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記事: 有田焼コーヒーフィルター39arita 【日本工芸コラボトークvol.11】

有田焼コーヒーフィルター39arita 【日本工芸コラボトークvol.11】
#取り組み

有田焼コーヒーフィルター39arita 【日本工芸コラボトークvol.11】

インスタライブで開催される「日本工芸コラボトーク」。第11回目は、有田焼コーヒーフィルター39arita THREE RIVERS株式会社代表三河さん、田村さん、工場長をゲストにお迎えしました。(IGTVはこちら)
今回は、有田の工房から生配信で、有田焼セラフィルターの誕生秘話やみなさんからの疑問等を伺っていきました。日本工芸・代表の松澤と語った内容の一部をお届けします。


セラフィルター開発したThree Rivers

田村さん:Three riversの田村と申します。主に、有田焼のセラミックフィルターを開発しています。

松澤:御社のセラフィルターは、すでに10万点以上の売り上げだそうですね。オフィスでも愛用しています。

田村さん:ありがたいことに、海外を中心にブームが起きました。海外では、水道水をそのまま飲めないことがあり、フィルターを通してお水を飲むという使い方をしてくださっている方が多いようです。

松澤:昨年末にはテレビでも紹介されたとか!

田村さん:11月6日放送の「世界一受けたい授業」の中の環境にやさしい商品の特集にてうちのセラフィルターを紹介していただきました。



陶器でコーヒーを淹れる魅力

田村さん:セラフィルター誕生の経緯は、東京都の浄水場でセラミックが使用されているのを社長(三河氏)が聞きつけたところからでした。セラミックには、水の不純物を取り除く作用があるそうです。

松澤:元々、都が利用していた技術なんですね。

田村さん:実はそうなんです。

松澤:有名なバリスタの方も愛用されているんですよね。

田村さん:粕谷哲さんですね!日本人で初めてバリスタの大会で世界チャンピオンになった方です。最大の特徴は油分が効果的に抽出されるので珈琲のうま味成分でもあるアロマが逃げていきにくいことです。ぜひブラックで飲んでいただきたいです。

松澤:「飲めば違いがわかる」ってやつですね。特徴どんなところですか?

三河さん:穴の大きさは、珈琲の油分が最も効果的に抽出されるサイズを研究しました。日本とアメリカにて、穴の大きさの特許も取得しています。

松澤:いくつかあるセラフィルターのブランドの中でも特許を取られているのは御社だけだそうですね。「珈琲好きですが、このフィルターで淹れると美味しい」(視聴者から)というコメントもいただきました。

三河さん:嬉しいですね。

松澤:お客様からよく「本当に水が濾せるんですか?」というご質問をいただきます。(肉眼では)光を通さないことから不思議に思う人も多いみたいですね。

田村さん:確かに肉眼ではそう見えるかもしれませんが、実は透過性はあります。セラフィルターの表面に数十ミクロンの細かい穴があるのですが、ここを通すと水の分子が細かくなり、硬水が軟水に変化します。

松澤:そうなんですね!
また、陶器でできているため、強度についてもよく質問をいただきます。

田村さん:焼き物ですが、硬いところに叩きつけたりしなければ通常使用なら大丈夫です。例えば、使用後に洗っていてシンクにごろんと転がる程度でしたら割れたりはしません。

松澤:このフィルターを使うと、珈琲以外にお酒やワイン、お水の場合でも良いそうですね。

田村さん:そうなんです!その他にお茶で使われる方もいます。

松澤:ワインやお茶、コーヒーなど使う素材によって複数使い分けた方がいいんですか?

田村さん:そんなこともないです。使用後に、水洗いをして余ったお湯で湯煎をしていただければ、一つのフィルターで利用いただけます。洗い終わったあとのフィルターに水を通したときに、出た水が透明であれば洗浄ができている証拠です。一方で、珈琲用、ワイン用、などそれぞれ分けて使う方も多いです。



感覚と技術で勝負。手作業で作っていくということ

松澤:生産現場をご紹介いただけるとのことで、お願いいたします。

工場長:ではこれから実際にセラフィルターが作られる過程をご覧いただきたいと思います。
まず、土を袋から出して練る工程からはじめます。私の足元にあるのが、原料になります。こちらは、複数の原料と最小限の水を入れて一昼夜寝かしたものです。それでは、練っていきます。

松澤:水が混ぜてあるから粘度があるんですね。

工場長:そうですね。均一にするために手作業でこねています。ある程度原料がうまく混ざったら、手にとって均一になるよう重量を量ります。

その次は成形です。

松澤:型に押し付けて、粘土を広げていく感じなんですね。

工場長:次に、蓋を被せて軽くプレスします。この時の微妙な力加減で穴の大きさが決まってきます。根詰まりを起こさないように調節しながら、粒の目の大きさを決めています。

松澤:濃淡を均一にするイメージですね。

三河さん:圧力の強さによって目の粗さが変わってきます。ちょうどいいくらいに、圧力を弱め、水を少なくすると理想的な大きさの穴になります。圧力の度合いはその人の感覚で見定めます。

松澤:具体的に数字が決まっているのではなく、それぞれの職人の技術によって、均一性が保たれているんですね。

工場長:ここまでで脱型が終わりました。次は乾燥させていきます。

松澤:(工場長が持っているものと同じ状態のものが)いっぱい並んでいますね〜!

工場長:ろくろに、合わせ目の部分を入れて、ヤスリをかけ、ふちどりをしていきます。すると、つるっと綺麗になります。この後は釜に入れて焼くだけです。1225度で30時間焼いていきます。

松澤:歩留りはいいですか?

三河さん:1割も落ちることはないですね。釜に入れるまでの工程で検品をしていますし、ゆっくり焼いているからだと思います。通常の焼きものは4.5時間程で焼いていきますが、先ほど工場長が言っていたように30時間じっくり焼くことによって、焼きものの強度が上がっていきます。

工場長:焼き上がりはこんな感じですね。



有田焼のダブルウォールカップ

松澤:こちらのマグカップも社長の力作だと伺っています。

田村さん:ダブルウォールカップですね。
ガラスタイプのものから着想を経て、有田焼でも作れないか挑戦してみました。香りを楽しんでもらえるようなデザインにしました。

松澤:口元が締まっていて、この部分が少し大きい形状ですね。このカップは、容量が多い割には軽くて持ちやすいですよね。

田村さん:二重構造になっているので、見た目より軽いですね。容量は500mlで珈琲にしては多いと感じる人もいるかもしれませんが、「たくさん飲めます」ということで(笑)

カラーバリエーションもいくつかあって、黒天目や鉄赤などがございます。有田焼の美術品でも使用する釉薬を塗っていますので、味わい深い色味になっています。

また、中が二重構造になっているため、熱いお茶もすぐに持つことができますし、夏には冷たいものを入れてもカップの周りが結露しません。

工場長:こちらもちょうど今作成中のものがあります。まず、型に土を入れて4分程置き、ある程度固まったら、土を流します。脱型したらほとんど完成形に近いです。蓋の部分を持ってきて上と下で接合します。

そしたら完成です。

松澤:鋳型がダブルウォールカップの形状になっているんですね。


フィット感が魅力の陶筒

松澤:他の商品も紹介させてください。陶筒ですね。

工場長:社長の力作です!成形方法はローラーマシンという機械を主に使用していますが、蓋を作る工程は手作業です。蓋合いをよくするためにペーパーなどで削りを入れていきます

こちらは歩留まりがものすごく悪いんです(笑)社長が一つひとつ手作りで作っているので、大量生産はできませんが、その分クオリティには自信があります。

松澤:そうですよね。私が言うのもなんですが、焼きものって釜に入れたときに膨張するため、本体と蓋の大きさをすっきり合わせるのはすごく難しいのがわかります。

田村さん:蓋をはめたときの感覚はやみつきになりますよね(笑)横のところに刻印が真鍮で入っています。

調湿性に優れているのでコーヒー豆や茶葉、お香など湿気に弱いものの保管用としてお使いいただけます。また、塩や砂糖も入れていただけますね。

松澤:今コメントで、「直に入れても湿気ないですか?」と質問をいただきました。

田村さん:大丈夫です。特に袋とかは要らないです。また、使用後は、洗剤は使わずに水洗いをしてください。焼きものなので、食器洗浄器ではなく自然乾燥で置いておいてください。扱いとしては食器ですね。

箱も高級な桐箱でご用意がございまして、ギフトにもおすすめです。

工場長:工芸品に馴染みがない人でも、自分へのご褒美や大切な人へのプレゼントなどをきっかけに手に取ってくださったら嬉しいです。

田村さん:これまでは結構セラフィルター、一本でやってきたところがあったのですが、これからは、セラフィルターだけでなく、今回ご紹介した2商品も含めて、さまざまな商品開発を進めていきたいと考えています。

松澤:期待しています!

そろそろお時間となりました。今回は、製品について詳しくお伺いすることができ、製造工程も見せていただき、本当にありがとうございました!

三河さん、田村さん、工場長:こちらこそありがとうございました。

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