屋久杉
世界遺産「屋久島」は言わずとしれた自然の神秘が残る島。中でも屋久島に自生する屋久杉は「神や精霊が宿る木」として古くから崇められてきました。
屋久杉は1000年以上の樹齢を持つ木のみを指します。現在は伐採が許されておらず、屋久杉工芸に使われるのは「土埋木」と呼ばれる、かつて伐採された屋久杉の切り株や倒木。江戸時代、屋根を葺く木として薩摩藩に年貢として納められていた屋久杉の名残です。切り株や倒木は、今も森のあちこちに残され、屋久島特有の風景を形作っています。
また、屋久杉は「厄過ぎ」という言葉に通じるとして、長寿、開運、魔除けの象徴として愛されてきました。また、高地で栄養が少ないという過酷な環境の中、1000年
以上の歳月をかけて成長してきたことから、強い生命エネルギーをもつ、ともいわれています。
そんな屋久杉の土埋木を使った品々は、一つひとつ、木目がもつ自然の表情にあわせて職人がカットしていきます。屋久島を思わせる形状は、一つとして同じものはありません。
業者のみが参加できる屋久杉の販売会が2019年3月、資源の枯渇により70年の歴史に幕を下ろしました。今後、大量に流通することはなく、屋久杉は大変希少な素材です。