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記事: 【伝統工芸の旅】迎賓館赤坂離宮で感じた、日本の美とおもてなしの心(東京都)

【伝統工芸の旅】迎賓館赤坂離宮で感じた、日本の美とおもてなしの心(東京都)
#伝統工芸の旅

【伝統工芸の旅】迎賓館赤坂離宮で感じた、日本の美とおもてなしの心(東京都)

三連休の最終日、中華ランチを四ツ谷で楽しんだ後、カフェを探して街を歩いていると、迎賓館が目に飛び込んできました。今日は一般公開日だそうです。普段は要人しか足を踏み入れることができない特別な場所が、一般の人にも開放されていると聞き、少し緊張しながらも、その先にどんな光景が広がっているのか期待を胸にチケットを購入しました。

迎賓館赤坂離宮は、2024年4月11日に開館50周年を迎えたそうです。この建物は、もともと1909年に「東宮御所」として建てられ、1974年に外国からの賓客をもてなす国の迎賓施設として改修されました。

日本で唯一のネオ・バロック様式の西洋宮殿であるこの場所は、豪華さと日本の伝統が融合した和洋折衷の特別な空間です。さらに、この迎賓館が建つ場所は、かつて紀州徳川家の江戸中屋敷があった歴史的な地でもあります。

館内を進むと、まず目を引いたのは「花鳥の間」。この部屋の壁面は、茶褐色のシオジ材(木曽産)で仕上げられ、四季折々の花や鳥が描かれた30枚の楕円形の七宝焼が飾られています。これらは、日本画家・渡辺省亭の下絵をもとに、七宝焼の名匠・涛川惣助が手掛けたもので、日本画特有の繊細な濃淡やぼかしの技法が見事に再現されています。重厚でありながら、自然の美しさが精緻に表現されたこの空間は、訪れる人々に深い感動を与えます。(この日館内は撮影禁止で画像ではお伝えできません、、)

朝日の間」もまた、特別な印象を残す部屋でした。ここでは、47種類もの紫色の糸を使い分けて桜の花びらを表現した緞通が床に敷かれています。これは1271名もの職人たちが、延べ10006時間をかけて手織りしたものだそうで、その壮大さと美しさに圧倒されました。部屋全体は金箔で装飾され、その輝きが柔らかに反射し、優雅な光が室内に満ちていました。

 写真:主庭の噴水。国宝にしていされいる。彫刻の石組みの上に青銅製の水盤を置いた構造。

迎賓館の美しさは、ただ視覚的なものにとどまらず、そこに込められた日本の歴史や文化、そして何よりも「おもてなし」の心が、訪れる人々に自然と伝わってくるのです。迎賓館は、単なる建物ではなく、日本の技と美が凝縮された場所。その中に集められた数々の工芸品が、外国からの賓客に日本の美意識を伝え、世界に向けて誇りを持って発信されているという事実に、深い感慨を覚えました。

見学を終えた後、ふと感じたのは、こうした場所にこそ日本の伝統工芸が根付いているということです。迎賓館のような場で、日本の工芸が大切にされ、世界に発信されていることは、私たちにとっても誇らしいことです。訪れる人々は、ただ建物を見るだけでなく、そこに込められた日本の心を感じ取り、それが私たちの日常にも影響を与えているのだと気づかされました。

迎賓館を後にした時、単なる観覧を超え、少し深い旅をしたような感覚に包まれました。長い年月をかけて培われた日本の技と美。それを世界に誇りを持って示す場として、迎賓館はこれからもその役割を果たしていくのでしょう。私たちも、日常生活の中で伝統を大切にし、その美しさに触れる機会を持つことで、迎賓館に込められた日本の心に、少しでも近づくことができるのかもしれません。

もし興味が湧いた方は、国土交通省がまとめた「迎賓館赤坂離宮における工芸美術の技」もぜひご覧ください。迎賓館に施された伝統工芸の技術について、より深い理解が得られることでしょう。

 

関連する工芸品

七宝焼

七宝焼は、金属とガラスを融合させ、窯で焼き上げる伝統工芸です。その独特の光沢と鮮やかな色合いから、「人がデザインできる宝石」とも称され、古くから愛されてきました。製法は、金属にガラスの釉薬を施し、約800℃で焼成します。校章や社章、花瓶や壺など、日常的なものから美術品まで幅広く作られています。

「七宝」の名は、仏教で貴重とされる七つの宝、金、銀、瑠璃、珊瑚などに由来します。その輝きに例えられた七宝焼は、美しい宝石のような芸術品として評価されています。

関連ブログ記事:七宝焼きの作り方、特徴と歴史。制作体験できるのはどこ?


金沢箔

金沢箔は、文禄2年(1593年)に加賀藩主前田利家の命で製造が始まり、加賀藩の奨励により発展しました。元禄9年(1696年)に江戸幕府が他地域での製造を禁止した後も、加賀藩の保護下で密かに続けられ、1864年には公認されました。藩政崩壊後、品質の高さから市場を独占し、現在では日本の箔生産の99%以上を占めています。

金沢箔は純金に微量の銀や銅を加えた合金を使い、1万分の1ミリの薄さまで広げる技術が特徴です。仏具や漆器、織物、化粧品など、多岐にわたる用途で高く評価されています。

 

 

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