KISEN 喜泉
400年の歴史を受け継ぐ高岡銅器の老舗
富山県の伝統工芸の一つに「高岡銅器」があります。これは加賀藩主・前田利長が慶長16年(1611年)に高岡の地を開町した際に鋳物産業を奨励したことに始まり、400年以上の歴史を持っています。高岡で銅器を作り続ける職人の中でも、四津川製作所は「喜泉(きせん)」の屋号を持つ老舗です。
「喜泉」という名には「暮らしに喜びと潤いを添える」という思いが込められており、高度な技術を活かして人々の豊かな暮らしを支える製品づくりを目指しています。
特に香炉の分野では、そのデザイン性と技術力が高く評価され、江戸後期の名工による逸品の復元にも取り組んできました。世界からも注目されるその完成度の高さを生み出すのは、四津川製作所がこだわる原型製作です。
複雑で繊細なデザインを精密な原型に起こし、その原型を正確に鋳造へと具現化することで製品が完成します。こうした高度な技術は、伝統技能を継承する熟練の職人によって支えられています。まさに、高岡銅器400年の技術が結集した証といえるでしょう。
金属と木の組み合わせで現代の心地よい暮らしを演出
四津川製作所が2014年に立ち上げた新しいブランドが「KISEN」です。「喜泉」の屋号に込められた思いを、現代のライフスタイルに寄り添うかたちで表現しようと、新たなデザインや商品づくりに挑戦しています。
ラインナップには、酒器や器、箸置き、花瓶などがあります。木と金属を組み合わせたぐい呑や、絶妙なバランスで揺れながらも倒れないカップなど、日々の暮らしを豊かに彩り、心地よさを添えるアイデアあふれる商品が揃っています。
自然を象徴する木材と、人工物のイメージをもつ金属。その融合を印象づけるシンプルで独自の曲線デザインは、モダンな雰囲気を漂わせ、テーブルコーディネートのアクセントになります。さらに、実用性にも配慮されています。
受け継がれてきた伝統技術に裏打ちされた職人の緻密な計算から生まれるからこそ、KISENの商品には、使いやすさと独自性が同居しています。日本の新しい鋳造技術の展開として、今後ますます注目されることでしょう。
Buyer's Voice 代表・松澤斉之より
センスある暮らしの相棒を開発し続ける
KISENの器は、どなたに贈っても驚きと喜びを与える存在です。私自身も初めて出会ったときに強い印象を受けました。ラッパのように飲み口が広がり、下に行くほど細くなるグラスや、底が丸くテーブルに置くとゆらゆらと揺れるカップなど、独創的なデザインが目を引きます。
実際に手に取ってみると、グラスは重心が絶妙に低く設計されており、安定感があります。緩やかな曲線は持ちやすさを考慮して計算され、揺れるカップも倒れそうで倒れず、中の飲み物がこぼれないよう工夫されています。
そのほかの器やアイテムも、どれも品があり、ギフトとしても安心しておすすめできます。センスある暮らしを大切にする方にとって、KISENは日常に上質さを添えてくれるブランドです。

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