小泉製作所
歴史的な音を復元させる
高岡銅器の技術
富山の伝統工芸品として知られる高岡銅器の工房の中でも、小泉製作所は、明治22(1889)年に創業した老舗の銅器鋳造所。主に銅器や仏具を制作し、戦時中は軍需工場に指定され鉄などのさまざまな金属製品鋳造に携わってきた。
戦後、再び仏具などの製造を始めた小泉製作所では、中でも金属の持つ「音」に注目。仏具の中でも「おりん」といった音を出す金属製品の製造を得意としてきた。
2005(平成17)年には、ゆらゆらと揺れるおりんと専用のりん棒がグッドデザイン賞を受賞。その澄んだ音色とデザイン性が注目を集めた。
音に対するこだわりとそこから生まれた高い技術は、文化遺産の修復現場でも活用されており、2007(平成19年)にはスペイン・バルセロナのグエル別邸の正門「龍の門」の鐘の復元に、2010(平成22年)には日比谷公園自由の鐘の修復に携わった。
何気ない暮らしに、澄んだ音で癒やしを
小泉製作所がこだわる音とは「快音」。ただ美しい音、澄んだ音というだけでなく、暮らしの中に彩りや癒やしを与えてくれる音とデザインを持った製品だ。例えば、昔から作られている仏具のおりん。
ただ丸いだけでなく、その表面にアジサイやアザミ、ウメなどをイメージした文様をいれ、かわいらしいデザインにした。優しい音だけでなく、見ただけでも心いやされる新しい仏具を作り上げたのだ。
さらに、美しい音を暮らしの中に「今までにない製品を」という思いが生み出したのは、自然の木の中にベルを入れ、どんな部屋にもしっくり馴染むシンプルなデザインのドアベルや、控えめな音が涼しさを演出する小ぶりの風鈴など。乾杯の瞬間にグラスを合わせたとき心地よい音を奏でる乾杯グラスも人気だ。
暮らしの中に、涼やかで心安らぐ音を。長年培われた伝統技術が響かせる、余韻までも心地よい音は、現代の暮らしに新たな癒やしをもたらしてくれるだろう。
Buyer’s Voice 代表・松澤斉之より
常識にとらわれないアイデアで金属の未来を拓くメーカー
商品を見て、面白いことを考える人がいるんだな、とは思っていた。実際に社長にお会いして、より面白い人がいるんだと思った。IT 業界を目指していたという現社長は、製品とITの融合を考えていたり、職人の技術とロボット技術の合わせ技を試みたりと、とてもイノベーティブだった。
「これまで世の中になかった製品を作りたい」「後世に残るモノづくりをしたい」。そんな思いから生まれる新たな発想はとても魅力的。次にどんな驚きの製品を世の中に送り出してくれるのか、楽しみなメーカーだ。