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記事: 曲げわっぱの弁当箱、無塗装・漆・ウレタンの違い

曲げわっぱの弁当箱、無塗装・漆・ウレタンの違い
#工芸を知る

曲げわっぱの弁当箱、無塗装・漆・ウレタンの違い

ごはんやおかずが美味しそうに見えると人気の曲げわっぱの弁当箱。使ってみたいけれど、いろいろな種類があって選び方がわからないという人も多いのではないでしょうか。選ぶポイントのひとつが曲げわっぱの仕上げの「塗装」です。主に無塗装、漆塗り、ウレタン塗装の3種。今回は、それぞれの特徴と違いについて紹介します。曲げわっぱの弁当箱を選ぶときに、ぜひお役立てください。

 

 

 

機能性が高く美しい曲げわっぱのお弁当箱

曲げわっぱの歴史は古く、一説によると中国の漢の時代から使われている、とも。こんなにも長い間、多くの人々に曲げわっぱが使われて続けているのには、やはり理由があります。まずはその理由について探ってみましょう。

天然木で作られる曲げわっぱ

曲げわっぱは、スギやヒノキ、サワラ、ヒバといった天然の木を素材につくられたもの。その天然の木を薄い板にし、力を加えて楕円型、四角などの形に曲げていき、サクラの皮などで留めると曲げわっぱとなります。代表的なものに、秋田スギを原料とする「大館曲げわっぱ」があり、その他の地域でつくられる曲げわっぱも、多くがその地域で採れる木を原料にしてきました。

山が多く質の良い材木が採れる日本で、各地方で曲げわっぱの弁当箱がつくられ、伝統工芸にまでなったのは、当たり前のことなのかもしれません。しかし、その技術を現代まで受け継いできた職人さんたちの技術の高さには、目をみはるものがあります。現在では、天然木ならではの素朴さ、ぬくもりなどが改めて注目を集めています。

曲げわっぱの特徴

曲げわっぱは美しく、高機能な弁当箱。主な特徴としては、お弁当が美味しそうに見える、時間が経ってもごはんが美味しい、腐りにくい、軽くて丈夫ということが挙げられます。

○お弁当が美味しそうに見える

曲げわっぱの弁当箱にごはんやおかずを詰めると美味しそうに見えます。これは天然の木目の美しさが、弁当を引き立ててくれるから。あり合わせのものを詰めるだけでも、料亭の料理のような気分が味わえます。

○時間が経ってもごはんが美味しい

曲げわっぱの弁当箱は、ごはんを美味しく保存してくれるおひつと同じ。天然の木が呼吸することで中の湿度を調整してくれるので、時間が経ってもごはんがベタッとすることなく、ふっくらとしたごはんが食べられるのです。

○腐りにくい

曲げわっぱの弁当箱の素材は、スギ、ヒノキなどの木。これらの天然木は、抗菌作用があることでも知られています。そのため、細菌が繁殖しにくく、腐りにくい弁当箱といえます。

○軽くて丈夫

曲げわっぱの弁当箱は薄い木を曲げてつくったものなので、とても軽いのが特徴です。しかも木のしなやかさがあり、割れにくく丈夫。落とすと傷はつきますが、割れたりすることはほとんどありません。毎日持ち運ぶのにとても便利です。

お手入れが難しい?

曲げわっぱの弁当箱の購入を迷っている理由として、よくあげられるのが「お手入れが難しいのでは?」ということです。

確かに食器洗い乾燥機は使えない、レンジで温められないといったデメリットはありますが、実際のところ、お手入れはそれほど難しくはありません。白木(無塗装)、漆塗り、ウレタン塗装とそれぞれのお手入れ方法は少しずつ異なりますが、どの塗装の弁当箱も、手洗いし、拭いて、乾かすのが基本。時間にして3分もかからないものです。

少しだけ手間をかけることで、小さな伝統工芸品である曲げわっぱと何十年も付き合っていくことができるのです。

 

 

3種類ある曲げわっぱの塗り加工

それでは、無塗装、漆塗り、ウレタン塗装の曲げわっぱのそれぞれの特徴、メリット、デメリットなどを紹介します。

天然木の特徴を最大限に引き出す「無塗装」

最も曲げわっぱらしい曲げわっぱ、といえば無塗装のもの。白木の曲げわっぱとも呼ばれ、何も塗装しない木目の美しさ、木の香りを楽しむことができます。一方、漆塗りやウレタン塗装より手間がかかるのも事実。曲げわっぱが好きな人、扱いに慣れた人にオススメです。

○メリット

  • 木目の美しさ、木の香りを楽しめる
  • 天然木の抗菌作用が期待できる
  • 木の調湿作用により、時間が経ってもごはんが美味しい

○デメリット

  • お手入れに洗剤が使えない
  • 湿気に弱くカビが生えやすい
  • 揚げものをそのまま入れると油が木に染みることがある

抗菌性を兼ね備える「漆塗り」

漆塗りの曲げわっぱとは、白木の曲げわっぱに漆を塗ったもののことを指します。本塗りはお椀のように色のついた漆を塗り木目が見えないもの、拭き塗りは透明な漆を表面に塗り木目が見えるものです。どちらも漆を塗ることで艶が生まれ、無塗装とはまた違った趣があります。メリットの多い漆塗りの曲げわっぱですが、一番のデメリットは高価なこと。しかし、長く使い続けられることを考えれば、帳尻は合うのかもしれません。

○メリット

  • 漆塗りの美しさを楽しめる
  • 漆を重ねた分、白木よりも丈夫
  • 漆の抗菌作用が期待できる
  • 木の調湿作用により、時間が経ってもごはんが美味しい
  • 油分が染みない
  • 洗剤が使える

○デメリット

  • 漆が高価なため、3つの曲げわっぱで最も値段が高い
  • 漆の匂いが気になることがある

使いやすく機能的な「ウレタン塗装」

ウレタン塗装の曲げわっぱとは、白木の曲げわっぱにウレタン樹脂を塗ったもののことを指します。ウレタン樹脂は、食品安全法をクリアした安全なものです。もし、樹脂素材が気になるのなら、国産のものを選ぶとよいでしょう。木目の美しさも楽しめ、お手入れも簡単ですので、曲げわっぱ初心者にオススメです。

○メリット

  • 木目の美しさを楽しめる
  • 油分が染みない
  • 洗剤が使える
  • 3つの曲げわっぱの中で最も値段が安い

○デメリット

  • 木の香りはなく、ウレタン樹脂の匂いがすることがある
  • 白木や漆などの抗菌作用がない
  • 木の調湿作用がなく、ごはんのふっくらとした風味を楽しめない

 

 

曲げわっぱのお手入れ方法

曲げわっぱのお手入れ方法の基本は、手洗いして、拭いて、乾かすことです。ここでは塗り加工に違いにあわせた曲げわっぱの詳しいお手入れの手順と方法について触れてみます。

お手入れ次第で長く使える無塗装の曲げわっぱ

無塗装の曲げわっぱは3つの中で一番手間はかかりますが、白木の美しさ、香りは変えがたいものがあります。手順や方法を知ってお手入れすれば、長く使うことができます。

○手順

  • ぬるま湯に2~3分ほど浸ける
  • 洗剤は使わず、スポンジで手洗いする
  • ぬるま湯ですすぐ
  • 布で拭き、乾かす

○コツ

汚れがひどいときは、洗剤を使ってOK。しっかりとゆすぎ、拭くことで洗剤が染み込むのを避けることができます。また、カビが生えやすいので、お弁当箱の角の隅まで拭いて自然乾燥させましょう。

漆塗りは洗剤OK! でもやさしく扱おう

漆塗りの曲げわっぱは、漆器と同じ扱いをします。無塗装のものに比べ、油染みやごはんのこびりつきが少なく、洗いやすいのですが、白木のものよりもデリケートな部分もあるので、やさしく扱いましょう。

○手順

  • ぬるま湯に10分ほど浸ける
  • 洗剤を使って、スポンジで手洗いする
  • ぬるま湯ですすぐ
  • 布で拭き、乾かす

○コツ

表面が柔らかいので、ナイフやフォーク、コップなどと強くあたると塗装がとれることがあるため、他のものにあたらないように洗います。また、蒔絵など高価な塗りの場合はさらにデリケートなので、傷つけないように柔らかい布などを使いましょう。

お手入れ簡単!初心者でも扱えるウレタン塗装

ウレタン塗装の曲げわっぱのお手入れは、3つの曲げわっぱの中で一番簡単です。洗剤も使えて、さっと拭いて乾かしておけばよいので、日々忙しい生活を送っていても気軽に取り入れることができます。

○手順

  • 水にしばらく浸ける
  • 洗剤を使って、スポンジで手洗いしてすすぐ
  • 布で拭き、乾かす

○コツ

全体にウレタン塗装が施してあれば、特にコツはありません。もし一部だけ塗装があり、他の部分は白木といった場合には無塗装の曲げわっぱのお弁当箱のお手入れに準じます。

 

優先順位を考えて
ぴったりの曲げわっぱを選びましょう

3つの曲げわっぱには、それぞれに良さがあり、また特徴があります。白木の美しさや機能を楽しみたいなら無塗装の曲げわっぱ、塗りの美しさ・丈夫さ・機能を楽しみたいなら漆塗りの曲げわっぱ、まずは手軽に曲げわっぱを楽しみたいならウレタン塗装の曲げわっぱ、というところでしょうか。

それぞれの特性を知って、自分にぴったりの曲げわっぱを選んでください。

 

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