不易流行の工芸品特集
挑戦と継承の美
~変わることのないものと、変化し続けるもの~
日本工芸堂では、変わらぬ本質を守りながらも、新しい変化を受け入れる「不易流行(ふえきりゅうこう)」の工芸品を扱っています。
ある職人さんの言葉によれば、「伝統とは新しいことに挑戦すること、残ったものを後から見た時、伝統となる。」この言葉には、まさに不易流行の姿勢が表れています。 今回の特集では、伝統を守りながらも、新たな進化を遂げている工芸品を紹介します。
常に新しい可能性を追求する職人たちの手で生み出された品々には、伝統を守るだけでなく、現代に生かし、未来へ繋いでいくという意志が詰まっています。ぜひ、その独自の魅力を堪能し、伝統の新しい一歩に触れてみてください。
1.サステナブルな波佐見焼のコーヒーフィルター
長崎・波佐見の地に受け継がれてきたセラミックの技術力に、SDGsや機能美の視点が加わり開発された、セラミックコーヒーフィルター。紙フィルター不要というエコな観点から注目されるだけでなく、機能性・使い勝手・デザイン性の高さもポイントです。セラミックの遠赤外線効果で、コクのある豆本来の味を楽しめます。また、無数にあいた小さな孔から、うまみ成分がバランス良く抽出され、香りを感じやすいという特徴もあります。さらに、目詰まりや汚れを防ぐよう改良されているので使い勝手が良く、豊富なカラーバリエーションがモダンな暮らしにも馴染みます。
2.香りを楽しむために生まれた山中漆器のカップ
古くから「木地の山中」と呼ばれ、木を削って器を作る技術に長けている山中漆器。その高い技術を活かし、「香り」を引き出す形状にこだわって開発されたのが、白鷺木工の江沼カップです。江沼とは白鷺木工の地元、石川県山中温泉の旧地名です。下に向けて膨らんだ形によってコーヒー、お茶、ワイン、ブランデー、などの香りが広がり、ますます美味しく感じます。また、熱伝導率の低い木だからこそ、熱いものから冷たいものまで快適に使うことができます。日本工芸堂では、木目を生かす山中漆器らしい桜・欅の2種類の木地からお選びいただけます。
3.お手入れ簡単 優しい色合いの南部鉄器
モダンな暮らしにフィットする使い勝手とデザインを兼ね備えた、岩鋳の鉄急須。蓄熱性に優れ、長時間温かいお茶が楽しめるという南部鉄器の特徴を備えつつ、内側のホーロー加工のおかげでお手入れも簡単です。表面は南部鉄器らしいザラザラとした質感と、派手すぎない落ち着いた色味が絶妙にマッチし、デザインにも優れています。3色から選ぶことができ、日々の暮らしを優しく彩ってくれる逸品です。
4.用の美を追求した山中塗のカップ
山中塗の工芸技術と燕三条の工業技術が融合したユニークなカップ。ウチキが生み出す「漆磨(シーマ)」シリーズは、ステンレスの表面に漆塗りが施されています。保温性・保冷性に優れた二重構造で機能は抜群。また、経年変化で色合いが変化していくという、「育てる」楽しみもあります。高い機能性・実用性と美しさを両立した「漆磨」は、日常に特別感を与えてくれること間違いなしです。
5.現代の生活にフィットした山形鋳物
シンプルモダンなデザインで、木製ハンドルが和洋問わず生活に馴染む、山形鋳物のケトル。ハンドルが熱くならないので、快適にお使いいただけます。内部には伝統的な鉄瓶づくりの技、漆の焼付仕上げが施され、鉄瓶の魅力である鉄分補給を妨げません。底がフラットな形状でIHに対応可能な点も、嬉しいポイントです。伝統的な山形鋳物の機能はそのままに、現代的な実用性とデザイン性を見事に融合させた逸品です。
伝統の新たな可能性に挑戦する
伝統を現代に生かしていくためには、伝統の技を尊重しながら、時代に応じた人々の暮らしの変化を受け入れていく必要があります。それぞれの産地が、伝統の新たな可能性を追求して機能やデザインの向上に取り組んでおり、ここで紹介したほかにも革新的な品々が多く生み出されています。そんな日本各地の作り手の挑戦を、これからも応援していきます。
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