土佐龍
【 四万十ヒノキ 】
“ジャパニーズヒノキ”を
世界に伝える木の職人たち
高知県はその80%以上を山林に覆われた県。中でもヒノキの生産量は日本一を誇る。ヒノキはゆっくり成長し、国内の生息地域も限られる、高級木材だ。海外でもヒノキの人気は高く「ジャパニーズヒノキ」としてブームになっている。しかし、国内では木の使い手が少なくなっているだけでなく、中国産などの低価格な木材に押されてしまっていた。
かつて470社あった林業に携わる会社は47社にまで減少し、木材を加工する会社も19社になっていた。そんな中、多くの山に植林された木々が収穫期を迎える。それらをいかにして活用するかを考える中、土佐龍の創業者である池龍昇氏は、四万十川流域のヒノキに油脂分が多く、水を弾きやすいことに気づいた。
それは建材として木工品としても良質なヒノキであることを意味する。そこで池氏は、四万十川流域のヒノキを「四万十ヒノキ」と命名。今では、ヒノキの1大ブランドとして、全国に知られる木材となりつつある。
木を余すところなく使い切る「木の料理人」
土佐龍の職人は、自らを「木の料理人」と呼んでいる。それは、さまざまな木が持つ特性を知り、その特性に合ったものづくりをする、ということと、端材や葉など、木のすべてを活用した製品を開発する、という姿勢を表す。
実は、成長の段階で伐採される間伐材だけでなく、成長した木を使える材木にする段階でも約4割が捨てられてしまうという。「料理人が素材を捨てないように、できるだけ木を捨てずに活用できないか」。そんな想いで、木の個性だけでなく、捨てられていた部分も活用して、価値あるものを作る。それこそが、土佐龍が目ざす「木の料理人」の姿だ。
土佐龍が生み出している商品はコースター、洗濯板、バスマット、入浴剤など400種類以上。中でも、土佐龍の名が知られるきっかけになったのが「まな板」だ。
木が持つ質の良さだけでなく、デザイン性の高さと機能性はたちまち評判を呼び、多くのメディアでも取り上げられるようになった。木々の個性にデザイン性をプラスして新しい価値を作り出す。「そして世界に流行を作っていかなければと思っています」。
世界にジャパニーズヒノキをある暮らしを発信しようとする職人の想いが、一つひとつの商品に込められている。
※土佐龍 池社長と