海外からも人気。九州の伝統工芸品10選

海外からも人気。九州の伝統工芸品10選

現在、日本には国指定の伝統工芸品が230品目以上あります。そのなかでも、九州だけで21品目あります。九州には、焼き物だけでなく織物やガラス食器など、様々なジャンルの工芸品が発展してきました。

中国大陸や朝鮮半島から近く、古くから貿易の玄関口として栄えてきた九州には、海外から日本に入ってきて、独自の発展を遂げてきた魅力的な文化がたくさんあります。今回はそんな九州の魅力的な伝統工芸品をいくつかご紹介します。

 

博多織(福岡)

博多織は福岡県福岡市博多区を特産とする絹織物です。たくさんの経糸(たていと)を使って、太い緯糸(よこいと)を強く打ち込むことで、経糸で柄を浮かせるように織り出すのが特徴です。

鎌倉時代に博多の商人が中国から織物の技術を持ち帰ったことが、博多織の始まりとされています。江戸時代に、当時博多を統治していた黒田長政が、博多織を幕府の献上品として作らせたことから「献上博多」として博多織の名が全国に広まりました。

博多織は、しなやかさと丈夫さから男性の着物の帯として高い人気があります。古くは武士の帯として、今では大相撲の幕下以上の力士がつける帯として使われています。

現在では、その丈夫さと美しい伝統柄を活かして、帯だけでなくネクタイや財布など、ライフスタイルに合わせた作品を販売しています。

 

博多人形(福岡)

博多人形は、福岡県福岡市博多区を特産とする素焼き人形です。繊細な曲線美で表したポーズ、ふとした瞬間を捉えた美しい表情が特徴です。バラエティ豊かなジャンルがあり、「歌舞伎もの」「能もの」「美人もの」「童もの」などに分類されます。 1600年頃に黒田長政が福岡城を築く際に集めた職人の内の一人が、人形を作り始めたのがきっかけとされています。

1890年に開かれた内国勧業博覧会に「博多人形」として称されたことが名前の由来とされています。

博多人形のお店に行けば、今では数百万の高級品から数百円で買えるものもまであります。国内だけでなく海外からも高い評価を受けている博多人形は、博多に来た際のお土産としても愛されています。

 

有田焼・伊万里焼(佐賀)

有田焼・伊万里焼は、佐賀県西部を中心に発展してきた磁器です。耐久性が高く、美しい白磁と鮮やかな絵付けが特徴です。

佐賀県の磁器といえば、有田焼と伊万里焼の名で有名ですが、もともと原料や製法に大きな違いはありません。江戸時代に有田町一帯で作られた焼き物は、伊万里港を通じて国内外に流通していたので、まとめて「伊万里焼」と呼ばれていました。現在では産地名で呼ぶことが一般的になったので、有田町で作られた焼き物を「有田焼」、伊万里で作られた焼き物を「伊万里焼」として区別するようになりました。

古くから陶磁器の産地として有名な佐賀県は、今でも全国シェア2位の人気を誇っています。毎年開催される有田陶器市には、全国から100万人以上の人が訪れます。

 

肥前びーどろ(佐賀)

肥前びーどろは、佐賀県を中心に発展したガラス食器です。その特徴は、「ジャッパン吹き」と呼ばれる特殊な技法にあります。一般的にガラスの製造には、鉄竿が用いられますが、肥前びーどろではガラス製の吹き竿が使われます。そのガラス竿を2本使って、なるべく空気以外に触れないようにしながら成形していきます。

肥前びーどろは、江戸時代末に佐賀藩10代藩主の鍋島直正が精錬方(たんれんがた)を設置したのが始まりとされています。精錬方では生活必需品や学術研究に必要なものを製造しており、その一環としてガラス窯を設けてフラスコやビーカーも製造していました。

明治時代には、多くの工房が設置されていましたが、今ではその技術を伝承するのは、副島硝子工業の1社のみとなっています。160年以上技術を受け継ぎ製造している副島硝子工業では、今ではガラス食器にこだわらず、雛人形や花器など幅広く製造しています。


副島硝子(肥前びーどろ)について詳しく見る

 

波佐見焼(長崎)

波佐見焼は、長崎県東彼杵郡波佐見町を特産とする陶磁器です。「特徴がないのが特徴」といわれるほど、ライフスタイルに合わせた自由な表現でデザインしたのものが多いです。

400年以上の伝統を誇る波佐見焼は、丈夫で使いやすく比較的安価で手に入ったので、古くから庶民の間で親しまれてきました。

波佐見焼のなかには昭和レトロな雰囲気のものや、アメリカンテイストなものまで、幅広いデザインの作品が作られています。400年経った今でも人々の生活に寄り添う器として愛されています。

 

別府竹細工(大分)

別府竹細工は、大分県別府市を特産とする竹製品です。200通り以上ある編み方が特徴です。大分県産の良質な竹と職人の高度な技術により作られる竹細工は丈夫で美しいです。

室町時代に商人のための籠の生産から始まり、江戸時代には別府温泉を訪れる観光客のために生活用品を作ったことが起源されています。

昔ながらの籠だけでなく、現在はランプシェードやアクセサリー、インテリア用品など、時代の変化に合わせた日用品として人気があります。


山下工芸(別府竹細工)について詳しく見る

 

小鹿田焼(大分)

小鹿田焼は、大分県日田市を中心に発展してきた陶器です。その特徴は、様々な技法によって表現された文様と素朴な温かさを感じるところです。「飛び鉋」「刷毛目」と呼ばれる装飾技法があり、これらは職人が一つひとつ手作業で文様を付けていきます。

今から約300年前に小石原(福岡)の陶工を日田に招いたのが始まりとされています。そのため、小鹿田焼は、小石原焼の兄弟窯として知られています。

小鹿田焼は、今でも一子相伝の世襲制を採用しており、300年以上親から子へと伝統の技法が受け継がれています。現在は家族で伝統を受け継ぎながら、人々の暮らしに合った器を作り続けています。


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小代焼(熊本)

小代焼は、熊本県北部を中心に発展してきた陶器です。鉄分を多く含んだ小代粘土と釉薬のかけ流しによって表現された、素朴さと力強い雰囲気が特徴です。

江戸時代に豊後国から肥後国に国替えとなった細川忠利が、2人の陶工を焼物師に任命し、小岱山麓に窯を開いたのが始まりとされています。その後、江戸時代後半には茶器だけでなく徳利や火鉢など幅広い日用品を作るようになりました。

現在は、それぞれの窯元が独自の技法とアイデアをもとに様々な作品を作っています。そのため400年以上経った今でも、実用性の高い日用品として親しまれています。


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薩摩焼(鹿児島)

薩摩焼は、鹿児島県を特産とする陶磁器です。大きく「白もん」と呼ばれる白い陶器と「黒もん」と呼ばれる黒い陶器に分類されます。

「白もん」はアイボリー色の焼き物に透明の釉薬をかけ、その上から鮮やかな色で絵付けされた陶器です。また、表面に貫入(かんにゅう)と呼ばれる細かいヒビがあるのも特徴です。「黒もん」は、鉄分を多く含む土を原料とするため、真っ黒で強く頑丈なのが特徴の陶器です。

16世紀末におこなわれた朝鮮出兵の際に薩摩藩藩主の島津義弘が、朝鮮から陶工を連れ帰ったのが始まりとされています。当時、白もんは藩主専用の高級品として使われ、黒もんは庶民の焼き物として、主に焼酎を飲む時に愛用されていました。

 

薩摩切子(鹿児島)

薩摩切子は、鹿児島県を特産とするガラス工芸品です。色の濃い外側から内側向かってだんだん透明になっていく独特なグラデーションが特徴です。このグラデーションは「ぼかし」とも呼ばれ、透明なガラスに分厚い色のついたガラスを被せてカットすることで生まれます。

薩摩藩10代藩主の島津斉興が江戸から硝子師を招き、その後11代藩主の斉彬が地場産業発展のために薩摩切子に注目したのが起源となっています。しかし、島津斉彬の急死をきっかけに急激に衰退し、薩摩切子は誕生から20年余りで完全に途絶えることになりました。

その後、1858年に様々な文献や職人の協力により、薩摩切子の技術の復刻が成されました。 卓越した職人の技術で表現される鮮やかな色合いは、今でも人々の心を魅了します。現在では復刻した技術と現代の技術をかけ合わせ、ライフスタイルに合わせた作品が作られています。


薩摩びーどろ工芸(薩摩切子)について詳しく見る  

 

伝統工芸品で九州の魅力に触れる

九州には焼き物や織物など、様々な伝統工芸品が人々の生活に寄り添いながら発展してきました。九州の文化が詰まった伝統工芸品は、日本国内だけでなく海外からも人気があります。

伝統工芸品に触れることで、その土地の歴史や文化にも触れることができます。九州に来た際は、お土産や大切な人へのプレゼントとして伝統工芸品を選んでみてはいかがでしょうか。

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