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記事: 【伝統工芸の旅】南部鉄器の製造現場へ!鉄瓶の作り方をたずねて(岩手県)

【伝統工芸の旅】南部鉄器の製造現場へ!鉄瓶の作り方をたずねて(岩手県)
#伝統工芸の旅

【伝統工芸の旅】南部鉄器の製造現場へ!鉄瓶の作り方をたずねて(岩手県)

全国各地に、その土地ならではの伝統工芸を受け継ぐ工房があり、職人の思いがあります。日本工芸堂の代表・バイヤーの松澤が作り手をたずねる「伝統工芸の旅」。
今回は、伝統工芸の中でも人気の高い「南部鉄器」の産地、岩手県盛岡市にある薫山工房さんの工房に伺いました。

南部鉄器ができるまで。鉄瓶の作り方を教わりました

南部鉄器の産地、盛岡に行ってきました。製品としての南部鉄器は数多く拝見してきましたが、盛岡での制作現場を視察できたのは今回が初めてです。
盛岡駅からバスで30分程度、手づくり村の薫山工房(くんざんこうぼう)さんに2日間通い、たくさん教えていただきました!感謝。
南部鉄瓶をつくるにはゆうに60は超える工程があるそうです。そしてそのほとんどの作業が熟練の技を必要としています。

「焼型」での南部鉄器の作り方の大まかな<手順>をご紹介いたします。

  1. 原寸大で詳細なデザインをつくり、その断面を木型(型板)にする。
  2. 木型を、粘土などの中に入れ、中心点を軸に回転させて鋳型を作る(型挽き)。
  3. 霰(アラレ)や桜などの模様を鋳型に押していく。
  4. 鋳型を完全に乾かし、1300度で焼く。
  5. 鋳型より少し小さい型(中子)を組み込む(空洞を作るため)。
  6. 1400~1500度に熱した鉄を鋳型に流し込む。
  7. 鉄器を鋳型から外し、中子を取り除いたら、800~1000度で焼く(釜焼き)。
  8. 表面を磨き、不要なでこぼこを取り除いたら、本漆とおはぐろを塗る。


<手順2>鉄瓶の底の部分になる型。よくみると烙印が鉄瓶の底面につくようにデザインされている。

 


<手順3>アラレを鋳型に押す作業→正確に均等に、同じ強度で押していく。南部鉄器の見た目を決める重要な作業
。

 

<手順6>一連の鋳込み作業を南部鉄器の工房では「フキ」といいます。製造工程の中で一番華やかな作業といわれるのが「フキ」で、緊張と高揚が交わる瞬間でもあります。

 

<手順7>鋳型から取り外す作業。南部鉄器の産みだされる瞬間。


 

<手順8>本漆(漆の木の樹液だけを使用した漆)を手塗りしています。高熱の鉄瓶を手にしながら刷毛で均等に素早く手塗りする作業は特に高度な技術が要求されます。

 

南部鉄器「薫山工房」について

南部鉄器の産地は岩手県の盛岡地域と水沢地域に限定されています。「薫山工房」は盛岡市で代々、南部鉄器を作る工房で、現在は三代目薫山を受け継ぐ伝統工芸士・佐々木和夫さんを中心に、鉄瓶や茶の湯釜、鉄花瓶などを作っています。

薫山工房の南部鉄瓶は、種類の豊富さが特徴です。鉄鉢型や南部型、棗型と呼ばれる一般的な形状だけでなく、車軸型や柚子型、新布団型など、他ではあまり見られない形の鉄瓶も多く揃います。さらに、表面を飾る紋様も多彩。南部鉄瓶では伝統的な霰(アラレ)や糸目、桜小紋だけでなく、亀甲や水玉、松、波千鳥などの伝統柄をあしらったものもあります。

これができるのも薫山工房がデザインから販売まで、80を超えるというすべての工程を自社で行っているから。描いたデザインから木型を作り、鉄瓶を思う形に鋳造するための鋳型づくりも工房で行っています。 


写真左:薫山工房 代表・佐々木和夫さん(伝統工芸士)、右:日本工芸堂 代表・松澤斉之

「2日かけて様々な制作シーンを拝見させていただき、そして様々な質問にもお答えいただきました。一部道具を持たせていただき、作業をしてみましたが当然ながら全くうまくいかず、、。熟練の技に改めて魅了され、改めて南部鉄器への理解が深まりました。伝え手としてしっかりと発信していこうと思いました」

 

南部鉄器の人気商品

日本工芸堂で取り扱っている薫山工房の中から、代表的な商品をご紹介します。

南部鉄器 鉄瓶 | 九重型 亀甲 | 1.2L | 薫山工房

 

南部鉄器 鉄瓶 | 新布団型 肌 | 1.0L | 薫山工房

 

東北・岩手県のその他の伝統工芸

■岩谷堂箪笥

その歴史は古く、平安時代から作られている木工家具の岩谷堂箪笥(いわやどうだんす)。現在は、岩手県奥州市江刺区や盛岡市を中心に工房があり、国の伝統的工芸品に指定されています。欅(ケヤキ)と桐(キリ)といった天然木を使用し、美しい木目や塗りが施され、圧倒的な存在感があります。美しい飾り金具は「手打ち彫り」と「南部鉄器金具」の2種類があり、現代までその意匠が受け継がれています。


■浄法寺塗

岩手県二戸市の浄法寺は、国産漆の約60%を生産している国内有数の産地です。浄法寺塗(じょうほうじぬり)は、この高品質な浄法寺漆を使って作られる漆器で、黒、本朱(ほんしゅ)、溜色(ためいろ)の無地の単色を基本としています。古くから庶民に親しまれてきた漆器で、普段づかいを前提とした飽きのこないシンプルなデザインも特徴的です。

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