木澤工作所
石川県珠洲市、能登半島の最北端で静かに土と向き合う「木澤工作所」。主宰する木澤孝則さんは、奥能登の鉄分豊かな土を素材に、珠洲焼の現代的な姿を探求する陶芸家です。
2002年に珠洲市陶芸センターで陶芸を学び始め、2006年に工房を開設。2014年に自身の窯を築いて以来、珠洲焼の伝統に根ざしながらも、肩肘張らず、飾らず、土の声に耳を澄ませるものづくりを続けています。
「こだわりを持たないようにしています」と語る木澤さん。その言葉通り、作品には作り手の意志を過剰に押し出すことなく、珠洲の土が持つ素朴さや黒の焼き締めの質感が静かに表現されています。
厚みを抑えたソリッドな器肌、土の力強さを感じさせる黒の風合い。その佇まいは、どこか控えめでありながらも凛とした存在感を放ちます。
珠洲焼は、かつて中世の暮らしを支えた無釉の器で、灰黒色の落ち着いた色合いが特徴。
昭和期に復興を果たしたこの焼き物の魅力を、木澤さんは自然体で伝えています。2024年の能登半島地震で珠洲市が甚大な被害を受けた後も、木澤さんは土と向き合う日々を変わらず続けています。器一つひとつに、珠洲の大地の記憶と作り手の真摯な姿勢が宿っています。
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