中国製”江戸切子”を購入しないために注意したい5つのポイント
約200年前に始まったと考えられ、江戸・東京と伝統を紡いできた江戸切子。さまざまな文化や人が集まり、商いとともに時代を担っていた街とともに、江戸切子は今も作られその魅力は、今では海外からも注目を集めています。
さらに、Internetの普及により、海外からでも購入でき、誰でも手に届く時代になりました。 しかし、近年では中国産の製品を、江戸切子を装って販売される商品が散見され始めています。 誤って、中国製の偽装品を購入してしまったことにより、梱包が雑で商品が割れていたり、写真と違う色の商品が届いたりする被害も耳にしています。
今回は、江戸切子協同組合広報の清水さんに、中国製商品の特徴と購入する際に注意したいポイントをうかがいました。誤って江戸切子として中国製の商品を購入しないように、これから紹介するポイントを押さえておきましょう。
江戸切子とは?
江戸切子とは、東京とその周辺を産地とするガラスの表面に切子(カットグラス)を施したハンドメイドの製品のこと。 職人の卓越した技術によって表現される繊細な文様と、光の反射で生まれる煌きが江戸切子の魅力です。職人が一つひとつ手作業で作っているので、1つとして同じ物はありません。料亭や寿司店を始めとしたプロのおもてなしの道具のほか、近年では高級ホテルや東京スカイツリーの内装にも採用されるなど、日本を代表する伝統工芸品としても親しまれています。
東京周辺で作られるカットグラスを広い意味で「江戸切子」と呼ばれることこともありますが、地域ブランド振興や偽装品対策として導入された「地域団体商標」制度で、商標登録によって江戸切子協同組合に加入している職人が携わった製品等について「江戸切子」と呼べることになっています。 また、商標登録以前から江戸切子を製造しているメーカー・職人の品については、先使用という事で江戸切子と名乗る事ができます。
見た目で判断するのは難しい?
Amazonなどで「江戸切子」と検索すると、たくさんの品がヒットします。もちろん日本で作られた商品もたくさんありますが、なかには江戸切子を装った・あるいはデザインを盗用した製品も混じっています。そんな製品を見た目で判断するのは難しいのでしょうか?
清水さんのご意見では、中国製品のクオリティもかなり上がっており、写真だけで判断するのはかなり難しいようです。紹介写真に江戸切子の画像が盗用されていることもあります。実際は、色合いがくすんでいたり、文様がそろっていなかったりと、違いはあるようですが、掲載されている宣伝からその差は見抜きにくくなっています。
中国製の可能性が高い商品の特徴5つ
見た目ではなかなか区別できないとなると、どういった点に注意したらいいのでしょうか。清水さんが個人的に考える、中国製の可能性が高い商品の特徴5つを伺いました。
- 5000円以下など、極端に安い商品:国産ではコスト的に難しいと想定される
- 国産の表記がない:産地名や職人が表記されていない場合も。
- メーカーのホームページや製品取扱先名が存在しない
- 日本語の文章がおかしい、住所が国内ではない:これらはネット通販上の一般的な注意と同じ
- 伝統の、手作り、歴史ある等:国産や江戸という主語の記載を避けている(もしくは曖昧な)場合
これらが当てはまる品は、ページ詳細をくまなく確認をされたほうがいいようです。
それでは、これらを受けて、その特徴を見つける具体的な方法をご紹介したいと思います。
ポイント① 5000円以下など、極端に安い商品は要注意
Amazonなどの通販サイトで、極端に安く売られている切子製品には、注意されてはいかがでしょうか。 日本で作られている江戸切子の相場は、1万円前後。 相場を下回る商品は、国産ではない可能性もあるので、他にも怪しい点がないかチェックしてみてください。
一口に江戸切子といっても、メーカーや種類によって値段が変わります。 できるだけ販売先の説明や紹介始めとして情報をよくを見て、あらかじめお好みや特徴、そして相場を把握するのが大切です。
ポイント② “日本産”と表記されているか
日本製の商品を購入したい場合は、原産地を必ずチェックしましょう。商品詳細を見ずに購入してしまうと、実は原産国が“中国”だった……。なんてこともあります。まずは、原産国をチェックして、どこにも記載がなければ、一度疑ったほうがいいでしょう。
ポイント③ メーカー・製品・職人名で検索してみる
適切でない業者を見抜く方法の1つは、つくり手検索することです。基本的に流通されている商品には、ブランドやメーカーなどつくり手の名前が記載されています。Googleなどで一度検索して、ホームページがなかったり、場合によっては極端に安い偽サイトで騙されないように確認されてはいかがでしょうか。
最近では江戸切子以外にも様々な伝統工芸で同様の偽造も観られ、一見、日本企業のような名前のメーカーも見られるようになったので、少しでも怪しいなと感じたら検索するのをおすすめします。
ポイント④ 商品説明の日本語がおかしくないか
中国業者の商品は、商品説明がカタコトのような文章だったり、文法に違和感を感じたりすることがあります。商品説明を読むことで、中国製品を見分けるだけでなく、思っていた大きさや容量と違うなど、購入ミスを減らすことにもつながります。
なかには常用漢字を使っていない商品もあります。普段見慣れない漢字を使っていて、違和感を感じたらメーカー名を検索してみるなど、他の方法を試してみると確かです。大手ショップのページをコピーした、偽サイト等に気を付ける事と同じポイントです。
ポイント⑤ 江戸風、手作り風は注意が必要
江戸切子を名乗っていなくても、江戸切子のデザインを模倣した製品もあります。そっくりの商品が〇〇切子の名前で販売されていることもあるので注意が必要です。日本製にこだわりたい方は、原産国が“日本”になっているか、メーカーのホームページが存在するかなどをチェックしましょう。
複数の江戸切子を取り扱っているサイト・店舗での購入もおすすめ
お気に入りのグラスを長く使うためには、販売店を選ばれるのも1つです。各メーカー・職人の特徴をよく理解して、しっかりと職人とコミュニケーションを取り、商品の魅力や個性を提案しているショップには、つくり手との繋がりがある事が反映されると考えられます。
かつ、複数の江戸切子工房を取り扱っている販売元は、それぞれの特徴や個性を把握されている事も考えられます。そうした販売元は、購入にあたっても商品を扱うように親切に対応してくれるところが多いのではないでしょうか。
数百円でおしゃれなグラスが買える時代に、数万円のグラスは決して安いものではありません。しかし、職人が一つひとつ丁寧に作ったグラスには、手作業でしか表現できない模様や細部までこだわった美しさがあります。
そうした魅力を求めて購入したい方には、偽造品ではなく、それぞれの職人の思いをもって作り上げた江戸切子が手に届くことを願っております。
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