シラキ工芸
【八女提灯】
福岡県八女市立花町──豊かな自然と和紙の産地として知られるこの地で、シラキ工芸は1980年に盆提灯の火袋メーカーとして創業しました。現在は2代目の入江朋臣氏が代表を務め、職人の手によるものづくりを継承しながら、新たな時代にふさわしい灯りのかたちを探求しています。
八女提灯の起源は、約200年前に墓地で灯された「場提灯」にさかのぼります。地元で竹や和紙といった素材がそろったことから、農家の副業として発展し、明治期には海外輸出も行われました。その特徴は、一本のヒゴを型に沿って螺旋状に巻く「一条螺旋巻き」の骨組みと、草花などを描く繊細な火袋の絵付け。いずれも八女ならではの高い技術を要する伝統です。
シラキ工芸では、型組みからヒゴ巻き、糸かけ、和紙や絹貼り、吹き付けと筆描きを組み合わせた下書きなしの絵付けまで、すべての工程を職人が手作業で仕上げます。その一筆一筆に宿るのは、先人から受け継がれた“技”と“感性”。長年の経験による美しい均整と柔らかな光が、見る人の心を静かに照らします。
近年、仏壇・盆提灯の需要減少や職人不足が進む中で、同社は若手の育成と技術継承に力を注ぎ、伝統を次世代へつなぐ取り組みを続けています。また、自社ブランド「cocolan(ココラン)」では、伝統構造をそのままに、コンパクトで愛らしいインテリア提灯を開発。グッドデザイン賞を受賞したこのシリーズは、灯りとしてもアートとしても国内外で高い評価を得ています。
八女の風土に根ざしながら、時代の感性と響き合うものづくりを続けるシラキ工芸。その作品は、手仕事が今に息づく“現代のあかり”として、多くの人々の暮らしに寄り添っています。
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