コンテンツへスキップ

ショッピングカート

カートが空です

記事: 江戸切子を体験してわかったこと|職人の技と、日常で使う楽しさ

江戸切子を体験してわかったこと|職人の技と、日常で使う楽しさ
#取り組み

江戸切子を体験してわかったこと|職人の技と、日常で使う楽しさ

江戸切子は、手に取るまでその価値が伝わりにくい工芸品のひとつです。ショーケース越しに見ているだけでは、あの輝きがどのように生まれるのか、なぜあの価格なのか、なかなか実感できません。

日本工芸堂では、長年お付き合いのある江戸切子工房「玻璃匠 山田硝子」の三代目・山田真照氏を招き、実際に江戸切子のカットを体験する機会を設けました。参加者が手を動かしてみてわかったのは、江戸切子の価値は「見た目の美しさ」だけではないということでした。

江戸切子の文様と道具—体験前のレクチャー

体験はまず、山田氏による江戸切子の基礎レクチャーからはじまりました。菊花紋・青海波・市松など、江戸切子を代表する文様の種類と、それぞれの文様に使う道具の違いについて説明を受けます。

菊花紋にはダイヤモンドホイールを使いますが、青海波のような弧を刻む文様には異なる砥石を用います。道具を変えることで、まったく異なる表情が生まれます。同じ「カット」という工程でも、文様ごとに道具も技法も異なることを、この時点ではじめて知った参加者がほとんどでした。

実際に削ってみる—透明ガラスで練習

レクチャーの後は、透明ガラスを使った練習です。山田氏がグラインダーの前に座り、手本を見せてくれます。流れるような動作で、みるみるうちに均一な線が刻まれていきます。簡単そうに見えました。

ところが実際に手を動かすと、まっすぐ線を入れることすら難しい。同じ太さの線を連続して刻むことは、さらに難しい。削る部分をガラスの反対側から見てカットするという作業は、慣れない手には想像以上の難しさでした。

本番—色被せガラスに自分だけの文様を刻む

練習の後は、色被せガラスを使った本番です。透明ガラスと違い、下書きが透けて見えません。それでも参加者はそれぞれ思い思いの絵柄をガラスの側面に描き、グラインダーの刃を変えながらカットに挑みます。

山田氏にお手本を作ってもらいながら、試行錯誤を繰り返します。やればやるほど、山田氏の技術の精度に驚かされます。均一に見える連続した曲線が、いかに難しいか。体験してはじめて実感できることでした。


体験して気づいたこと—参加者の声

体験を終えた参加者からは、こんな声がありました。

「江戸切子は高度な技術が必要であることは頭ではわかっているつもりだったけど、体験してみてより実感した。商品を見るときの見方が変わった」

「どのように作られているのか全く知らなかったので知ることができてよかった。今までただ綺麗だと眺めていた江戸切子が、いくつもの文様の組み合わせで成り立っていると分かり、江戸切子を見るときの楽しみが増した」

「今までは江戸切子というだけでありがたく思っていたが、山田さんのような技術の高い職人さんのものから中国製まであると聞いて、よりよく商品を見るようになった」

「文様についてもっと深く知りたい」

体験前と後で、江戸切子の見え方が変わる。それがこの体験を通じて得られた、もっとも大きなことだったかもしれません。

集合写真

終了の記念撮影。

職人・山田真照氏について

山田硝子は、東京・墨田区で三代80年にわたり江戸切子を作り続けてきた工房です。初代は明治時代にイギリスから来日した技師・ホープトマンからガラスカットの技法を直接学んだ一人。その技術が二代目、三代目へと受け継がれています。

三代目・山田真照氏は、江戸切子と花切子という二つの技法を操る数少ない職人のひとりです。グラインダーの前に座った瞬間、穏やかな表情が一変し、目に厳しい光が宿ります。日々の暮らしを華やかにできる実用品を作りたい——その言葉通り、山田氏の作品はグラスやぐい呑みなど、手に取って使うものばかりです。

玻璃匠 山田硝子の工房訪問記はこちら

江戸切子を、日常の暮らしへ

体験を通じて見えてきたのは、江戸切子は「飾るもの」ではなく「使うもの」だということです。光の当たり方で表情が変わり、手に持つたびに文様の細やかさに気づく。毎日使うグラスやぐい呑みだからこそ、その価値が積み重なっていきます。

日本工芸堂では、山田硝子をはじめとする江戸切子の工房と直接取引をしています。産地で見て、職人と話して選んだ作品を、ぜひ手に取ってみてください。

江戸切子の工芸品一覧はこちら