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記事: 【伝統工芸の旅】400年の歴史と進化、高岡銅器の魅力とは?(富山県)

【伝統工芸の旅】400年の歴史と進化、高岡銅器の魅力とは?(富山県)
#伝統工芸の旅

【伝統工芸の旅】400年の歴史と進化、高岡銅器の魅力とは?(富山県)

モメンタムファクトリー・Oriiの場合

日本工芸堂のバイヤー松澤が、高岡銅器の革新ブランド「モメンタムファクトリー・Orii」を訪れました。長年の憧れだった会社さんとの商談は、特別な体験でした。彼らの独自の染色技術と美しいデザインに触れ、高岡銅器の歴史と進化を実感しました。制作現場を見学し、伝統工芸が現代のニーズに応える姿勢を強く感じた松澤が、今回の経験を通じて得た学びを皆さんと共有したいと思います。

高岡銅器のメーカーOriiの職人技

 



モメンタムファクトリー・Oriiとの出会い


今回は、初めてモメンタムファクトリー・Oriiを訪問しましたが、実は以前からブランドを存じ上げていました。モメンタムファクトリー・Oriiは、銅器に独自の染色技術を施し、美しいブルーを基調とした作品を多く手がけており、その独特な色彩とデザインは、以前から私の目を引いていました。

特に、Amazonでバイヤーをしていた頃から、そのブルーの工芸品が一際目立っており、ずっと素敵な品だと感じていました。そして当社ではすでにモメンタムファクトリー・Oriiとコラボレーションしている別ブランドのアルチザンさんの品を取り扱っていたため、その存在は常に意識していました。また、金箔の箔座さんともコラボ品を制作されており、その品の取扱を箔座さんに打診したことがありました。しかし、残念ながら、その品は限定的な取扱いで、当社ではお取り扱いさせていただく機会がありませんでした。

今回の訪問はご紹介で伺うことができのですが、上記のような背景があり非常に楽しみにしていました。長い間、取引を希望していたブランドとの商談の機会を得たことに、期待が膨らみました。

Oriiのスタンド時計


モメンタムファクトリー・Oriiの制作現場


工房を訪れ、実際に銅器の制作工程を見学しました。代表の折井さんから丁寧に作業手順を説明いただきながら、花器やタンブラーの製造プロセスを披露していただきました。驚いたのは、Oriiの製品が銅器だけでなく、建築関連の素材としても高い需要があることです。

モメンタムファクトリー・Oriiは、高岡銅器の伝統的な着色技術を革新し、新たな発色方法を開発した企業です。特に銅の圧延板材に対する着色技法は独自のもので、斑紋孔雀色など従来にはない美しい色彩を生み出しています。この技術は、建築やファッション業界とのコラボレーションを通じて広がり、異業種との連携から新たな価値を創出しています。これにより、着色技術の可能性をさらに広げ、高岡銅器に革新的な要素を加えることに成功しています。

また、定期的に制作体験を公開し、体験会を通じて高岡銅器の啓蒙活動にも力を入れています。こうした取り組みは、魅力を発信し、ファンの拡大にも貢献しているのではないでしょうか。




商談を通して感じた高岡銅器の未来

商談では、定番品に対するこだわりや人気の品の特徴、対象となるターゲット層について教えていただき、伝統工芸としての価値を大切にしながらも、現代のニーズに応えようとする姿勢が感じられました。また、文具やアクセサリーなど、海外デザイナーとのコラボレーションによる新しい製品も見せていただき、これらの試みを通じて高岡銅器が新たな領域に挑戦し、進化していることを実感しました。

さらに、商品の魅力に加えて、その背景にある高岡の歴史や文化、そして進化の過程を体験することが重要だと感じています。実際に現地を訪れ、街の空気や歴史に触れることで、訪問者がより深い理解を持ち、自然と高岡銅器への理解が深まると考えています。商品だけでなく、街全体の魅力を体験できる環境が整えば、持続的なファン層の拡大が期待できるでしょう。

工房併設している販売所

高岡銅器の歴史と進化


高岡銅器は、1611年に加賀藩主・前田利長が町の発展を願い、7人の鋳物師を高岡に招いたことが始まりです。当初は鍋や釜などの日用品を作っていましたが、江戸時代中期に入り、装飾性の高い青銅鋳物の需要が増加し、特に仏具の製造が盛んになりました。

この時期から、華やかな彫金や美しい彩色を施した仏具や茶道具が製作されるようになり、高い技術が発展していきました。こうした技術は現代にも受け継がれ、高岡銅器は日本初の国の伝統的工芸品の産地として指定されています。

製造工程は、製品の原型作りから始まり、鋳型に溶かした銅を流し込んで鋳造し、冷えた後に型を外して研磨や彫金、着色を施す分業制で行われます。特に繊細な彫金技術が特徴で、刀の装飾に使われていた技法が取り入れられ、生活用品から美術品へと進化しました。

さらに、独特の着色技術により、金属の自然な腐食によって引き出された美しい色合いが高岡銅器の魅力を際立たせています。明治期には、パリ万国博覧会で高く評価され、世界にその名を広めました。

写真(筆者撮影):高岡市鋳物資料館(午前9時~午後4時30分 火曜日定休)鋳物産業の歴史が垣間見れます。塩釜、ニシン釜(大量のニシンを煮る釜)等の鉄製大釜も高岡のヒット商品だった。


立ち寄ってみたい高岡の他の場所

金屋町「千本格子の家並み」(重要伝統的建造物群保存地区)


高岡市の金屋町は、2012年に鋳物師町として全国初の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。1609年に前田利長が7名の鋳物師を呼び寄せ、鋳物産業が根付いたこの地には、千本格子造りの美しい家々が並びます。

約500mにわたる石畳の道があり、散策中に散りばめられたハートや星型の銅片を探すのも楽しみのひとつです。高岡銅器の品々や、地元の食材を使った料理を味わえる店もあります。鋳物製作体験ができる工房もあり、旅行の思い出に自分だけの作品を作ることができます。

訪れたのは8月某日でしたので35度を超え灼熱の街でした、、



高岡大仏

高岡市の大佛寺にある「高岡大仏」は、高さ16mで、1907年から26年かけて完成しました。越中三大仏の一つとして知られるこの大仏は、源義勝が造営した木造大仏が始まりで、数回の再建を経て現在の形になりました。参道を歩きながら、大仏の顔を拝むと、目が少しずつ開いていく様子が見られます。台座内部には回廊があり、地獄絵や焼け残りの仏画が展示され、心を落ち着けるひとときを味わえます。意外と街中にひょっこり現れていきますので注意!

 

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