「秋のお茶」はカテキンたっぷり。日本茶を楽しむ工芸の茶器・茶筒
お茶の旬は春だけではありません。実は秋もお茶が美味しい季節なんです。紅茶には「オータムナル」と呼ばれる秋摘み茶があり、飲みやすさ、味わい深さから愛飲している人も少なくありません。同じお茶の葉である緑茶も同じく秋は味わい深くなる季節。秋のお茶をより美味しく味わうためのおすすめ茶器もご紹介します。
春の新茶の次に貴重な「秋のお茶」
季節ごとに味わいが変わる日本茶
春に新茶シーズンを迎え、一番茶が摘まれる日本茶。その後も葉は成長し、二番茶、三番茶が摘まれていきます。9月中旬から10月中旬に摘まれるものが四番茶。秋冬番茶とも呼ばれ秋ならではの美味しさがあると人気です。
お茶の味わいは摘まれる時期によって変化します。旨み成分が多い一番茶に比べ、二番茶は夏の日差しを浴びるためカテキンの含有量が増え、爽やかな渋みが特徴になります。三番茶は香りや旨み成分が少ないため、ほうじ茶などに加工されています。
最後のシーズンである四番茶が秋のお茶。一番茶を摘む春と気候が似ていることもあり、一番茶に似た味わいが楽しめます。
「秋のお茶」の魅力
秋のお茶である四番茶の特徴は、夏の強い日差しを浴びて成長していること。そのため、カテキンをたっぷり含んでおり、深い渋みをもつすっきりした味わいになります。
さらに最近では、ポリサッカライドという成分が多く含まれていることでも注目されるようになりました。ポリサッカライドは血糖値を下げると言われている成分で、四番茶を水出しすることで多く抽出されます。
味わいだけでなく、健康保持も効果的なのが秋のお茶なのです。
ただ、春に美味しい新茶を摘むためにはしっかりお茶の木を休ませることが重要です。そのため、二番茶以降はお茶を摘まないという茶農家さんもいるほど。秋茶はその分収穫量が少なく、貴重なお茶ともいえます。
おすすめの茶器 ①急須
お茶をより美味しく楽しむためには、茶葉の量やお湯の温度など気を付けたいポイントがいくつかありますが、急須選びも重要な要素です。昔から愛用されてきた工芸の急須には、美味しくお茶が淹れられる要素が揃っています。
燕三条と高岡のコラボで生まれた急須
急須といえば陶器のものが多いのですが、軽くて割れない金属の急須も多くの人に愛用されています。金属の食器は、機能性は高いけれど、色合いが無機質なイメージ。そんな印象を覆すのが、金属加工の町「燕市」の金属製品に高岡銅器の着色技術が加わって生まれた「折燕 ORI-EN」シリーズです。金属表面を腐食させることで鮮やかな色を発色させる技術を応用し、これまでなかった色合いを生みだすことに成功しました。
世界が注目する南部鉄器の急須
「NANBUTEKKI」として海外でも知られる、東北の伝統工芸「南部鉄器」。重厚なデザインが特徴でしたが、最近では海外からのニーズに合わせてモダンなカラー急須も生産され、人気になっています。
南部鉄器の中でも「鉄瓶」は湯沸かしであり直火にかけることができますが、「急須」は直火にはかけられません。あくまでお茶を淹れるものであり、中面はホーロー加工されているものもあります。鉄瓶の効果の一つである鉄分の摂取はできませんが、その分、水気に強く扱いやすいのがポイントです。
毎日の食卓で気軽に使える南部鉄器として、愛用する人も増えています。
茶こしが波佐見焼のティーポット
特殊な素材を使用して波佐見焼のセラミックコーヒーフィルターを開発した燦セラが手がける、ティーポット。お茶の味わいをキープしながら紅茶のエグ味・苦味をほんのりと和らげ優しい味に引き立てます。
おすすめの茶器 ②湯呑み
お茶を飲む際に使う湯呑みは陶器が多いのですが、木製の湯呑みもおすすめです。木製食器は焼き物に比べ熱伝導率が低いので、熱いお茶を入れても器が熱くなりにくいという特徴があります。軽く、持ちやすいだけでなく、ナチュラルな雰囲気が今のライフスタイルにも合うと人気です。
木の温もりが心地よい湯呑み
石川県の漆器の産地の中でも山中は、漆を塗る前の木地の産地としても知られています。そのため、漆の特性はもちろん、木の美しさも知り尽くしているのが山中。作られる漆器も木目を活かしたナチュラルな雰囲気のものが多く、毎日使う湯呑みにはぴったりなのです。「うつろいカップ」は、山中の挽物ろくろ技術と塗りの技術を活かし、石川県の四季の色をモチーフに外側の色をメタリック塗装で仕上げた山中の技巧ならではの薄挽き仕上げのカップです。
青の濃淡が美しい湯呑み
肥前吉田焼で伝統的に使われている青の染料「呉須」を使い、鮮やかで美しいグラデーションを開発したのが「副久製陶所」のGOSUシリーズです。
毎日の食卓で飲むお茶をおいしく淹れてくれるのが土瓶と湯呑のセット。5つのブルーから色の組み合わせを選んでいただける、楽しいセットです。
有田焼のペアカップ
有田焼の窯元と地元焼酎メーカーが協力して開発した焼酎カップ。焼酎だけでなく湯呑みとしてもちょうどいいサイズです。内側に独自の丸みを持たせることで「香り」や「味わい」をより一層感じさせてくれます。
おすすめの茶器 ③茶筒
お茶を楽しむためにこだわってほしいのが、茶葉を保管するための茶筒です。お茶は湿気だけでなく、温度の変化や光も大敵。密閉性の高さと適量のお茶が保存できる大きさも重要なポイントです。
樺細工の伝統的な茶筒
山桜の樹皮を加工して作られる秋田県の樺細工は丈夫なだけでなく、密閉性が高く、防湿性、防乾性が優れていることで古くから知られています。樺細工といえば茶筒をイメージする人も多いのですが、その機能性から薬など環境の変化を嫌うものを保存する道具も作られています。樹皮そのものの表情を活かしたものが一般的で、茶筒の内側まで美しい光沢ある樹皮を楽しむことができます。
燕三条と高岡のコラボで生まれた茶筒
おすすめの急須で紹介した「折燕 ORI-EN」シリーズの茶筒。急須だけでなく、茶筒や茶み(茶さじ)も取り揃えています。3点揃えることで、キッチン周りをスタイリッシュにコーディネートすることができます。
こだわりの器で日本茶をもっと美味しく
毎日飲む日本茶だからこそ、より美味しいものを楽しみたいですね。季節で異なる味わいや、お茶自体の品質も重要ですが、その魅力をより高めるために急須や湯呑み、茶筒などの道具にもこだわってみたいもの。先人の知恵が活きた伝統工芸品で、日々のお茶をもっと美味しく味わってみてください。
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