お米の道具と工芸｜米びつ・鍋釜・おひつ・曲げわっぱ・お箸

土鍋で炊いたご飯が美味しいとされるのには、科学的な理由があります。

土鍋は蓄熱性が高く、じんわりと熱が伝わるため米の芯まで均一に加熱され、甘みを引き出す「デンプンの糊化（α化）」が理想的に進みます。また、沸騰時に生じる細かな泡が米を包み込み、粒立ちのよいふっくらとした炊き上がりに導きます。

さらに、木のおひつや曲げわっぱは、木材の調湿作用によって余分な水分を吸い取り、冷めてもベタつかず香りを保ちます。

米びつは、定期的に中身を空にして乾拭きを。水洗いは避け、風通しの良い場所で乾燥させてください。年に1，2回程度、定期的に蜜蠟クリームを塗りなおすことで、外側も綺麗に保ちます。


土鍋は使用後すぐにお湯でさっと洗い、洗剤は極力控えるのが基本。水気を拭き取り、底を上にしてよく乾かすとカビや臭い移りを防げます。なお、使い始めには米のとぎ汁で煮る「目止め」を行うと長持ちします。

曲げわっぱを洗う際には中性洗剤は少量にとどめ、柔らかいスポンジで手早く洗い、しっかり乾かすことで艶と香りが保たれます。

いずれの工芸品も「水分を残さない」ことが長持ちの秘訣。自然素材ならではの呼吸を感じつつ、手をかけることで道具もまた育っていきます。