えてみました。

 

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木の種類で違う特徴

漆器の素材となる天然木にはさまざまなものがあります。大まかに、針葉樹は木肌が滑らかで柔らかく軽い、広葉樹は丈夫で木目がユニーク、という特徴があります。木の器によく使われる木の特徴を見てみましょう。

吸湿性と殺菌効果に優れたスギ

昔から、殺菌作用、抗菌作用がある木として知られるスギは、その性質から曲げわっぱなどの素材になっています。柔らかく加工しやすいので、家具や樽、桶、割りばしなどに使われることが多い木です。

大館曲げわっぱ
弁当箱 | 古代杉の弁当箱 | 土佐龍 
屋久杉 | お箸 | 高級箸 | 2膳セット 

 

古くから知られる高級木材ヒノキ

美しい木目と光沢があり、昔から高級木材として愛用されてきたのがヒノキです。水に強く、抗菌作用もあることから、食器用の素材としてもよく使われています。特にまな板の素材として有名です。

まな板 | 四万十ひのき スタンド付 ”一枚板” 30mmシリーズ | 土佐龍 

 

丈夫で木目が美しいケヤキ

漆器の木地としてよく使われているのがケヤキです。硬く丈夫で木目も美しいのが大きな特徴。天然木らしい鮮やかな黄色も人気のポイントです。

 

 

ウイスキー樽にも使われるナラ

ナラの中でも食器用に使われる「ミズナラ」は硬く、ずっしりとした重さがある木材。ウイスキーの醸造樽にも使われており、強度もあります。

 

 

赤みを帯びた落ち着いた色味のサクラ

日本人が好きなサクラは木材でも人気の素材です。赤みを帯びた茶色も落ち着いた雰囲気です。小枝が多くユニークな木目が出るのも特徴の一つになっています。


 

ナチュラルカラーで洋食にも合うブナ

ナチュラルな白い木肌が洋の食事にも合うのがブナ。曲がりやすく扱いにくい木と言われてきましたが、技術の向上と共に器として加工されることも多くなりました。

 

 

天然木らしさがあるクリ

硬さと耐水性の高さで器用の木材として人気のクリは、丈夫さゆえに、線路の枕木にも使われています。はっきりした年輪が出るので、天然木のお椀を使っているという雰囲気がしっかりと楽しめます。


 

硬く安定感があるカシ

「樫」の字に「堅い」が入っていることからも分かるように、とても硬く強度がある木です。それゆえに加工が難しいという特徴もあります。また、木材の中ではとても重く安定感のある器になります。

 

なめらかな木肌で世界で愛用されるカエデ

硬さと強度があり、世界中で食器やカトラリーなどに加工されているカエデ。なめらかな木肌で人気の木材でもあります。

 

 

ゆがみが少なく衝撃に強いクルミ

ウォルナットの名前でも知られるクルミは衝撃に強く、ゆがみが少ないことから、お皿などにもよく使われています。適度な油分を含み、水にも強い素材です。

 

爽やかな香りが残るクスノキ

防虫剤に使われる「樟脳」でも知られるクスノキ。ダイナミックな木目を好む人も少なくありません。さわやかな香りは食器に加工された後も残ります。水にも強い素材です。

 

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お椀選びは形も考えよう

お椀を選ぶ際に、素材と同じくらい気を付けたいのが形です。実際に手に持ってみて持ちやすいもの、口が付けやすいものを選んでみましょう。

万能な「仙才(せんさい)」

お椀の形として古くから選ばれてきたのが「仙才」です。仙人のようにさまざまな才能をもった形、という意味で名付けられたとも言われています。手のひらに沿う形で持ちやすいだけでなく、容量も適当。しかも積み重ねやすいデザインです。

持ちやすく飲みやすい「毬(まり)」

同じように丸みを帯びた形でも「毬」型は、飲み口が少しすぼまっているのが特徴です。持ちやすいだけなく、汁物を飲みやすい形になっています。

口が付けやすい「羽反(はぞれ)」

吸い口が外に反っているいる形が「羽反」。持ちやすいだけでなく、口を付けやすい形です。積み重ねて収納するのにも便利で、小鉢などにも使いやすい形です。

 

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布袋 | 百合 | 仙才 | 羽反

 

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お椀のお手入れは水気に注意

お気に入りの木の器を長持ちさせるためには、使った後に正しくお手入れしてあげることも大切です。とはいえ、特別なことはしなくても大丈夫。NGポイントだけをしっかり守って、日々使うことで、艶も増していきます。

使い終わったら洗剤で洗ってOK

漆器であっても、使い終わった木の食器は食器用洗剤で他の食器と一緒に洗ってOKです。ただし、柔らかいスポンジを使うようにしましょう。目の粗いものや硬いスポンジは表面に傷を作る原因になります。漆器は漆がはげる要因になるのでより注意が必要です。

水気には注意が必要

木の食器なので、湿気や水気には弱いもの。使い終わった器を水につけっぱなしにしたり、洗い終わった器をそのまま放置しないように注意しましょう。カビの原因になってしまいます。洗ったらすぐに乾いた布巾でしっかりと水気をふき取るのが重要です。

食器洗浄機は厳禁

食器洗浄機も厳禁です。長時間水に触れているという点だけでなく、乾燥時に高温になることで木が必要以上に温まり、ヒビや表面塗装がはがれる原因になります。お椀だけは別に洗ってください。

 

毎日使うから素材も形も気に入ったものを選んで

毎日の食事で使うお椀。色や形だけでなく、素材の特徴も考えて選べば愛着も一層増しそうですね。気に入ったものであれば、お手入れも丁寧になるというもの。大切に使っていくことでお椀の寿命も長くなり、思い出も積み重なっていきます。ちょっとだけ質のいいものを選んで、毎日の食卓を少しだけ、豊かにしてみてください。

 

 

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