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雲泉窯

京焼・清水焼

 色と手間が織りなす精緻なうつわ

京都・東山、泉涌寺の地に端を発した雲泉窯は、鮮やかな色彩と緻密な図柄で知られる窯元です。その歩みは1949年頃、初代・橋本雲泉による作陶に始まります。二代目の時代には、彫りを施してから絵付けを行う独自の技法が確立され、現在は三代目・加藤雲泉へと受け継がれています。

雲泉窯の器が帯びる色の奥行きは、顔料の調合と焼成の積み重ねによって生まれます。天然素材をもとに独自に調合した絵の具を、一度で仕上げることはありません。塗り重ねては窯に入れ、さらに重ねる、その繰り返しによって、深みのある発色が引き出されます。

一般的な清水焼が二度の焼成で完成するのに対し、雲泉窯では上絵付けだけで四度、五度と窯を重ねることもあります。なかでも赤の発色はとりわけ繊細で、薄く積み上げることでしか出せない表情があります。その一色のために時間と手間を惜しまない姿勢が、器全体の品格を静かに支えています。

絵付けの前に施される「彫り」の工程も、雲泉窯ならではの特徴です。図柄に沿って刻まれた線は、単なる輪郭を超え、陰影を帯びた立体として器の上に浮かび上がります。絵の具だけでは届かない奥行きを、彫りが補っています。

こうした仕事は、見えにくい部分にも及びます。器を裏返したときに現れる高台にも、多角形や花形など、器のかたちと呼応する意匠が施されています。日常では目に触れにくい足元にまで意識を行き届かせる、その姿勢に、雲泉窯の美意識があらわれています。

手に取ったとき、そして使い続ける時間の中で、積み重ねられた工程の気遣いは少しずつ感じられていくはずです。雲泉窯の器は、暮らしの中で静かに存在感を深めていく、そんなうつわです。

 

Buyer's Voice 代表・松澤斉之より

京焼の卸団地を訪れたとき、最初に雲泉窯の器に出会いました。なかでも目が止まったのは、赤の絵付けです。華やかでありながら強すぎず、静けさと芯の強さが同居している、そう感じた器でした。

日本工芸堂には、海外の方やVIPの方へ贈るギフトのご相談を多くいただきます。そうした場面では、見た目の美しさだけでなく、日本の文化や美意識をさりげなく伝えられることが大切だと考えています。雲泉窯の器は、その役割を自然に果たしてくれると感じました。

幾度も重ねられる焼成、細部にまで行き届いた仕上げ。その丁寧な仕事は、使うほどにじわりと伝わってきます。贈る相手への敬意を器に込めたいとき、迷わず手が伸びる一客です。京の名工が積み重ねてきた仕事が、日々の食卓にそっと奥行きを添えてくれます。

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