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記事: 大分県別府の竹細工|竹籠(竹かご)の特徴と作り方|おしゃれで魅力的な商品をご紹介

大分県別府の竹細工|竹籠(竹かご)の特徴と作り方|おしゃれで魅力的な商品をご紹介
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大分県別府の竹細工|竹籠(竹かご)の特徴と作り方|おしゃれで魅力的な商品をご紹介

大分県別府市は、温泉と同様に竹細工でも有名です。別府を中心によく採取されるマダケは熱にも強く、丈夫、かつ劣化しにくいことから古くから数多くの用途で使用されてきました。そんな竹を用いて作られるのが別府竹細工です。

本記事では、別府竹細工の特徴や作り方、編み方そして職人の方に聞いた竹細工が人々を惹きつける理由についてご紹介していきます。

大分県別府の竹細工とは 

竹細工の発祥は室町時代にまで遡ります。当時は商人が使用するためのかごが作られており、江戸時代に温泉地として人が多く訪れるようになると、湯治客が滞在中に使う台所用品や温泉グッズを入れるかごが作られるようになりました。これらは次第に土産物として持ち帰られるようになり、竹細工製作を後押ししました。このようにして竹細工は地場産業として成立していったのです。

 

日本では、別府竹細工に使用されるマダケを含め、約626種類、そして世界には1250種類もの竹があるとされています。マダケはその中でも日本で栽培される竹の60%を占め、そのほとんどが大分県で生産されています。20メートルに及ぶこともあるマダケは、弾力性があり竹細工に最適です。

しなやかで丈夫なマダケは竹細工だけでなく、建築にも使用されています。その他にも、モウソウチク、クロチクと呼ばれる竹が使用されることもあります。昨今では昔からの日用品に加え、美術的価値が付加され、市内の旅館の内装に竹細工の技法が使われています。

 

 

大分県別府の竹細工の特徴

別府竹細工の最大の特徴は、竹ひごの編み方です。「編組」と呼ばれる編み上げ技法は、すべて職人の手作業で行われます。

基本の8つの編組は、経済産業省によって指定される日本伝統的工芸品の一つで、大分県では昭和54年から唯一指定されています。

この基本の編組は、組み合わせ次第で200通り以上の編み方があり、職人の個性と技術の見せ所です。

 別府竹細工商品一覧ページはこちら

 

大分県別府の竹細工・竹かごの材料と作り方

続いて、竹細工を作るための材料と作り方についてご紹介します。

 

1.伐採・油抜き

まずは、竹細工の材料である竹の伐採と油抜きが行われます。

3年から4年ほどかけて成長した高品質の竹を伐採します。竹は伐採時期によって質が変わるため基本的に秋冬の伐採が良いとされています。これは成長が緩やかになり、水分養分共に少なくなるため伐採後の腐食や虫を防ぐためです。雨後の筍といわれるように、春夏の雨の多い時期の竹は水分養分を多く含みすぎており、竹細工には適していないのです。

伐採後に行われるのは、油抜きと呼ばれる作業です。

一般的には苛性(かせい)ソーダを入れた水の中で煮沸させることで染み出す油を拭き取るという方法が主流です。

油抜きを行う理由としては、余分な油分を抜くことで腐りにくくし、耐久力を上げ、さらに表面の艶出しになるためです。

 

2.天日乾燥

油抜きの工程を経た竹は、冬に天日干しされると元々の緑色から美しい白色の竹となります。天日干しを終えた竹は、白竹もしくは、晒竹(さらしだけ)とよばれます。職人は主にこの晒竹を買い付け、竹細工を作ります。

 

3.切断加工・荒割り

天日干しされた竹は、「菊割」と呼ばれる専用の道具で適切な長さに切断されます。まず、盛り上がりを削り、平らにしたのち竹割包丁で半分に割ります。「竹を割った性格」といわれるように、竹は一度刃を入れると、繊維にそって綺麗に割れます。

そしてさらに、その半分を縦に割る「荒割り」の工程を何度も繰り返し行います。

 

4.剥ぎ

籠やざるを編むための竹ひごを作るため、割られた竹は剥ぎの工程が必要です。「荒剥ぎ」→「小割り」→「薄剥ぎ」の順に薄くして、竹ひごの厚みを整えていきます。熟練の職人は手の感覚だけで、剥いだ竹の厚みが分かるようになると言われるほど難しい技術です。

 

5.ひごの仕上げ

厚みを均一にした竹ひごを2本の幅とり小刀で幅を揃えます。そして面取り刀で面を取り、竹細工を作りやすい竹ひごに仕上げていきます。

 

6.底編み

竹ひごを作り終えるといよいよ竹細工の製作です。まずは底の方から編んでいきます。編む過程の中では底編みが1番難しく技術を要します。なぜこの過程が難しいかと言うと、平面の底を立体にするため竹ひごを熱しながらゆっくりと立ち上げていかなければならないからです。これを「腰の立ち上がり」と言います。

 

7.胴編み・首編み

立ち上がった竹ひごをさまざまな編み方でデザインしながら編み上げていきます。

 

8.縁仕上げ・取り付け仕上げ

編み上げられた竹細工は、最後に縁仕上げを行います。縁仕上げの方法はさまざまで、編み上げてきた竹ひごをそのまま縁にしようとする「共縁」や縁となる竹を竹ひごや針金などで固定する「当て縁」、藤などを巻く「巻縁」と言った仕上げ方があります。

作品によっては取手を付ける場合もあります。

 

9.塗装加工

編み終えた竹細工は、染料が入った鍋で煮沸され下地染めされます。染色を施さない青竹のままの竹細工は「青物」、油抜きをした細工は「白物」と呼ばれ、染色を施すものと区別されます。染色するものの中でも、漆塗りをするものは「黒物」と言います。

下地染めされた作品は乾燥させ、絶妙な力加減で均一に磨かれます。力を入れすぎると竹に傷が付き、艶が失われてしまうため注意しなければいけません。

 

 

大分県別府の竹細工・竹籠の編み方

続いて、竹籠の編み方について紹介します。

伝統工芸品に指定されている別府細工には基本の8つの編み方があります。

その8つとは、「四つ目編み」、「六つ目編み」、「網代編み」、「ござ目編み」、「輪弧編み」、「菊底編み」、「八つ目編み」、「松葉編み」です。

今回は四つ目編みから菊底編みまでの編み方の特徴と、それ以外の編み方の特徴を紹介します。

 

・四つ目編み

四つ目編みは、太さの同じ平たい竹ひごを交差させるように編んでいきます。等間隔で四角い目が出来ることから、四つ目編みと呼ばれています。真っ直ぐに交差させたり、斜めに交差させたりすることで、さまざまな模様が生み出されます。

通常より広く隙間を開けたものを「レンジ組み」、間隔を通常より狭くしたものを「市松組」と呼ぶこともあります。四つ目編みは竹を編むときの初歩的な編み方の一つです。

 

・六つ目編み

六つ目編みは6本の竹ひごを、左右斜め横に組み六つ目模様に編み上げていきます。網目が六角形に見えることから「六角編み」と呼ばれたり、とてもポピュラーな編み方のため「籠編み」と呼ばれることもあります。 

斜めの編みを加えることで、四つ目編みよりも強度が高く頑丈なため、竹ざるや竹籠に用いられました。また、差し紐の色や太さ、差し方を工夫することでさまざまな模様を編み出せます。

 

・網代編み

網代編みには、太めの平たい竹ひごを使用します。目をずらしながら編む技法で、隙間なく編み込んで行くため、とても頑丈です。並べ方に変化をつけることで個性を出すことができるため、竹細工だけでなく天井装飾や屏風などにも用いられる美しい編み方です。

 

・ゴザ目編み

ゴザ目編みは太い竹ひごを縦に、それよりも少し細い竹ひごを横にして、隙間を開けずに編んでいきます。そのため、横ひごが縦ひごよりも多くなり、ゴザのように見えることからゴザ目編みと呼ばれています。この編み方も強度が高く、竹ざるや竹かごに使われてきました。

 

・輪弧編み 

輪弧編み、もしくは輪口編みと呼ばれる編み方は竹ひごを放射線状に組みながら中央に輪が出来るように編み上げる技法です。

 

・菊底編み

菊底編みは名前の通り、円形の底を菊の花のように作り上げていく編み方です。太めの竹ひごを放射線状に並べ、細い竹を中心から外側に向かって編んでいきます。底が円形の竹かごや竹ざるに多く使用されてきました。大きな竹かごなどを作る場合には、竹ひごの本数を増やして編んで行く「二重菊底編み」と呼ばれる技法を用います。竹ひごは十字組や扇子組などで重ねられます。

 

続いて基本の編組以外の編み方もいくつかご紹介します。

 

・亀甲編み

亀甲編みは、六つ目編みと同じく計6本の竹ひごを編み込み作ります。

しかし、六つ目編みとは異なり、交点を組まずに中心に寄せることで小さな六角形を作り出すのが特徴です。その形が鉄線という花にも似ていることから、「鉄線編み」と呼ばれることもあります。

 

・やたら編み

やたら編みは、長さも太さをさまざまな竹ひごを不規則な方向から編み込んでいく編み方です。バランスが取りにくく、独特の編み方のため「みだれ編み」とも呼ばれます。編み目を隠しつつ、隙間を埋めるようにきっちりと編み上げていくことで美しい仕上がりになります。

 

・ねじり編み

ねじり編みは、竹ひごを2枚重ねて1本と数え、2本を交互に一目ずつ飛ばし、掬い上げながら編み上げます。これにより波打つような模様を生み出す特徴的な編み方です。

 

・網代底編み

名前の通り、底編みの際に網代編みを用います。その後、竹ひごを立ち上げざるや籠に仕上げていく編み方です。網代編みにすることで隙間なく埋められた底は米とぎざるなどに使用されており、お米が落ちないようになっています。

 

・筏底編み

筏底編み(いかだぞこあみ)は、底編みの中でも簡単な編み方で、「角底編み」とも呼ばれ、多く使用されています。四つ目編みの間に平たい幅広の竹ひごを入れて仕上げていきます。菊底編みや網代底編みは円形の底に用いられますが、筏底編みは四角い底の籠などに使用されます。また、四つ目編みの間に竹ひごを入れるこの技法は、底編みだけでなく胴編みに用いられることもあります。

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まとめ

いかがでしたか?

大分県別府市の竹細工について知っていただけたでしょうか?日本人は古くから、自然の竹をさまざまな手を加え工夫することで、日常生活を豊かにするための道具作りを行なってきました。またさまざまな編み方を考え出し、美しさをも追求してきたのです。

皆さんも生活の中に美しい竹細工を取り入れてみませんか?

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