能作

富山・高岡で100年を超える伝統を誇る鋳物ブランド、能作。創業以来、仏具や茶道具、花器など地域の伝統技術を守りつつ、生活に寄り添うデザインへと進化。錫100％の曲がる器や風鈴などの斬新なアイテムは、国内外から高い評価を受け、能作の名を広げました。

2017年には体験型の新社屋を整備し、地域の伝統と工芸を「見る・触れる・味わう」場として発信。直営店やSNS・海外販路を通じ、伝統×革新を体現するプロダクトを小売店として多様な顧客へ提供し続けています。

能作は、「より能い鋳物を、より能く作る」という理念のもと、技術と好奇心を結びながら日本の鋳造技術の真髄を世界に広めることを目指しています。

社屋入り口入ると鋳型が展示されている

Buyer's Voice　代表・松澤斉之より

錫に、誇りと革新を宿す

能作とのご縁は、移転前の工房を訪ねたことから始まります。その後、新社屋が完成した際にも足を運びましたが、そこで改めて感じたのは、華やかなブランドとしての姿の背後に、事業を継続し、職人に自信を持たせ続けるための数々の努力と苦労が積み重なっているということでした。

能作は以前から、工房を公開し、来訪者に制作の現場を見てもらう活動を続けてきました。それは職人たちにとっても刺激となり、誇りやモチベーションを育む一助にもなっていると伺いました。現在の新社屋ではその姿勢がさらに発展し、地域に開かれた場として、世界中から人々が訪れる見学ツアーが一種の観光資源となるまでに広がっています。

今日、能作の商品はテレビや雑誌にも数多く取り上げられ、国内で最も認知度の高い工芸品ブランドのひとつと言って間違いありません。デザインコラボを積極的に展開し、錫という素材の新しい可能性を切り拓いたブランドへと成長した能作。

その歩みを振り返ると、華やかな成果の裏にある経営努力と地域社会への誠実な姿勢に、深い敬意を抱かずにはいられません。