東京銀器
東京

東京銀器とは
東京銀器は主に東京都で作られる金属工芸品であり、1979年に国の伝統的工芸品に指定されました。原材料には純度92.5%以上の銀が使用され、高い品質と美しさを誇ります。長い歴史を持ち、今も受け継がれる高い職人技術で多くの人を魅了しています。
東京銀器の歴史・技術
その歴史は古く、日本では延喜式(927年)にも銀製の食器や酒器の記録が見られます。16世紀には石見銀山が世界有数の産出地となり、日本は銀の主要生産国として発展しました。江戸時代中期には、銀器職人である銀師(しろがねし)や、櫛・かんざし・神輿金具などを手掛ける金工師(きんこうし)と呼ばれる飾り職人が登場し、町人の間でも銀器や銀製品が広く普及しました。
1867年のパリ万国博覧会では、日本の銀製品が高い評価を受け、その精緻な技術が世界を驚かせました。その後、ヨーロッパの技術を取り入れながら、より多様な表現が生まれ、東京を中心に銀器づくりが発展していきました。戦後は外国人観光客の増加とともに、日本の銀器は土産物としても人気を博し、現代に至るまで受け継がれています。
東京銀器の技術は、鍛金師、彫金師、仕上師といった熟練の職人たちによって継承されています。鍛金では、銀の地金を金槌や木槌で叩きながら成形し、彫金では鏨を使った精緻な模様彫りが施されます。仕上げの工程では、磨き上げや古美仕上げなどの技法を駆使し、独特の風合いを生み出します。
これらの工程はすべて職人の手作業によって行われ、細部までこだわり抜かれた美しい銀器が生み出されています。東京銀器は、伝統の技と現代の感性が融合した日本を代表する工芸品のひとつとして、今もなお多くの人々を魅了し続けています。
東京銀器のブランド一覧
宗達アートクラフト/ 東京都台東区
2011年に最年少で東京銀器伝統工芸士に認定された上川宗達氏によって、2021年に設立された「宗達アートクラフト」。主に鍛金という技法で、金槌や木槌を使って一つ一つ手作業で作り上げる銀器を制作しています。
>宗達アートクラフトのページはこちら
森銀器製作所/ 東京都中央区
森銀器製作所は、1927年創業。東京の伝統工芸品の1つである東京銀器を作ってきました。一枚の銀の板を槌で叩き、さまざまなものを形作る技術で、ぐい呑や仏具、スプーンのほか、アクセサリーや耳かき、爪楊枝など、さまざまな商品づくりに挑戦しています。
宮本商行/ 東京都中央区
明治13年(1880年)、日本初の銀製品専門店「宮本商行」を創業。銀製品の需要拡大に伴い、皇室や官庁からの信頼を得て「宮内庁御用達」に。時代の変化に対応しながら伝統工芸の普及と新商品の提案を続けている。「人生に銀を贈ろう」をテーマに、これからも価値あるものづくりに取り組む。
関工芸株式会社/ 東京都品川区
東京都品川区で1963年に初代 関武比古氏と二代目関武比古氏によって設立された関工芸は、伝統工芸の巧匠として知られています。半世紀以上にわたり、熟練の職人たちが手がける金銀工芸品は、その精巧で瀟洒なデザインが印象的なインテリア芸術として高く評価されています。