高岡漆器
富山
高岡漆器は、慶長14年(1609年)に加賀藩2代藩主・前田利長が富山県高岡市に高岡城を築いた際に始まりました。利長は、武具や日常生活品を作るために商人や職人を集め、この活動が高岡漆器の発展のきっかけとなりました。400年以上の歴史を誇り、その技術と美しさは今も受け継がれています。
高岡漆器には、「青貝塗」や「勇助塗」、「彫刻塗」などの技法があります。特に、貝を用いて山水や花鳥を描く「螺鈿(らでん)」技法が際立っており、鮮やかな輝きが美しい調和を生み出しています。
螺鈿は、貝を細工して漆の表面に貼り付けることで、貝の輝きと漆の美しさが調和する装飾技法です。一般的には約0.3mmの厚さの貝が使用されますが、高岡漆器では約0.1mmの薄い貝を使うことで、下地の漆の色が透けて見え、貝が青く光る独特の効果を生み出します。
この技法は、高岡漆器ならではの特徴です。鮑(あわび)などの貝を三角形や菱形に加工し、花や鳥、水の流れを表現することで、色彩豊かな模様が浮かび上がります。特に青貝や夜光貝を使った作品は、光沢と優雅さを持つ輝きが特徴で、非常に人気があります。

また、勇助塗は江戸末期に開発された技法で、中国漆器の影響を受けつつ、青貝や玉石を使って複雑な意匠を表現します。彫刻塗は立体的な彫刻を施し、花鳥風月を表現する技法で、江戸中期に名工によって発展しました。
これらの技法は、今も高岡漆器の伝統工芸として受け継がれ、国内外で高く評価されています。伝統を守りながら、新しい技術を取り入れることで、現代の美的価値にも適応した魅力的な工芸品として、多くの人々に愛され続けています。
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高岡漆器のブランド一覧
天野漆器 / 富山県高岡市

天野漆器は1829年に高岡漆器の工房として創業し、暮らしに役立つ製品を作り続けています。お盆や小箱、硯箱など、時代のニーズに応じた商品開発を行い、「自分たちが使うなら」という視点で、生活の中で豊かに使える工芸品を提供しています。
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