勘亭流、戯筆
戯筆(zarefude)は、勘亭流書家・清波(雅号)が主宰するブランドです。勘亭流は、1779年に江戸・堺町の書道指南・岡崎屋勘六が中村座の看板を揮毫したことから評判を呼んだ、歌舞伎の世界で育まれてきた文字です。名称は勘六の号「勘亭」に由来します。
丸みのある字形には無事円満を、たっぷりとした墨には大入り満員を、内へ向かう撥ねにはお客を招き入れる願いを託す。勘亭流のひとつひとつの形には、興行の繁栄を願う縁起が込められています。
清波は、京都・南座「吉例顔見世興行」の象徴であるまねき書きを代々受け継ぐ五代目として、2023年より南座に掲げられるまねき看板の揮毫を担当しています。まねき文字と勘亭流の双方を自在に書き分ける、数少ない書家のひとりです。
企業や文化団体、伝統工芸との協働を重ねながら、勘亭流を現代へひらく活動を展開。複数の文字を一体化させる「抱き字」、文字を回転・連続させて紋様を生む「追いかけ紋」、筆致を活かした「鏡文字」など、独自の表現も生み出しています。芝居小屋で育った文字を、今日の暮らしと祝いの場へ届けます。
Buyers voice 松澤より
商談の席でお会いした清波さんは、物腰がやわらかく、静かな語り口の方でした。ところが話題が勘亭流に及ぶと、言葉に少しずつ熱がこもっていきます。この文字とともに歩んでこられた年月の厚みを感じる時間でした。
見せていただいた勘亭流は、書というより絵に近い印象です。うねるような線の勢い、墨の艶、余白を惜しむように埋め尽くされた画面。芝居小屋の看板として人を招き続けてきた文字の力が、紙の上からも立ちのぼってくるようでした。
京都・南座のまねき看板を手がける一方で、京都ハンナリーズとのコラボレーションや、手ぬぐい・法被のデザインなど、表現の場を今日の暮らしへ広げている清波さん。
受け継いだ技を守るだけでなく、いまの感性へひらいていく姿勢は、私たちが工芸に感じる魅力そのものです。文字と工芸、贈りものを結ぶ新たな試みを、これからもご一緒していきたいと思っています。
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