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記事: 色から選ぶ工芸ギフト。贈る理由と、贈り手の想い

色から選ぶ工芸ギフト。贈る理由と、贈り手の想い
工芸品を贈る

色から選ぶ工芸ギフト。贈る理由と、贈り手の想い

工芸品を贈りものとして選ぶとき、色は大切な手がかりになります。私たちは色を、贈り手が「なぜこの品を選んだのか」を言葉にするための入口として捉えています。

日本工芸堂では、還暦祝いや長寿祝い、退職祝い、結婚祝い、そして企業の周年記念や就任祝いといった法人ギフトまで、日々さまざまな贈答のご相談を受けています。そのなかで実感してきたのは、色の見方ひとつで、贈りものの伝わり方が変わるということです。

この記事では、実際のご相談の場でどのように色を見ているか、その視点をお伝えします。色別の工芸品の表情と各コレクションへのご案内、そして季節ごとの特集への入口も、後半にまとめています。

慣習の色は、選ぶ理由の入口に

長寿祝いには、年齢ごとのテーマカラーがあります。還暦の赤、古稀や喜寿の紫、米寿の黄色。こうした慣習は長く親しまれてきたものであり、私たちも大切にしています。「紫が古稀の色と知って選びました」という一言が添えられるだけで、贈りものの意味はぐっと伝わりやすくなります。

そのうえで、同じ赤でも、受け取る方の暮らしに置かれると、それぞれ違う表情を見せます。慣習を入口としながら、その先にある「この方に、この品を」という一歩をどう踏み出すか。ご相談のたびに考えているのは、そこです。

色を選ぶ前に、考えていること

贈答のご相談を受けるとき、できる限り三つのことを伺うようにしています。

何を祝うのか。還暦なのか、退職なのか、結婚なのか。同じ赤でも、六十年の節目を祝う赤と、新しい門出を祝う赤では、託したい気持ちが違います。

相手はどんな暮らしや場面で使うのか。晩酌を楽しむ方なのか、お茶の時間を大切にする方なのか。飾って眺める品がよいのか、毎日手に取る道具がよいのか。使われる場面が見えてくると、似合う色の質感も自然と絞られてきます。

華やかさを贈りたいのか、静かな敬意を伝えたいのか。同じお祝いでも、晴れやかに祝いたい間柄と、改まった敬意を表したい間柄があります。前者なら光を透かす切子の赤、後者なら深い艶の朱漆、というように、色のトーンの選び方が変わります。

この三つが見えてくると、「赤を贈る」から「この方に似合う赤を選ぶ」へと、考え方が自然に切り替わります。


同じ色でも、素材が変わると贈りものの印象は変わる

工芸品の色には、素材と技法が生む固有の質感があります。同じ色でも、まったく別の顔を見せます。

なら、江戸切子の赤はカットが光を割って輝く、晴れやかな表情。朱塗りの漆器は、しっとりと深みのある艶をたたえ、落ち着いた印象になります。赤絵の陶磁器は、食卓をぱっと華やかにしてくれます。

なら、瑠璃色の江戸切子は澄んだ輝きを、藍の染めや釉薬は時間を重ねたような深さを、青磁は淡くやわらかな静けさを持っています。

は、蒔絵の金粉が漆の上に浮かべる文様、陶磁器の金彩、真鍮の鈍く温かい光沢と、技法ごとに輝き方が異なります。は、塗り重ねた漆の底深い艶、南部鉄器の鉄黒、備前焼の土の黒。は、錫のやわらかな銀白、銀彩のきらめき、鋳物の落ち着いた金属の肌。

色を選ぶことは、素材と技法を選ぶことでもあります。ご相談の場で「赤いものを」と言われたとき、必ず「どんな赤がよいでしょうか」と、いくつかの品をご提示するのはこのためです。

>素材で選ぶ:ガラスや漆、鉄、木、竹など、素材と用途に応じて選びやすくご紹介


個人への贈りものは、相手のこれからの時間から考える

長寿祝い

還暦の赤、古稀・喜寿の紫、米寿の黄色。テーマカラーは、選ぶ理由の入口として心強いものです。そのうえで私たちは、「その色を、どんな品で贈るか」を一緒に考えます。

たとえば還暦祝い。お酒が好きな方なら、光を受けて輝く赤の江戸切子が晴れやかです。落ち着いた和の暮らしを楽しむ方なら、朱の漆器が手元に静かに馴染みます。ご家族で食卓を囲む機会が多い方なら、赤絵の器がその時間を華やかにしてくれます。同じ「還暦の赤」でも、贈られたあとの時間はそれぞれ違うものになります。

古稀や喜寿、卒寿の紫は、敬意と特別感を静かに伝える色とされます。切子の深い紫、釉薬が生む紫がかった色合いなど、品格のある一点がよく選ばれます。米寿や傘寿には、実りと明るさを感じさせる黄色や金に近い色合いが用いられることがあります。金彩や黄瀬戸、真鍮の工芸品に、その系統の温かさを見ることができます。

長寿祝いの贈り物一覧はこちら

退職祝い

退職祝いのご相談で思い浮かべるのは、役目を終えたあとに始まる時間のことです。長く働いてこられた方が、これから自分のための時間をどう過ごすのか。お茶を淹れる、晩酌をゆっくり楽しむ、庭を眺める、そうした場面を想像するとやすらぎを感じさせる緑や、静かな輝きの錫、凛とした黒の鉄器などが候補に挙がってきます。

在職中の労をねぎらう改まった気持ちと、これからの日々への応援。その両方をひとつの品に託せるのが、退職祝いにおける工芸品の良さだと考えています。

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結婚・新築祝い

結婚祝いや新築祝いでは、品物がこれから「二人の暮らし」の中に置かれることまで考えます。清らかなはじまりを感じさせる白は、この場面によく選ばれる色です。白磁の器や白釉の茶器は、どんな食卓にも静かに馴染みます。

ペアで使う切子のグラス、錫の酒器など、二人の時間をつくる道具もよくご提案します。新居のインテリアの雰囲気がわかれば、そこに自然に溶け込む色を一緒に探すこともできます。贈った日から先、暮らしの中で長く使われる時間を想像して選ぶ。それが私たちの考える贈り方です。

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法人ギフトでは、企業らしさを色に託す

ロゴ・コーポレートカラーを手がかりにする

法人ギフトのご相談では、企業のロゴやコーポレートカラーが選定の手がかりになることがよくあります。周年記念の記念品、取引先への就任祝い、永年勤続の表彰。そうした場面で、「自社らしさを品に込めたい」というご要望に、色と名入れの組み合わせでお応えしてきました。

ブルー系の企業に寄り添う、瑠璃・藍・青磁

実際に多いのは、青系のロゴをお持ちの企業からの、「ロゴのトーンに近い品に名入れを施したい」というご相談です。

このとき私たちが大切にしているのは、工芸品ならではの青の表情から選ぶことです。印刷物の青と工芸品の青は、それぞれに成り立ちが異なります。瑠璃色の江戸切子が持つ澄んだ輝き、藍の深く落ち着いた色合い、青磁のやわらかな静けさ。素材と技法が生む多彩な青のなかから、贈る場面、受け取る相手、そして企業の印象に自然になじむ一点を一緒に探していきます。

誠実さを伝えたい場面なら深い藍を、祝いの華やぎを添えたい場面なら瑠璃の切子を、というように、同じ「企業の青」でも選び方は変わります。

工芸品として、自然になじませる

名入れについては、品物の底や側面にさりげなく施す方法をよくご提案しています。受け取った方が手に取ったときにふと気づく、静かな存在感が生まれるからです。

控えめな名入れでも、色と品物の佇まいから「あの会社から贈られた品だ」と感じてもらえる。長くお付き合いのある企業のご担当者から、そうした贈り方が結果として印象に残る、というお声をいただくことがあります。企業らしさを、工芸品の中に静かに託す。それが日本工芸堂のご提案する法人ギフトのかたちです。

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贈る場面から考える色の選び方

ご相談の多い場面と、よく選ばれる色・工芸品の組み合わせを簡潔にまとめます。あくまで入口としての目安であり、ここから相手の暮らしに合わせて絞り込んでいくのが実際の選び方です。

贈る場面 よく選ばれる色 工芸品の例
還暦祝い 江戸切子、朱の漆器、赤絵の器
古稀・喜寿・卒寿 切子グラス、紫釉の陶磁器
米寿・傘寿 黄・金 金彩の器、金箔・真鍮工芸
白寿・百寿 白磁、招き猫
退職祝い 緑・銀・黒 鉄瓶、錫の酒器、薩摩切子
結婚・新築祝い 白・銀・赤 ペアグラス、白磁、錫器
就任祝い・開業祝い 金・黒 蒔絵、漆器、招き猫
周年記念(法人) コーポレートカラー・金 名入れ切子、藍・瑠璃の品


色別に見る、工芸品の表情

赤|祝いと生命力の色

晴れの日に似合う、華やかさと温かみのある色です。還暦祝いをはじめ、節目の祝いに長く用いられてきました。江戸切子の輝く赤、漆器の落ち着いた朱、食卓を彩る赤絵。同じ赤でも表情が違うからこそ、贈る相手に似合う一点が見つかります。

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紫|敬意と品格の色

落ち着きと格を併せ持ち、古稀・喜寿・卒寿など、改まった長寿祝いに用いられることがあります。切子の深い紫や釉薬の生む紫がかった色合いは、贈りものに静かな特別感を添えます。

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黄|明るさと実りの色

太陽や稲穂を思わせる、晴れやかな色です。米寿や傘寿の祝いに、黄色や金に近い色合いが用いられることがあります。金彩、黄瀬戸、真鍮の工芸品などに、この系統の温かさがあります。実りの季節のしつらえにもよく合う色です。

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緑|やすらぎと調和の色

新緑の明るさから深山の深緑、翡翠のような青緑まで、自然を感じさせる色です。退職祝いや新築祝いなど、これからの暮らしを応援する場面によく合います。緑釉の器や緑漆の漆器が、暮らしに静かなやすらぎを添えます。

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白|清らかさとはじまりの色

余白のある、凛とした色です。結婚祝いや新築祝い、白寿・百寿の祝いに結びつけられることがあります。白磁や白釉の器は、静かに相手の暮らしへ馴染んでいきます。年のはじまりや、新生活の季節のしつらえにも寄り添う色です。

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黒|静かな存在感の色

塗り重ねた漆の艶、南部鉄器の鉄黒、焼き締めの土の黒。素材そのものの表情としての黒は、信頼感と上質さを静かに伝えます。法人ギフトや役員への贈りものにもよく選ばれます。

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金|繁栄と格式の色

周年記念、就任祝い、開業祝いなど、大きな節目に輝きを添える色です。蒔絵の金粉、金箔、金彩と、技法ごとに異なる光り方があります。祝意を言葉以上に伝えたいときの一点になります。

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銀|洗練と静けさの色

月の光に似た、やわらかな輝きを持つ色です。錫器の銀白色は、手に取るたびに金属のなめらかな質感を伝えます。結婚祝いや退職祝い、法人ギフトにも洗練された印象を添えます。

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青|信頼と深さの色

瑠璃の澄んだ輝き、藍の深さ、青磁の静けさ。ひとくちに青といっても、その表情は幅広いものです。夏に涼を運ぶ色として、また誠実さや信頼を伝えたい場面に合う色として、法人ギフトのご相談でも特に多く選ばれています。

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まとめ|色は「なぜこの品を選んだのか」を伝える言葉に

色から工芸品を選ぶことは、贈る理由を自分の言葉にしていく過程だと考えています。

何を祝うのか。相手はどんな暮らしの中でその品を使うのか。華やかさを贈りたいのか、静かな敬意を伝えたいのか。この三つを考えながら色を見ていくと、「還暦だから赤」が「この方に似合う赤だから」に変わります。法人ギフトなら、コーポレートカラーが「企業らしさを静かに託した一点」に変わります。

日本の工芸品には、色ひとつとっても、素材の性質、技法の積み重ね、作り手の意図が宿っています。それを手渡すことは、背景ごと贈ることでもあります。

どの色を、どの品で贈るか。迷われたときは、どうぞ日本工芸堂にご相談ください。贈る相手のこと、使われる場面のことをうかがいながら、一緒に一点を探すお手伝いをしています。

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