THREE RIVERS(39arita)
日本初の磁器産地「有田」から生まれる
新しい陶磁器
有田焼は日本で最初に磁器が作られた場所と言われています。伊万里港から積み出され、全国に流通したことから「伊万里焼」とも呼ばれてきましたが、今では、佐賀県有田町周辺で作られる磁器を「有田焼」と呼ぶようになりました。その特徴は白い地肌とガラス質の上絵の具を用いた鮮やかな色。耐久性にも優れているので、日用品として食器も多く生産されています。
そんな有田で新しい技術として多孔質セラミックス技術が生まれました。内部に無数の穴があるセラミックです。この技術を活用し、アジア人初のWORLDBREWERSCUP世界チャンピオンとなったバリスタ、粕谷哲氏も認めるセラミックのコーヒーフィルターを作ったのが「Three rivers株式会社」。2018年に設立されたメーカーです。
コーヒーフィルターに使われている技術は、もともと有田焼で活用されていた技術。その技術をさらに磨き上げることで、世界に注目されるコーヒーフィルターに育て上げました。
有田焼の技術を生かして
有田焼になかったものを
コーヒーフィルターづくりでこだわったのは穴のサイズ。「セラフィルターの表面には数十ミクロンの細かい穴があります。コーヒーの味わいにつながるためにはコーヒー豆の油分を通し、雑味につながる不純物だけを取り除くサイズにすることが重要です。かなりの試行錯誤でこのサイズに行きつきました」と語るのは代表の三河さん。その甲斐あって、プロにも愛用される製品になりました。
また、陶磁器には珍しい二重構造のカップも開発。有田焼の美術品にも使われる釉薬を使い、鮮やかながら落ち着いた色味のカップは軽くて持ちやすいと好評です。
「海外の展示会への参加ができなくなり、商品開発の時間が取れるようになりました」と語る三河社長。柔軟な発想とそのアイデアを形にする技術力で、新しい「Arita」を世界に発信しようとしています。
Buyer's Voice 代表・松澤斉之より
明らかに味が違う!
驚きの技術が有田にあった
有田焼のコーヒーフィルターを見たのは、大手雑貨店の店頭だったと思う。中国や台湾では、水道水をフィルターで濾して飲んでいるという話も聞き、どのくらい違いがでるものなのだろう、と興味を持った。
実際にコーヒーを淹れてみると、明らかに味が変わることに驚いた。まろやかになるというか、雑味がなくなるというか。その技術のベースになっているのは伝統的な有田焼の技術であると聞いて、再度驚いた。
このコーヒーフィルターは30時間かけてじっくり焼き上げるという。通常陶磁器は4、5時間で焼くというから、その手間のかけ方は尋常ではない。窯焼きの温度や時間だけではない。多孔質セラミックを作るために混ぜる複数原料の比率や、穴の大きさを決めるプレスの圧力の強さなど、多くの試行錯誤の結果が、一つのフィルターに詰まっている。
これから、他の商品開発にも力を注ぐという三河社長。その成果をぜひ、日本工芸堂で紹介していけたらと思っている。
日本工芸コラボトーク
【日本工芸コラボトークvol.11】有田焼コーヒーフィルター39arita 有田焼コーヒーフィルター39arita THREE RIVERS株式会社代表三河さん、田村さん、工場長