会津漆器技術後継者訓練校への取材報告
日本工芸堂が2023年より取り組んでいる「1% for 日本の工芸育成」の活動では売上の一部を産地振興や職人の育成のために寄付しております。今回は会津漆器協同組合事務局へ寄付金を贈呈し、実際にご活用いただく「会津漆器技術後継者訓練校への取材の様子をご報告いたします。
会津漆器技術後継者訓練校とは
会津漆器技術後継者訓練校は、会津若松市に位置し、会津漆器の技術を次世代に継承することを目的とした教育機関です。会津漆器協同組合連合会が後継者不足を打開するため昭和46年に会津漆器技術後継者養成所を設立し、平成15年度に福島県の認可を受け、会津漆器技術後継者訓練校として現在も続いています。
ここでは、漆器作りの基本から高度な技術までを体系的に学べるカリキュラムが組まれており、職人としてのスキルを身につけることができます。この訓練校は、職人不足という現代の課題に対応するため、技術だけでなく、伝統文化の精神も含めた総合的な指導を行っています。
会津漆器訓練校インスタグラムアカウント @aizushikki_kunrenko
訓練校の教育内容と学びの特徴
選んで学べる2種類のコース
訓練校では、その年ごとに学べるコースが異なり、蒔絵コース・塗コースが隔年ごとに募集されます。毎年約4名の定員で、密度の高いカリキュラムを2年間受講します。
現役の職人から漆器制作の全工程を学ぶ
訓練校では、漆器作りの基本的な技術から応用技術まで、漆器制作の全工程を学びます。訓練生は、木地作り、漆塗り、加飾といったプロセスを実際に体験しながら学びを深めていきます。特に、漆を扱うための技術や道具の扱い方は、細かな指導が行われ、確実な技術の習得を目指しています。
指導を担当するのは現役の職人さんです。それぞれの専門の職人さんから歴史や技術を惜しみなく伝授していただきます。訓練校の卒業生も手厚くサポートしてくれるので、安心して学びを進めることができます。
多様なバックグラウンドを持つ訓練生
今回お会いした訓練生の皆さんは、様々なバックグラウンドを持っていました。漆が好きで入校された方、他の職業からの転職で参加された方など、地元出身の学生さんだけでなく、全国各地から漆器の魅力に引かれて集まっていました。様々なバックグラウンドを持った方の多様な経験や視点が、伝統工芸の新しい可能性を広げていくだろうと感じました。
実践的な学び
「自分用ヘラ」作り
訓練校での学びの一環として、漆を塗るための「自分用ヘラ」を自ら作ります。この作業は、まずヘラを削るための刃物を研ぐことから始まります。刃物の扱いを覚えることは、漆器作りの基本技術を身につけるための第一歩です。
ヘラを作り上げる過程では、手にマメを作りながら作業と進めていくとのこと。すでに職人魂を感じます。
その訓練校では多くの実践的な学びが用意されています。以下は実習の一例です。
訓練校訪問と寄付の意義
写真左から、会津漆器協同組合:長谷川様、高瀬様、当社:松澤、廣田
今回、当社は会津漆器技術後継者訓練校を訪問し、「1% for 日本の工芸育成」プロジェクトで集まった寄付金をお渡しいたしました。この寄付は、会津漆器技術の未来を担う若い職人たちの育成を支援するためのものです。寄付金は、訓練校での教育環境の向上や、学生たちが使う道具や材料の充実に役立てられる予定です。
会津漆器技術後継者訓練校の募集要項
募集は、塗専攻、蒔絵専攻が交互に隔年で行われています。応募資格は以下の通りです。
- 伝統的工芸品の会津漆器製造技術者として従事することを希望する者。
- 高校卒業以上で会津若松市内に住所を有する者。(合格後の転入でも可)
- 年齢制限はありませんが、市の補助制度は35歳までとなります。詳しくはお問い合わせください。
最新の情報は会津漆器技術後継者訓練校の募集要項をご覧ください。
まとめ
会津漆器技術後継者訓練校を訪問して改めて、次世代の職人を育てるための重要な拠点であると実感しました。伝統工芸である会津漆器の未来を担う訓練校の皆さんが、技術を磨き、文化を継承するために日々努力を重ねています。今回の取材を通じて、訓練校で学ぶ皆さんの熱意と情熱、そして訓練生を支える教育環境の素晴らしさを実感しました。
私たちも、今回の寄付を通じて微力ではありますが皆さんの成長を支え、未来の会津塗の発展に貢献していくことができることを光栄に思います。これからも、会津漆器技術後継者訓練校が多くの職人を輩出し、会津塗の伝統が未来に続いていくことを心より期待しています。
※写真は全て会津漆器訓練校様の許可を得て掲載しております。
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