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コラボで世界に注目される日本の伝統工芸

コラボで世界に注目される日本の伝統工芸

精密さや繊細さが、世界から再認識されている日本の工芸品。
そのきっかけの1つが、さまざまな業種と日本の工芸品とのコラボにあることをご存じだろうか。伝統にとらわれず新たなチャレンジを続ける日本の伝統工芸に、今、世界の注目が集まっている。業界を超えた事例を4つに分けまとめてみた。

独特の世界感を、渋く再現!<ゲームコラボ>

RPGやシューティングなど、日本発のゲームは年齢や男女を問わず世界に知られているものが多い。ゲーム独特の世界観を伝統の技で表現することで、工芸品の魅力に気づいた若年層も少なくないようだ。

Ⅰ-1刀キャラの魅力をリアルに 風呂敷・日本刀×刀剣乱舞

空前の刀剣ブームのきっかけになった、名刀を擬人化し育成していくシユレーションゲーム「刀剣乱舞(とうけんらんぶ)」。日本刀の世界に若い女性が興味を持ち、風呂敷、手ぬぐいなどのコラボ商品開発も多い。刀剣の世界から、日本伝統の商品に興味を持つ人も少なくないようだ。

各地で日本刀を復元する動きも起きている。中でも人気キャラクターの1人で、保管されていた熊本県の阿蘇神社から戦後の混乱時に行方不明になっていた大太刀「蛍丸」の復元は話題になった。

クラウドファンディングで出資者を募るスタイルで行われ、開始6日で希望額の約6倍の3,000万円以上を集めた。二人の刀匠により、伝統的な技法で復元された蛍丸は、平成28年熊本地震で大きな被害を受けた阿蘇神社に奉納され、復興のシンボルにもなっている。

Ⅰ-2あのインクがお皿も染めた? 有田焼×スプラトゥーン

任天堂のゲーム機WiiU専用の人気アクションシューティングゲーム「スプラトゥーン」。人の姿に変身できる「インクリング」というイカが、インクを撃ち合う楽しさが好評だ。

このスプラトゥーンとコラボしたのが佐賀県の伝統工芸品「有田焼」と「唐津焼」。イカの名産地である佐賀県唐津市呼子町で開催されたコラボイベントをきっかけに、限定の食器が発売された。

コラボ商品として作られたのは、ゲームキャラクターのイカを象った素朴な唐津焼の箸置きや器、乳白色の磁肌に鮮やかなキャラクターのイラストが映える有田焼の豆皿など。ゲームの世界観とそれぞれ焼き物らしさが融合することで、日頃工芸品を手にしないゲームユーザーにも人気の器になっている。

Ⅰ-3ビジネスシーンでも使えるパックマン柄 甲州印伝×パックマン

ナムコが1980年に発表し、世界に知られるアーケードゲーム「パックマン」。ハリウッド映画のモチーフになるなど、80年代のミッキーマウスと呼ばれるほどの知名度を誇る。

2015年にパックマン35周年を記念して作られたのが、400年の歴史を誇る革工芸「甲州印伝」とのコラボ財布や名刺入れ。紺や茶など落ち着いた色調に染められた革に、漆で描かれた模様は、迷路をすすむパックマン。

ビジネスシーンでも使いやすいように仕上げることで、かつてパックマンで遊んだ大人ユーザーも取り込む逸品になった。さりげなく使うことで、大人のパックマンユーザー同志がつながるきっかけやビジネスシーンでの会話のきっかけにもなるという。

遊び心と伝統の手仕上げが出会うことで、これまでにないユーザーを取り込んだコラボ。ビジネスシーンでも日本の伝統工芸の良さを伝えるきっかけになった。

Ⅱ その精巧さが共通点。 <アニメコラボ>

日本文化を世界に広めた要因の1つ、アニメ。設定や絵の美しさなど、高い技術と繊細な世界観は、世界の若者の心を捉え、日本に憧れる層を生み出している。

細部まで心を配って1つの世界を作り上げるという点は伝統工芸品も同じ。アニメと伝統工芸品のコラボが多いのは、同じ心意気で作られているものだからなのかもしれない。

Ⅱ-1高精度な作りと輝きがファン心理をくすぐる 山中塗×ガンダム

今も多くの熱烈なファンがいる日本アニメの金字塔「ガンダム」シリーズ。登場する人型ロボット兵器「モビルスーツ」を模したプラモデルシリーズは、年齢を問わず多くの人の心を掴んだ。

そんなガンダムシリーズに心を奪われた山中漆器の職人たちが、持ちうる技術と魂を込めて作り上げたのが、山中塗のガンダム。市販のプラモデルに赤や黒の漆をまとい、金銀の蒔絵で彩られた作品だ。

この作品は2011年に開かれたガンプラの世界大会予選に出品され、大きな反響を読んだ。「塗や蒔絵の技術を多くの人に知ってもらいたい」と始まった取組みが、世界に日本工芸の技術の高さを知らしめた事例となった。

Ⅱ-2コート内の技の切れ味をガラスに映して 江戸切子×黒子のバスケ

バスケットボールを題材とした人気アニメ「黒子のバスケ」。切れのあるバスケットのプレイシーンが人気の作品で、アニメ終了後も多くのグッズが発売されている。7人の人気キャラクターの名前に色が入っていることから、グッズも鮮やかな色が使われることが多い。

西陣織のショルダーバッグや川連漆器の箸など、伝統工芸品とのコラボも多い「黒子のバスケ」だが、中でも人気があったのが「江戸切子」とコラボしたグラスとプレート。バスケットボールになぞらえた紋様を熟練職人が手作業でカットし、透明感のある作品に仕上げた。

その緻密さは江戸切子ならでは。籠目などの伝統の柄と、シェイクなどキャラクターを表す現代にしかない模様をコラボさせることで、伝統とアニメの世界を見事に融合させ、人気を集めた。

Ⅱ-3世界のアニメファンが殺到するジャパンオリジナル 工芸×アニメジャパン

回を迎えるこのイベントの目玉にもなっているのが、アニメと日本の伝統工芸がコラボしたさまざまな限定グッズだ。「日常生活に、伝統とアニメを」をテーマに、毎年多くのコラボグッズが会場限定で販売されている。

2016年の人気グッズは、京友禅とコラボした「おそ松さん」のハンカチや、宮城の漆器「玉虫塗」とコラボした「刀剣乱舞」の手鏡、三重県の伊賀焼とコラボした「NARUTO」の茶碗など。

2017年には、江戸切子の「ご注文はうさぎですか?」グラスや、長崎県の波佐見焼で作られた「ユーリ!!on ICE」のフリーカップなどが発売された。いずれも、伝統の技を活かしながら、アニメの世界を色合いやデザインで見事に表現したものばかり。海外のアニメファンに、日本伝統の技を伝える貴重な機会にもなっている。

Ⅲ スタバが注目した日本の工芸品

ドリンクの味わいだけでなく、くつろぎの時間と価値観を提供してくれることで人気の「スターバックス」。地域とのつながりを深く、強いものにする活動として行っているのが、地域の伝統工芸とのコラボだ。

Ⅲ-1地域とのつながりを深くする「JIMOTO made

スターバックスにとって地域とは「人々の心を豊かで活力あるものにするために―ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」というミッションを実現するための重要な要素。

店舗がある地域とのつながりを深くするための活動として、スターバックス日本1号店がオープンして20年目にあたる2016年に始まったのが、通称「JIMOTO made」プロジェクトだ。

「JIMOTO made」の特徴は、地域にある伝統工芸とコラボして、スターバックスのこだわりが感じられる関連グッズを作る、という点と、その地域の限定された店舗でしか販売していない、という点。地域に行き、その地域を感じた人だけが手に入れられる、どこまでも「地元」にこだわったコラボになっている。

最初のコラボグッズとして誕生したのが江戸切子のグラス。スターバックスカラーのディープグリーンに、伝統的な籠目柄とIDボックスなどを刻み込んだ美しいグラスとして誕生した。

Ⅲ-2津軽びいどろ、信楽、小石原。集めたくなる工芸品

第一弾発売後、大きな話題をよんだ「JIMOTO made」シリーズは、その後、高山の伝統工芸の漆を使った「ウッドマグ」、福岡の陶芸「小石原焼」の伝統技法「飛び鉋」が施されたマグカップ、石川の九谷焼がもつ8つの作風をモチーフにした、カップとコースターなど。

いずれも、伝統の技を活かしながらスタバの世界観を表現した逸品ばかりだ。地元の数店舗のみで販売されているが、すでに、コレクターもいるほどの人気アイテム。数量も限られるため、完売していることもある。

しかし、購入できた人が次々にFacebookやInstagramなどのSNSに喜びの声をアップし、若い層を中心に話題に。次にどんな地域の工芸品とコラボするのか、楽しみにしているファンも少なくない。

Ⅲ-3伝統を活かし、未来につながるコラボ

多くの「JIMOTO made」シリーズの中でも人気が高いのが、青森で漁業用浮玉の技法を応用して作られている「津軽びいどろ」のグラス。作っているのは、伝統的な宙吹きの技法で津軽びいどろの商品を作成している「北洋硝子株式会社」だ。

丈夫で質が良いと評判だった浮玉と同じ技法で作られるハンドメイドガラスは、独特の色合いの美しさと素朴な質感で人気が高い。

最も大きな特徴は鮮やかな色。日本の四季を感じさせる色ガラスは自社で配合しており、北洋硝子にしかない色もあるという。そんな繊細な色ガラスを使い「持つ人の心を豊かにし、地域を感じさせる」4つのデザインを完成させた。

「デザインどおりの色柄を出すのがいちばんの難関でした。色が偏らないよう、バランスよく色ガラスを配置しなければならなくて。また、ロゴの見え方、色柄と透明な部分との割合も難しかった。」とはグラスづくりを手掛けた職人の談。

伝統の技を活かしながら、技術の向上にもつながるのが、スターバックスと伝統工芸とのコラボ、といえるだろう。


Ⅳ ファッション界も注目する日本の工芸

生活の道具であるにもかかわらず、デザイン性にも富むのが日本の工芸品の特徴。だからこそ、世界のファッションブランドからも注目され、さまざまな機会でコラボが実現している。

Ⅳ-1黒と金のコントラストに浮かび上がるモノグラム 輪島塗×ルイ・ヴィトン

2007年に、能登半島地震で被害を受けた輪島塗の復興支援として企画された「輪島塗」とルイ・ヴィトンとのコラボでは、「BOITE LAQUEE WAJIMA(ボワット ラケ ワジマ)」と名付けられた小物入れが作られ、注目を集めた。美しい黒漆に金蒔絵でモノグラムの花模様とLとVが重なったロゴマークがあしらわれた外観だけでなく、内側も漆と珪藻土粉末をかけ合わせ、傷がつきにくいようにした「蒔地仕上げ」を施すというこだわりぶり。

限定200個の小物入れは、すぐに完売し、今もオークションなどで人気の商品になっている。


Ⅳ-2ガラスの輝きをコスメ缶に 江戸切子×スチームクリーム

ガラス、ではないが、江戸切子の繊細なカット模様に魅了されたのがイギリスで誕生した保湿クリーム「スチームクリーム」。バラエティに富むパッケージデザインでも人気のコスメブランドだ。

10周年を記念して2017年に発売されたのが、江戸切子の3つの紋様を再現したデザイン缶。グラスを上からのぞき込んだときのイメージをそのまま缶にプリントし、新しいイメージの缶に仕上げた。

着物の柄などをデザインに施すのではなく、ガラスのカット紋様をそのまま丸い缶に写したことで、まるで江戸切子のグラスを持ったような気持ちになれるデザイン缶。伝統工芸を身近に感じ、技術や美しさを知る機会としても活かされている。

ほかにも、140年の伝統技法で染め上げる、鮮やかな手ぬぐいの柄をモチーフにしたデザイン缶も発売されている。


Ⅳ-3世界が認めるジャパンブランド 日本の工芸 

多くの大量生産品に押され、各地で伝統継承の危機という問題も抱える日本の伝統工芸。しかし、その高い技術や芸術性は、世界に認められる重要なジャパンブランドの1つだ。

だからこそ、日本文化の1つとして、現代に溶け込む形で発信することで、「古くて新しいもの」として多くの人に認められつつある、といえるだろう。それは、技術を受け継ぐ職人たちの、柔軟で意欲的な挑戦がもたらした、新たな日本工芸の姿なのかもしれない。

今後、どんなコラボが私たちを驚かせ、新たな日本工芸品の魅力を作り出し、発信していくのか、楽しみに注目していきたい。

*ご紹介した伝統工芸とのコラボ商品は、いずれも数量限定で作成されているため、現在は販売が終了しているものがあります。

そのきっかけの1つが、さまざまな業種と日本の工芸品とのコラボにあることをご存じだろうか。伝統にとらわれず新たなチャレンジを続ける日本の伝統工芸に、今、世界の注目が集まっている。業界を超えた事例を4つに分けまとめてみた。
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