越前、伝統的工芸品5産地を訪れて
鯖江市・越前市・越前町がある丹南エリアは越前5産地として知られ、越前漆器・越前和紙・越前打刃物・越前箪笥・越前焼といった伝統的工芸品や、眼鏡・繊維といった7つもの地場産業が半径10km圏内にギュッと集積しています。技術を継承しながら、時代に合わせたものづくりを続けており、最近では担い手として移り住む若者も増え、産地に新しい風が吹いています。
“見て・知って・体験する” 作り手たちとつながる体感型マーケット
「RENEW(リニュー)」は、福井県鯖江市・越前市・越前町で開催される、持続可能な地域づくりを目指した工房見学イベントです。
会期中は、越前漆器・越前和紙・越前打刃物・越前箪笥・越前焼・眼鏡・繊維の7産地の工房・企業を一斉開放し、見学やワークショップを通じて、一般の人々が作り手の想いや背景を知り、技術を体験しながら商品の購入を楽しめます。
また、RENEWでは狭義の産業観光だけにとどまらず、社会的意義の高い活動を行う全国各地のローカルプレーヤーが産地に集うマーケット「まち/ひと/しごと -Localism Expo Fukui-」も開催予定。国内最大規模となる一大イベント。
https://www.echizen.or.jp/
うるしの里会館の回廊式の建物では、木地から加飾まで漆器の製造工程や歴史的資料等を見学できます。
また、業務用漆器の製造や食器洗浄機対応の漆器など、越前漆器のとりくみについて知ることができます。
越前漆器
越前漆器の起こりは、約1500年の昔にさかのぼるといわれています。古墳時代の末期にあたる6世紀。第26代継体天皇がまだ皇子のころ、こわれた冠の修理を片山集落(現在の福井県鯖江市片山町)の塗師に命じられました。
塗師は、冠を漆で修理するとともに黒塗りの椀を献上したところ、皇子はその見事なできばえにいたく感動し、片山集落で漆器づくりを行うよう奨励しました。これが今日の越前漆器の始まりと伝えられています。
また、越前には古くからたくさんの漆かきがいました。漆かきとは、漆の木にかき傷をつけながら漆液を採集する職人のことで、最盛期には全国の漆かきの半数を占めたといわれています。日光東照宮を建てるとき、徳川幕府は大量の漆液の採集を越前に命じたとか。越前の漆かきが、どんなに高く評価されていたかが分かります。こうした漆かきの存在も越前漆器の産地形成に大きな役割を果たしています。
https://www.echizenwashi.jp/guide/washi/
越前和紙の基本情報
越前和紙とは福井県越前市でつくられてきた和紙。岐阜県の「美濃和紙」、高知県の「土佐和紙」とならび、「日本三大和紙」に数えられる。
詳しい起源は不明であるが、継体天皇が男大迹(おおど。即位前の呼び名)として越前にいた頃(507年以前)に川上御前という人物が村人に紙漉きを伝えた、との伝承が残ることから、1500年の歴史があるとされる。
世界最大規模の来場者数を誇っているルーヴル美術館に、収蔵品の修復用として越前和紙を納めている職人がいる。2000年6月に国指定重要無形文化財(人間国宝)に認定された、九代目・岩野市兵衛。
彼とその家族が手がけるのは越前和紙のなかでも「越前生漉奉書(えちぜんきずきぼうしょ)」と呼ばれる最高級品で、薬品をほぼ使わずに、緻密な工程をへて漉かれる紙は均一な厚みで、耐久性と保湿性に優れる。ルーヴル美術館が世界中の紙を集めて比較したなかで、岩野さんの紙が選ばれたそうだ。
https://www.echizenuchihamono.com/about_us/about_us.php
越前打刃物700年の歴史
700年の伝統。それは一人の刀匠からはじまりました。 「越前打刃物」は、1337年(南北朝時代)京都の刀匠千代鶴国安が刀剣制作に適した地を求め、府中(現越前市)に来住し、そのかたわら近郷の農民のために鎌を作ったことから始まったといわれています。その後、江戸時代には福井藩の保護政策により、株仲間が組織され、その技術が受け継がれて発展してきました。販路も当初は、漆かき職人が漆かきのため全国に出かける時、刃物を売り歩いたことから始まり全国に及びました。現在の越前打刃物は、日本古来の火づくり鍛造技術、手仕上を守りながら、調理用の包丁、農業・園芸用の鎌、鉈(なた)、苅込はさみ、鍬(くわ)を主製品として造り続けています。
越前箪笥
指物師の技が随所に光る重厚な漆塗りの箪笥
ユニークな魔よけの金具が魅力