東京手仕事

「紺屋町」「鍛冶町」「南鞘町」「新銀町」。古い東京の地名には、職業を表しているものが少なくない。江戸はさまざまな技を持つ職人たちが活躍した町だった。江戸の職人たちが作り出す品々は、「粋」を愛する庶民に愛され、磨かれ、「工芸品」となっていく。その伝統は、町の名前が「東京」に変わった今も変わらない。そして、受け継がれてきた手仕事の技に、現代の風を加えた新しい東京の工芸品が生まれた。それが「東京手仕事(TOKYO Teshigo)」プロジェクトだ。

東京都伝統工芸から生まれた
「東京手仕事」

江戸切子、江戸木目込人形、東京銀器、江戸更紗、東京打刃物、東京七宝・・・。東京には、100年以上受け継がれているさまざまな伝統工芸がある、というと、意外に感じる人もいるのではないだろうか。

江戸に居城を開いた徳川家康は、全国からさまざまな職人を集めた。集められたのは、城を造る大工や、刀を造る鍛冶だけでなく、諸大名の江戸屋敷からの需要に応える染め物職人や家具を造る指物職人など。1つの場所にこれだけバラエティに富んだ職人が集まるという稀有な現象が起きたのは、江戸という活気あふれる町を形作るために、必要だったから、といえるだろう。

その後、一大消費地に発展した江戸の職人たちは、「粋」に代表される町人のニーズに応えるように、手仕事の技を向上させる。輝く切子や銀器、華やかな小紋染など、暮らしに使われる品でありながら「逸品」と言うにふさわしい工芸品が次々に生まれていった。

1982年。そんな技を受け継ぐ伝統工芸品を、東京都は「東京都伝統工芸品」に指定した。その要件は

「製造工程の主要部分が手工業的であること」

「伝統的な技術又は技法により製造されるものであること」

「伝統的に使用されてきた原材料により製造されるものであること」

「都内において一定の数のものが その製造を行っていること」

の4つ。現在、これらの要件を備え、地域の文化を担う役割を果たしている地場産業、40品目が指定されている。

伝統に新たなアイデアを加えた
「東京手仕事」

東京ならではの感性が作り上げた東京都伝統工芸品を多くの人に知ってもらいたい。優れた機能性を持ち、美しいスタイルで暮らしを豊かに彩る工芸品を、今の暮らしの中でも使ってもらいたい。そんな思いから生まれたのが「東京手仕事」。2015年に、東京都と東京都中小企業振興公社が推進するプロジェクトだ。

「東京手仕事」の特徴は、伝統に現代風のアレンジを加えて、「今」の生活を豊かにする商品を世界に発信していること。そのために、職人とデザイナーがチームを組んで、アイデアや意見を交換しあい、新たな魅力を創造していく。それぞれの世界の「しきたり」や「きまりごと」を知らないからこそ生まれる、新たなチャレンジ。そこから生まれたのは、高度で繊細な技術を持つ職人の手仕事だからこそ実現できる、使いやすさと、一瞬で心を奪われる魅力を兼ね備えた「現代の粋」を具現化した新たな伝統工芸品ばかりだ。

伝統を守るだけでも難しい。そこに現代のニーズに応える機能やデザインを加えていくことで、伝統工芸は次世代に、世界に求められるものになっていく。そこには、職人たちの中にある「伝統工芸品は暮らしの中で使われる伝統美であるべき」というこだわりと、「常に使ってもらうために工夫をしていく」という心意気が生きている。

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