最近話題の曲げわっぱってどんなもの?

最近話題の曲げわっぱってどんなもの?

秋田県の北部、青森との県境に位置する大館市では、曲げわっぱの技術が連綿と受け継がれてきました。最近、また人気が上昇してきている曲げわっぱの歴史や魅力についてご紹介します。

 

副業として400年以上前に始まった曲げわっぱ

曲げわっぱの歴史は江戸時代初期にさかのぼります。関ヶ原の戦いのあと、豊臣方の武将だった佐竹義宣は徳川幕府の命令で常陸から秋田へ減禄移封させられました。当時秋田の領民は貧しい暮らしに陥っており、義宣の一門である大館城主佐竹西家がその打開策として着目したのが秋田杉でした。佐竹西家は、秋田に広がるこの豊富な森林資源を利用し、下級武士たちに副業として曲げわっぱの製作を奨励。やがて曲げわっぱは日本各地へと出荷されるようになりました。

昭和55年には国の伝統的工芸品に指定された曲げわっぱですが、昭和60年ごろに入るとプラスチック製品の普及により、需要の低迷に陥りました。しかし近年になり「本物志向」の風潮が高まったことで再び注目を浴びるようになります。武士の副業として始まった事業が、約400年もの時を経て現代まで受け継がれ、日本国内はおろか、世界各国からも愛される商品にまで成長しようとは、当時の人々は想像もしなかったでしょう。

 

優美な見た目と機能性を兼ね備えた優れもの

曲げわっぱは天然秋田杉を薄く剥いだものを熱湯につけることで柔らかくし、曲げ加工を施して山桜の樹皮で縫い留めすることで作られます。秋田杉は弾力性に富んでいるため、器のようなものを作るには適した素材です。また美しい木目を特徴とし、吸湿性や木の香りを備えるなど、その見た目の美しさと機能性は高く評価されています。

しかし、近年その天然秋田杉は減少が著しく、平成25年以降は伐採が禁止されるようになりました。代わりに使用されている造林杉は、天然杉に比べて柔軟性が低く、曲げわっぱの材料として使える部分はわずかだそうです。現在、大館曲げわっぱ協同組合は、秋田県立大学の研究所の協力のもと、造林杉による曲げわっぱの共同研究を進めています。

 

伝統的なキッチン用品からおしゃれな雑貨まで

現在では、曲げわっぱを使ったさまざまな商品が販売されています。その機能性によって昔から愛されてきたキッチン用品から、現代の生活に合わせたモダンなデザインの雑貨まで、多種多様に広がる魅力的な商品の一部を紹介します。

○おひつ

杉の柾目(まさめ)が余分な水分を吸収するため、炊きたてのご飯を入れてもベタつかずにふっくら仕上がるおひつ。冷めても乾燥せずにおいしくいただけるということで人気です。朝炊いたご飯が常温のままでも翌日の朝まで持つという優れもの。

○弁当箱

杉が保つご飯のおいしさを外でも味わえるとあって、最近特にちまたで人気なのが白木の弁当箱。ふたを開けるとふんわりと杉の香りが漂い、しっとりしたご飯が味わえるのはうれしいもの。仕事中も休憩時間が待ち遠しくなること間違いなしです。

○カップ

熱いものは熱いまま、冷たいものは冷たいままに持続できる木製の特徴を生かし、マグカップやタンブラーなども販売されています。保温・保冷効果という機能性を備えているうえ、木の温もりを感じさせてくれる見た目は癒やし効果抜群。

○パン皿

陶器の皿にトーストしたパンをのせると表面が蒸気でぬれ、パンの皿に接している部分も湿ってしまうことがよくあります。曲げわっぱのパン皿は蒸気を適度に吸ってくれるので、焼きたてのサクサク感を保ったまま味わえるのが魅力。

そのほかにも蒸し物に最適な和せいろや、ゴミ箱や小物入れに使えるボックス、杉の香りとともにお酒を楽しめる酒器なども。

 

お手入れに注意して長く使おう

白木の曲げわっぱは日々の手入れがとても大事。正しく手入れをすれば末永く利用できる優れものです。まずは水またはお湯で汚れを浮かし、タワシで軽くこすって洗い落とします。研磨剤が入ったクレンザーで表面を磨き、十分にすすぎます。あとはしっかりと乾かすのがポイント。完全に乾くのに1日かかるため、使用は1日置きがベストです。

曲げわっぱを洗う際、漂白剤や中性洗剤は使わないようにしましょう。使用前には内側の表面を水で軽くぬらし、乾いた布巾で拭いてからご飯などを入れると、汚れやにおいなどの浸透を防ぐ効果があるそうです。

海外からも評価を受けている曲げわっぱ。木の温もりにあふれた機能性豊かな食器をご家庭でも取り入れてみてはいかがでしょうか。

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