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記事: 長く使いたい、曲げわっぱの使い方とお手入れ

長く使いたい、曲げわっぱの使い方とお手入れ
#工芸を知る

長く使いたい、曲げわっぱの使い方とお手入れ

シンプルな素材感で人気の曲げわっぱのお弁当。おかずが美味しそうに見えるという話もあり、使ってみたいと思っている人も多いですよね。ですが、お手入れが面倒と諦めていませんか?
確かに使い方やお手入れの方法にはコツが必要です。ですが、コツさえわかってしまえば意外と短時間のお手入れで大丈夫。今回は曲げわっぱの使い方、お手入れ方法をご説明します。

 

曲げわっぱの素材について

お手入れ方法を知る前に、まずは曲げわっぱについて少しだけ知っておきましょう。お手入れに悩んだときは、ヒントになるかもしれません。

天然の木100%でできた曲げわっぱ

曲げわっぱとは、生の木板を、特殊な技法で曲線に曲げて、継ぎ目を山桜の皮で綴じ、底をつけた器のこと。縄文・弥生時代に曲げわっぱのような器が使われていた形跡があり、古くから日本に伝わる伝統工芸品のひとつです。お弁当箱をはじめとして、菓子器、茶器、ひしゃく、おひつなどさまざまな曲げわっぱがあります。

日本各地でつくられている曲げわっぱの素材は、100%天然の木。スギやヒバ、ヒノキなど地域によって木材の種類は異なるものの、地元の木材を活かしてつくられています。そのため、プラスチックのお弁当箱とは、異なるお手入れが必要です。

現在、曲げわっぱのお弁当箱には、主に3種類あります。それぞれのお手入れの方法などが異なります。

一番素朴な生木を曲げただけの白木のもの

白木に漆を塗った少し高級なもの

③お手入れをしやすいようプラスチックの素材であるウレタン塗装をしたものなどがあります。

それぞれのお手入れの仕方は、後ほど説明していきます。

はじめて曲げわっぱを手にしたときは

はじめて曲げわっぱを手にしたときは、まずは洗うことからはじめましょう。天然の木からできているため、未使用の曲げわっぱは木特有の香りや色素があり、そのまま使うとおかずやごはんに香りや色素がうつることがあります。

もちろん、天然のものなので害はなく、数回使ううちに気にならなくなりますが、どうしても気になるときは、使う前に2~3回、70度くらいのお湯を張って捨てるということを繰り返しましょう。

また、木の香りが気になるときは、緑茶を淹れて短時間浸けるという方法もあります。ただし長く浸けすぎると、お茶の色が付くことがありますので気をつけてください。

その後、蓋と容器部分を別々にして、しっかり乾燥させれば、使用できるようになります。

 

曲げわっぱの種類に合わせたお手入れ方法

2段の曲げわっぱを見る

市販されている曲げわっぱの多くは、白木、ウレタン樹脂塗装、漆塗りのいずれかです。どれも食器洗い乾燥機は使えず、手洗いが基本です。ここではこの3つの曲げわっぱの特徴とお手入れ方法についてご説明しましょう。

白木の曲げわっぱは乾燥が大切

白木の曲げわっぱは、表面に何も塗らない(無塗装)木そのままの曲げわっぱです。木の木目やよい香りを楽しむことができる、最も曲げわっぱらしいものを指します。無塗装なので木がしっかりと調湿作用を発揮し、時間が経ってもごはんがふっくらと美味しいのも特徴です。また、ヒノキやスギには殺菌効果もあるので、料理が腐りにくいというメリットもあります。

白木の曲げわっぱのお手入れ方法は、まずはスポンジを使い手で洗うことです。汚れがひどい場合には、短時間お湯につけたり、クレンザーや洗剤を使ったりするのもOK。クレンザーには表面を少しだけ削る効果がありますので、汚れがしっかり落ちるだけでなく、木目が締まるという役割を果たしてくれます。

洗い終わったら布で拭いて、一晩しっかりと乾燥させましょう。

お手入れ簡単 初心者ならウレタン樹脂塗装のわっぱ

木の表面にウレタン樹脂を塗ったウレタン塗装の曲げわっぱは、プラスチックのお弁当箱が全盛の時代に、プラスチックと同じような使いやすさを求めて作られたものです。そのため、白木や漆塗りの曲げわっぱに比べてお手入れは簡単。曲げわっぱの生産は大きく落ち込んだ時期もありましたが、ウレタン樹脂塗装を取り入れてからは、売り上げが回復しました。

見た目も艶やかで見栄えがし、汚れにくく、洗い方も簡単なウレタン樹脂塗装の曲げわっぱ。比較的値段も安いので、曲げわっぱ初心者におすすめです。洗い方は洗剤をスポンジにつけて洗うだけでOKです。

ただし、木の表面にプラスチックを塗っているのと同じですので、白木のものに比べると調湿作用や殺菌効果はあまり期待できません。

 

漆塗りの曲げわっぱ

漆塗りの曲げわっぱは、油ものを入れても白木よりも染み込みにくく、汚れにくいのが特徴。漆の艶も美しく、漆による抗菌効果も期待できます。天然漆を使ったお弁当箱は、木の呼吸を妨げないので、冷めてもごはんが美味しくいただけます。

お手入れ方法は、やわらかいスポンジに洗剤をつけて洗い、お湯をかけるのが基本です。次にやわらかい布で拭いて湿気をとって終了。漆器と同じ感覚でお手入れしてください。

3つの曲げわっぱの中で最も高価な漆塗りの曲げわっぱですが、漆を塗ることでさらに丈夫になり、漆が取れても塗り直ししてくれるところもありますので、大切にお手入れすればずっと長く付き合うことができます。

 

バランスのよいお弁当の詰め方

ウレタン樹脂塗装や漆塗りの曲げわっぱは、それほどごはん、おかずに詰め方に気を使う必要はありませんが、白木のわっぱにはちょっとだけコツが必要です。ここでは、白木の曲げわっぱのお弁当の詰め方についてご説明します。

ごはんは冷えるまで待つのがポイント

白木の曲げわっぱにごはんを詰めるコツは、お弁当箱が乾燥した状態で詰めることと、ごはんが冷めるまで待つことの2つです。

まず、しっかり乾かしたお弁当箱に温かいごはんを詰めます。詰めたらごはんが冷めるまで、蓋を開けたまましばらく放置。蓋を閉めてしまうと水蒸気がつき、カビが発生しやすくなりますのでそのまま置いておきましょう。

だいたいご飯の温度が室温と同じくらいになったら、おかずを詰めても大丈夫です。

油っぽいおかずや煮物を詰めるときは

生木そのままの白木の曲げわっぱは、油や煮物の汁などが染み込みやすく、そのままおかずを詰めてしまうとシミになってしまうことがあります。詰める前に油っぽいおかず、煮物などは、キッチンペーパーなどで油分や水分を取っておくことをおすすめします。また、下に葉物などを敷いて、おかずが木の表面に直接付かないようにしてもよいでしょう。

おかずは、メインの大きいものから、中、小と段々小さなものを詰めていくときれいに詰められます。赤・緑・黄・黒・白のおかずをバランスよく入れると、彩りも美しく、栄養価に富んだお弁当となります。

おかずの臭いやカビがついてしまったときは

白木の曲げわっぱは、臭いやカビがつきやすいので、出来れば1日完全に乾燥させて使うのがおすすめ。毎日曲げわっぱのお弁当箱を使いたい場合は、2つのお弁当箱を交互に使うのがベストです。

おかずの臭いがついてしまったときは緑茶を使いましょう。緑茶の消臭成分が、嫌な臭いを取ってくれます。まずはお弁当箱の中に緑茶をいれてしばらく浸けておきます。しばらく経ったら中のお茶を捨て、またお茶を入れて浸けることを繰り返し、最後にしっかりと乾燥させます。

また、カビがついてしまったときは、お湯に少し浸けて、クレンザーで洗ってみてください。カビが取れることがあります。万が一カビの色が取れなくても、しっかりお湯に浸けておけばカビの菌糸はなくなり、衛生的に使うことができます。

それでも臭いやカビが気になるときは、購入した工房に相談してみましょう。修理してくれたり、プロならではのお手入れをアドバイスしてくれたりします。

 

いつもの食事がちょっと豪華に見える曲げわっぱ

曲げわっぱのお弁当は、シンプルな木目がおかずを美味しそうに見せてくれます。また、深みがあることから、立体的に見えて豪華に見えるというメリットも。毎日、料理を詰めているうちに「次は何を詰めようかな」と楽しくなるに違いありません。

ぜひ自分に合った曲げわっぱを使って、お弁当づくりの時間を楽しいものにしてください。

 

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