曲げわっぱって何?なぜ人気なの?

曲げわっぱって何?なぜ人気なの?

最近人気の曲げわっぱのお弁当箱。
おかずが美味しそうに見える、ごはんが冷めても美味しい、木の香りが心地いい・・・などいろいろな声を聞きますが、実際のところどうなのでしょう。
また、ひとくちに曲げわっぱといっても、地域によって呼び方も違います。どんな違いがあるのでしょうか。
今回は、曲げわっぱとはそもそも何なのか、その歴史や人気の秘密に迫ります。 

 

そもそも曲げわっぱとは

曲げわっぱとは、スギやヒノキなどの生の木の板を、特殊な技法で曲線に曲げて、継ぎ目を山桜の皮で綴じ、底をつけた器のこと。お弁当箱のイメージがありますが、この技法でつくられたおひつや食器、ひしゃく、神社などで使用する神具もすべて曲げわっぱなのです。まずは曲げわっぱの歴史や由来について触れてみましょう。

曲げもの、曲げ、めんぱ、めっぱ・・・
いろいろな名前があるのはなぜ?

今、木を曲げてつくったお弁当箱は、曲げわっぱという名前で知られていますが、実は地域によって呼び名が違います。なぜなら、「わっぱ」は各地域の人々によってつくられはじめ、地域に根付いたものだから。

いろいろな呼び名があるのにも関わらず曲げわっぱの呼び名が有名になったのは、おそらく秋田県の大館曲げわっぱが日本で唯一、国の伝統的工芸品として認められているからでしょう。

地域によって、素材がスギだったりヒノキだったり、その他の木だったり、漆塗りだったり、少しずつ作り方が違いますが、100%木材でできているのはどこも同じ。各地方にいろいろな曲げわっぱがあります。

  • 青森県:ヒバの曲物
  • 秋田県:大館曲げわっぱ
  • 福島県:檜枝岐ワッパ
  • 静岡県:井川めんぱ
  • 栃木県:日光曲物
  • 群馬県:入山メンパ
  • 長野県:木曽檜のめんぱ
  • 福岡県:博多曲物

このほかにも「○○曲げ」などいろいろな名前で呼ばれているものがあります。多くは地元で取れた木が使われており、地元の人にとっては一層愛着が湧く伝統工芸品です。

曲げわっぱの歴史

日本ではじめて曲げわっぱを使ったのは、一説によると木こり。スギの木を曲げて桜の皮で止めたお弁当箱を使っていたともいわれています。また、東南アジアなどにも似たような木製の箱があるのを考えると、木を曲げて箱や食器をつくる技術は中国に由来すると思われます。

各産地でいろんな伝承がありますが、ここでは国の伝統的工芸品に指定されている大館曲げわっぱと、無形文化財に指定されている博多曲物(はかたまげもの)の歴史について触れてみましょう。

大館曲げわっぱの故郷・秋田県大館で曲げわっぱの生産が活発になったのは約400年前、関ヶ原の戦いの後です。藩内の豊かな木材を使ってつくられはじめ、やがて藩の特産品にまでなりました。

福岡県の博多曲物は、日本書紀に登場する応神天皇が誕生したお祝いとしてはじまったといわれています。本格的に作られるようになったのは約300年前だそうです。どちらの話もその地域と密接に結びついており、曲げわっぱが古くから馴染みある食器であることがうかがえます。

 

曲げわっぱ、人気の秘密

Instagramなどでも、おしゃれで美味しそうなお弁当として紹介されることが多い曲げわっぱ。人気の秘密はどこにあるのでしょう。

冷めてもおいしい

曲げわっぱ人気の理由で一番よく聞かれるのは、ごはんがふっくら冷めてもおいしいということ。プラスチックのお弁当箱に詰めたごはんは、時間が経つとベタベタとしてきますが、曲げわっぱに入れたごはんはずっと炊きたてのように立っているのです。

ふっくら美味しいごはんが保てる秘密は、素材が木で呼吸している点にあります。わっぱの素材である木は、多湿な夏は水分を吸い込み、乾燥する冬は水分を出す性質があり、湿度を調節する作用があります。

そのため、詰めてから時間が経ったごはんでも、ふっくらとやわらかく、美味しく食べられるのです。また、ヒノキやスギには殺菌の効果もあるため、夏場でも腐りにくく、安全というメリットもあります。

ただし、これらのメリットがあるのは、白木か漆塗りのわっぱだけ。ウレタン樹脂塗装のわっぱは、木が呼吸しないためプラスチックのお弁当箱同様、調湿作用はありません。

おかずが美味しそうに見える

SNSなどにアップされている曲げわっぱのお弁当は、どれも美味しそうに見えますね。シンプルな木の色が、どんなおかずも美味しそうに見せてくれるのもわっぱの人気の秘密です。

曲げわっぱは深さがあるので、おかずが立体的に見えます。まさに高級な木の器といったところでしょうか。ごはんに赤・青・黄・黒・白のおかずを彩りよく詰めれば、誰でも美味しそうなお弁当に仕上がりますよ。

軽くて丈夫

使ってみると、曲げわっぱのお弁当は本当に軽さに驚かされます。木でできているためお弁当箱自体に重みがなく、教科書やノートなど荷物が多い学生さんにも、仕事道具が多い会社員の方にもぴったりです。

また、プラスチックのお弁当箱より長持ちするのも魅力のひとつ。使えば使うほどに木が引き締まって耐久性が生まれます。結果、白木や漆塗りのお弁当箱は、きちんとお手入れすれば、何十年も使うことができます。

万が一、留め具が外れる、漆が剥がれるなど、壊れてしまったときも、工房によっては修理も承ってくれるので安心です。

 

曲げわっぱの使い方

ごはんは冷ましてから詰める

お弁当箱に中身を詰めるときは、最初にごはんを詰めていきます。そのときのコツは、必ず一晩以上乾かして乾燥したお弁当箱に詰めるということ。濡れたままの曲げわっぱは、うまく呼吸することができません。

ごはんを詰めるときは、熱々の炊きたてのごはんを端から詰めていきます。ごはんを詰めた後はしばらくほったらかしに。蓋は閉めず、詰めたままの状態で室温と変わらなくなるまで待ちます。

温度がしっかり下がったら、次はおかずを詰めていきます。まずは大きなメインのおかずから、次に中くらいのサイズのおかず、最後に小さなおかず・・・と、大きな順番に詰めていくと上手に詰めることができます。

使った後は手洗いと乾燥がコツ

使い終わった曲げわっぱのお弁当箱は、なるべく早く洗いましょう。洗うときは手洗いが基本、食器洗い乾燥機などは使えません。

ごはんなどがこびりついているときは、ぬるま湯に少しだけ浸けておくと取りやすくなりますが、浸ける時間は10分を超えないようにします。洗うときはスポンジで丁寧に手洗いを。洗剤は使って構いませんが、少量を使います。

洗い終わったら、すぐに晒しなどやわらかい布で拭き、蓋と容器部分を別々に乾燥させます。だいたい一晩経ったら乾きますが、できれば2日はおきたいところ。毎日使うと、カビや臭いがつく原因になります。

もし、カビや臭いがついてしまったときは、お湯で洗って数日別々に干してみます。それでも臭いが取れないときは、煎じたお茶で何度か洗えば取れることがあります。

どちらも自分では無理だと思ったときは、購入した工房に相談すると、プロならではのお手入れの方法を教えてくれることもあります。

 

愛着のわく曲げわっぱ、大切に使おう

曲げわっぱは大切に使えば何十年も使うことができます。秋田の蔵から発見された120年ほど前につくられた曲げわっぱは、ふたと容器部分がしっかりと噛み合い、今でも使えるくらいの精密さだったそうです。

持てば愛着のわく曲げわっぱを大切に使ってみませんか。

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