青山弥生
【江戸切子】
江戸切子に込める美しさ
「美しい情景に出会い、景色の中にひそむ美しさを発見した瞬間、心が動かされる。その感動を、ガラスに刻みたい」という衝動が、青山弥生さんの創作の原動力となり、”作品づくりでは、まず心に描いたイメージを実現する”ため、技術を磨き続けています。日々の実験と工夫を重ね、切子の線や面、光の表情を通してその感動を具現化していくのです。
彼女の作品は、繊細な技術と豊かな感性が見事に融合したものです。鋭さと温かみを兼ね備え、どの角度から見てもその美しさが広がり、心に深く響きます。まさに、青山のガラス作品ならではの特長と言えるでしょう。
極限まで色を細く残すカットや、手作業による丁寧な仕上げが特徴的です。全面酸磨きにプラスして一部(太ヒシ、面)手磨きすることで、ガラスに透明感と軽やかさを生み出しています。わずかな段差や角度にも配慮し、光の透過を妨げないよう仕上げるその技術が、女性らしい柔らかな形状と繊細な印象を持つ江戸切子を実現しています。
大学ではインダストリアルデザインを学び、その後「手でつくる仕事」に惹かれ、江戸切子の道を選びました。葛飾区の伝統工芸職人弟子入り支援事業を通じて切子職人に師事し、未経験から本格的な技術を習得しています。
2024年には全国伝統的工芸品公募展で経済産業大臣賞を受賞。深く美しい彫りや、磨いた面とスモークがかった縁との対比、そして一歩間違えれば柄が消えてしまうほどの繊細なカットの積み重ねが高く評価されました。2025年には青山硝子工芸を設立し、作家として独立。自然の中にひそむ静かな美しさや、心が揺れ動く瞬間を映し出すような作品づくりを続けています。
【経歴】
2007年東京造形大学造形学部デザイン科卒業
2008年葛飾区伝統工芸職人弟子入り支援事業 一期生として(株)清水硝子入社
2023年日本の伝統工芸士認定
2025年青山硝子工芸設立
【主な受賞歴】
2015年(財)伝統的工芸品産業振興協会 全国伝統的工芸品公募展、特別賞
2018年 同上、中小企業庁長官賞
2022年 同上、若手奨励賞
2024年 同上、経済産業大臣賞
Buyer's Voice 代表・松澤斉之より
繊細な光が宿る切子に惹かれて
青山弥生さんの作品に初めて出会ったのは、ある展示で見かけた一連の切子でした。
これまで自社で扱ってきた、力強さを感じる切子とは趣が異なり、繊細さと静かな美しさが共存していて、自然と目を惹かれました。
しばらくして彼女が独立された直後、別の作り手の方との会話の中で偶然お名前が挙がり、「あの時の作品の方だ」とすぐに思い至りました。
その後直接お話しする中で伝わってきたのは、作品づくりの背景にある丁寧な観察眼、積み重ねられた技術、そして“景色の一瞬をガラスに刻む”ような感性でした。
青山さんの切子には、装飾としての強さではなく、見る人や使う人に静かに語りかけてくるようなやさしさがあります。
日々の暮らしの中にそっと寄り添う光の器として、ギフトにも、自分のための一客にも、多くの方に手に取っていただきたい作品です。
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